旗本やくざ(1966)

劇場公開日:

解説

「北国の街」の倉本聰と「大阪ど根性物語 どえらい奴」の中島貞夫が共同でシナリオを執筆、中島貞夫が監督した。撮影は「日本侠客伝 血斗神田祭」の鷲尾元也。

1966年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年3月10日

ストーリー

時は元禄、世は大平の華美に流れて幕府の財政は窮乏の一途をたどっていた。老中酒井丹波守は、米価の値上げをはかったが、江戸っ子たちがこれを不満として騒ぎだしたため、直参旗本赤柄組に取締を命じた。しかし威光を笠にきた赤柄組の評判は、日増しに非難の渦中におちた。頭を痛めた丹波守は直参旗本の取り潰しを考え、町奴と旗本を喧嘩させ、それを口実に取り潰そうと隠密を放った。折も折、芝居小屋で旗本と町奴の喧嘩があり、間に割って入った丁の目三次という遊び人が、機転を利かして旗本をやっつけた。口八丁手八挺の三次は町奴明神組一家に入り込み、その気ッぷと度胸を見込まれて兄貴株にまつりあげられていた。一方米間屋の駿河屋と手を組んでいる赤柄組は同じ問屋の松坂屋、伊勢屋を事あるごとにゆすり、あげくの果てに祭り一切を仕切ることになった。憤満やる方ない町奴らは三次を中心に祭りの神輿をぶんどって赤柄組の鼻をあかした。殺気立った赤柄組は、明神組の親分三左衛門と、松崎屋を家敷に呼びつけ、さんざん痛めつけた。町奴もいきり立って喧嘩仕度をし、いまや老中丹波の計画通り、町奴と旗本の対立は一触即発の危険な状態となった。そんな騒ぎの中心にいる三次に赤柄組の頭坂崎の妹美津は、いつか心ひかれていた。だがどこか影の宿る三次には、秘密があった。三次は丹波守に放たれた隠密で、実は旗本本多三次郎であった。ある夜美津が、兄の坂崎が三次の殺害を計っていると三次に知らせて来た。坂崎の家敷に向う三次に、やはり丹波守の命令で動く隠密駿河屋が美津を斬れと命じた。窮した三次は美津をつれ吉原のおいらん江戸紫のもとへ逃げた。手傷をおった駿河屋は坂崎の家敷に行くと、美津が三次に斬られたと偽の報告をした。坂崎をはじめとする赤柄組の面々は、明神境内に陣取った。一方明神組でも三次の帰りが遅いので、喧嘩仕度で明神境内に向った。駿河屋の報告から機は熟したとみた丹波守は捕方に明神神社を囲ませていた。二つの対立の間に入り、三次は互いに善人者揃いの人々を、なんとか傷つけまいと努力したが、その甲斐もなく全滅した。三次も手傷をうけた。丹波守の腹は、財政のためとは口実で、赤柄組を消し、町奴の勢力を押え、駿河屋と組んで日本の米相場を牛耳って暴利をむさぼるためだった。三次は丹波、駿河屋に近づくと、丹波に斬りつけた。お江戸八百八町に平和がよみがえり、三次と美津は旅に出た。

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