パイナップル・ツアーズのレビュー・感想・評価
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ドアのとれたサビサビの軽トラが、なぜかいいんだよなあ。
20年近く前に何かで観たのだが(レンタル?深夜TV?)、その時の印象は「なにこれ最高やん!」であった。そこから沖縄にはまり『ホテル・ハイビスカス』で、さらに沼に。。
今回映画館でリバイバル上映されるということで「行かなきゃよかった同窓会」になる一抹の不安を抱えながら思い切って鑑賞。
結果は、、、「発見のオンパレード」。
・出演の女の子たち、こんなに可愛かったのか。「麗子おばさん」の娘の由美子を筆頭に、「春子とヒデヨシ」の新婦春子、「爆弾小僧」のやり手ディベロッパーのスギモト、それから脇役のやよい。。由美子とか当時印象になかったけど、めちゃ可愛いわ。
・これも全然覚えていなかったのだけれど「船長」と「(相棒の)タルーおじさん」が三話を通して出演していて、これがとてもいい味になっていた。 沖縄のゆったり&適当&やさしい感じを全編通して醸し出していた。 当時は印象になかったなあ。
・当時は三話のなかで「麗子おばさん」の「声のないリサイタル」の神秘的な雰囲気がとても素晴らしくて好きだったけれど、今回は「春子とヒデヨシ」が響いた。夜這いに関する船長とタルーのキワイ発言には少々びびった。それが犯罪でなく単なる風習でしかないのが沖縄か。。あと「あの声」はなかなか良かったなあ。(笑
・「爆弾小僧」も大変面白かった。
今気づいたけど、カマド婆が縁側からジャンプして「飛ばりいっさ。(飛べるさ。)」というシーンは、結末への伏線だったのな!! わからなかったわー(笑
はじめて観た当時のような強烈なインパクトはなかったけれど、当時は気づかなかった新たな発見が多くて、改めてよくできてるなあと感心するに至り、思い切って観てよかった!
昔の美化した思い出にも耐えられるほど、それだけいい映画だということでしょう。
※今回のパンフレットがこれまたとても良い。3人の監督の話、出演者紹介、そして何より脚本!沖縄弁と標準語訳の両方が並んで表示。これサイコーやん!!絶対買いですよ!
癒しの島なんて、、言わせない
ずっと鑑賞したかった作品ですが、なかなか縁がなかったところ、配信で見つけました。U-NEXTありがとう。先月約10年振りに沖縄に旅行したので、沖縄の神様がプレゼントしてくれたかな?
バブルの時の作品&監督の若さから、爆発力と妙なウキウキ感が伝わってきました。90年は米米クラブの「浪漫飛行」が大ヒットしたので、沖縄と言えば「浪漫飛行」。当時はこんなに多種多様な何ともいえないチャンプルー文化があったなんて知る術もない子供でした。
本作に沖縄の文化が色濃く残っているのも、琉球大学の学生が監督というのが強いと思います。いい意味でわけわからないです。そして、この発想と粗さが魅力な作品でした。本作を鑑賞すると、沖縄を勝手に「癒しの島」なんて言うのが、失礼というか憚られます(確かバブル期は癒しという言葉はほぼ使われてなかったような?)。
りんけんバンドも素晴らしかったですね。余談ですが、私は5年以内にコザに住むと決めています。
紙幣爆撃
本作を見て、やはり沖縄という空間は日本という国家の一部にやすやすと接収できるようなシロモノではないなと改めて思った。
文化的差異ももちろんそうだが、何よりそこに流れている時間の速さが違いすぎる。そこでは時間は時計の秒針によってではなく、雨や風などの自然のダイナミズムや冠婚葬祭をはじめとする伝統的慣習によって区切られている。それゆえどれだけ画面そのものがワチャワチャしても、せせこましい感じがしない。
異国情緒、などという手近な語彙で片付けたくはないが、それでも我々内地人からするとやはり沖縄は日本とは異なる別世界に思われる。『ウンタマギルー』なんかを見たときもそう思った。
本作は3つのセクションからなるオムニバス作品だが、それぞれのセクションが登場人物や世界観を完全に共有しているためほとんど一本の映画といって差し支えない。どの部も沖縄の緩やかな時間の流れを感じられて心地よいが、とりわけ3部「爆弾小僧」は記憶に残った。
