裸の重役
劇場公開日:1964年7月1日
解説
源氏鶴太の『東京一淋しい男』を「こんにちわ20才」の井手俊郎が脚色「みれん」の千葉泰樹が監督したサラリーマンもの。撮影は「続社長紳士録」の西垣六郎。
1964年製作/103分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1964年7月1日
ストーリー
日高孝四郎は、中央商事の取締役営業部長であった。精力的な彼の仕事ぶりは、仕事の鬼と称されたが、そんな日高も、バーのマダムには“東京一淋しい男”にうつった。十年前に妻を失くし、二十二歳になる啓子を、社内で最も優秀な男と結婚させようと、心くばる日高には、病人をかかえて定年後の心配をする浜中のことなど、眼中になかった。日高の今日の地位を獲得したのは、実力に加えて社長の小杉、大株主松本のヒキがあったことは事実であった。松本からの話で、三ヵ月欧米をまわってくるようにと要請があった。帰ったら常務間違いなしだ。日高の送別会は、満五十歳の誕生日をかねてもよをされた。ピンクのチャンチャコを送られた日高は、妙に年令を意識した。かって浜中に嘱託となるよう頼まれたことが、自分のことのように思われた。一方娘の啓子は、日高の思惑とは逆に消極的で、出世から忘れられた奥田に好意をよせていた。松本の息子との話があった直後だけに、日高の動揺も大きかった。奥田と啓子の結婚は本ぎまりとなった。これで、日高の社長への夢は破れた。以来彼の強気は一転した。小雨の降るある夜、日高はBGでコールガールをする小西咲子に出会った。彼女との出会いは、日高の心をなごませた。松本の要請で、昔の日高孝四郎になって欲しいとチャンスを与えられた日高は、もう一度仕事の鬼になろうと、誓った。だが、今は、若い咲子を離すことは出来なかった。三カ月五万円の専属契約を結んだ日高は、再び仕事の鬼となったが、契約の三カ月がきれようとする時、日高にとって、咲子は、なくてはならない人間であった。日高は、自分のためにも、彼女のためにも。咲子との関係を続けていこうと思った。