ノサップの銃
劇場公開日:1961年9月2日
解説
田中小太郎の原作を「三つの竜の刺青」の星川清司が脚色、「七人の挑戦者」の松尾昭典が監督した活劇。撮影も「七人の挑戦者」の萩原泉。
1961年製作/91分/日本
配給:日活
劇場公開日:1961年9月2日
ストーリー
ツバ広の帽子を目深に、猟銃を背にしたガンは、出面の女たちにまじってオホーツク海に面したノサップ村で馬車から降りた。ここでは仙田剛造と浅川進吉の二人の網元が出面の到着を待っていた。罐詰工場を拡張して羽振りのいい仙田側にくらべ、浅川側の表情は暗い。船も家も抵当に入っている浅川は、銀行からの融資を断られた矢先なのだ。出面が集まっても、肝心の資金がなくては独航船も出せない。死んだ先代の仙田と浅川は兄弟以上に親しかったが、後見人として釧路から乗り込んできた腹黒い剛造は、浅川の漁場を狙っていた。ガンは剛造の息子の猛と会って、臨時雇いの口にありついた。猛は死んだ先代の娘ユキと従兄妹の間柄だが、浅川の息子進次と婚約しているのを承知で、ユキに横恋慕している。ガンがユキを知ったのは猛が罐詰工場の横でユキを強引に抱きすくめようとしているときだった。ガンの見事な曲射ちに、猛は度肝をぬかれた。一方、剛造は資金を借りにきた浅川を冷たく帰そうとしたが、ユキは父をたしなめるのだった。翌日から仙田が集めた流れ者の手で、浅川側への圧迫が始まった。ノサップ一の暴れ者と自他共に許す浅川側の丁半の辰は、その張本人をガンと感違いしてガンに決闘を挑むが、豪快なガンのアッパーに気を失った。数日後、浅川の独航船が出港した。ガンは濃霧の中で小舟を漕ぎ出す出面の女はるを救った。彼女は死んだ仙田の落とし子で、ユキとは姉妹だが知る由もない。翌日、開拓集落民に頼まれて熊を射とめた帰り道、ガンはユキを猛の毒牙から救った。ハマナスの花の咲く砂丘でガンとユキは語り合った。折も折、気づかわれていた浅川の船が帰ってきた。ソ連の巡視船に捕えられ、幽霊のような姿であった。仙田の流れ者が浅川の作業場になだれ込んだ。かくて、片目の風森が刑務所から出てくるや、二つの貸元の争闘は白熱化するが、ガンは進次を助けて浅川を再興させたのである。