発禁本「美人乱舞」より 責める!
劇場公開日:1977年2月23日
解説
責めの研究の大家・伊藤晴雨を中心に、責めをタテ糸に、おどろおどろした血の因果をヨコ糸に描く。脚本は「学生情婦 処女の味」のいどあきお、監督は「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」の田中登、撮影は「レイプ25時 暴姦」の森勝がそれぞれ担当。
1977年製作/83分/日本
配給:日活
劇場公開日:1977年2月23日
ストーリー
深夜の荒れた老屋の静寂の中に、ロープのきしむ音が不気味に流れていた。ここは晴雨の画室。晴雨は股火鉢で酒を飲んでいる。その目の前には、息も絶え絶えのタエが後ろ手にしばられて吊るされ、失禁の液体がしたたり落ちていた。晴雨とタエの出会いは、タエのつとめていたカフェでだった。女房運のない男と亭主運のない女の出会い、それは同志のようでもあった。晴雨には、別れた妻が二人いた。シマとトキである。晴雨は、「責めはナレ合ってはいけません」と二人を全裸で天井に吊し、それを見て、冷酒をのむのが常であった。彼は、これぞと見込んだ女は逃さない。鋭い直感力にタエも虜となったのである。手をかえ、品をかえ責めまくる晴雨。タエは、うめき、目が据わり、陶酔した。美しい夕焼けの雑木林の枝に吊されたタエの裸体は夕映えの中で輝いたが、タエの表情が死んだように停止し、瞳孔が焦点のきまらぬ笑いの中に開いた。その日から、タエは夢遊病者の如く足もとの定まらない行動が始った。医者によると、麻痺性痴呆症、つまり先天性脳梅毒で、鉄格子の病室に入れられた。タエの母が晴雨を訪ねて来て、晴雨の作品を見た。そして、晴雨がつれて帰って来た、タエにとびつき、そして晴雨にしがみかかっていった。タエは笑っていた。そして、母はタエを責めることを晴雨にたのみ、そうすることによってタエが正気に戻ると考えた。やがて、老屋の静寂の中にロープのきしむ音が流れた。失禁の液体がしたたり落ちた。しかし、タエは正気には戻らず、この世を去って行った。