洞口依子演じる杉本は、島に埋まった不発弾を発見すれば発見者に1億円を贈呈するという。それを聞きつけた地元のパンクバンド「爆弾小僧」の2人組は、ニセの爆弾を造って1億円を強奪しようとする。2人は杉本が乗ってきた小型飛行機に乗って島から逃亡を図るが、ああだこうだと揉めている間にエンジンをかけっぱなしていた小型飛行機は勝手に空へと舞い上がってしまう。もちろん1億円のアタッシュケースと一緒に。
島民たちは島の上をフラフラと滑空する飛行機を見上げる。すると飛行機からヒラヒラと何かが紙吹雪のように舞い落ちてくる。それはアタッシュケースから漏れ出した無数の紙幣だった。島民たちは思わぬ僥倖に狂喜乱舞しながら紙幣をかき集める。そしてそんな大熱狂の中で本作は幕を閉じる。
これら一連のシークエンスが太平洋戦争における米軍の加虐に対する、被虐側(=沖縄)からの文化的反撃であることは自明だ。島の上を滑空する小型飛行機は米兵と爆弾の乗ったB-29そのものであるし、巨大な資本をちらつかせ島民を誘惑する都会人の杉本は戦後に沖縄本土へ流れ込んできた米軍の姿と重なる。本作の冒頭にあった米軍による沖縄空爆シーンは明らかに本シーンの枕詞として付置されていたように思う。
しかし本作の小型飛行機は爆弾ではなく金銭の雨を降らせる。当の杉本は軽トラに乗ったまま海に落っこちて威厳もへったくれもない末路を辿る。一方で島民たちは空から突如として降ってきた1億円の恩恵に湧き上がる。
島民たち、つまり沖縄の人々は、一切の暴力的措置を講じることなくして米国(あるいは内地)に一矢を報いたというわけだ。
それにしてもこれだけ強大なイデオロギーを、あくまで沖縄映画に伝統的な間の抜けたマジックリアリズムによって表現したというのがすごい。こんな主題を扱おうとすれば普通はもっと平々凡々なドキュメンタリー的作風に寄ってしまうと思う。
今年は沖縄返還50周年の節目であるわけだが、なぜか都内でそれを視野に入れた上映キャンペーンなどが行われていないのが悲しい。DVD化やサブスク配信をしていない作品も多いから是非やってほしいんだけどな。
不思議でめちゃくちゃだけど魅力的
沖縄にある架空の島 具良間島。
癖のある住人が起こす、これまた癖のある出来事の数々を3つのエピソードで描く。
今作のゆったりとしていい加減な雰囲気に引き込まれた。
この島のエピソードをまた観たい。
1つ目 声の出なくなったオペラ歌手が原因を占ってもらうため里帰りする話し。
一番不思議で好きな話。
方言が強すぎて字幕がないと訳わからずどこか外国の話のように感じた。
不発弾の存在にあたふたする比嘉、不憫。
麗子おばさんの喋らなくてもわかる奥ゆかしさ。軽トラのドアの開け方が面白かった。
2つ目 なんとなく本国から居着いたヒデヨシを定住させようと目論む。
あれよこれよと住人の思うがままにことが進む展開がおかしくも面白い。
ヒデヨシの前で方言を使いながら踏み込んだ話をしていくから笑っちゃう。
いい加減にしてはいけないことがある。騙されたとしてもヒデヨシの覚悟の無さはちょっともどかしかった。
3つ目 不発弾に懸賞金1億がかけられ、荒削りなバンドを組むアキラと夏子は1億を狙う。
最後のエピソードにしてもっとも勢いよくてめちゃくちゃなフィナーレだった。
(オール日本語字幕入り) 琉球大学出身3人の監督によるオムニバス、...
(オール日本語字幕入り)
琉球大学出身3人の監督によるオムニバス、というか同じ登場人物を使った3つの時代のタイムライン上に3つのエピソードが展開する作品。上映した劇場の社長さんはこの作品の2つめを撮影、彼の商業映画のデビュー作となる。
日本映画と呼ばないでくれ!と公開当時は宣伝活動をしていたらしい。曰く「とんがっていたなあ」という大学卒業間もないころの若々しさにあふれていた。
撮影した3人の監督舞台挨拶そろい踏みで、撮影から20年以上もたつと、こんな青二才みたいな作品がこっ恥ずかしくてたまらんらしいと、ずっーーーと話していた(笑)
レンタルとかまだあるのかな。
洞口依子演じるリゾート開発ディベロッパーを迎えた第3話では、離島から本土(日本)への批判も込めたエピソードもある。今でもこの手の問題ってあるから、20年以上前の設定から全然変わっていないのね~と思う。
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