熱泥池

劇場公開日:

解説

「ジャコ万と鉄(1964)」「斬られの仙太」の田中友幸の製作で、大衆作家木村莊十の原作から「果てしなき情熱」の演出者市川崑と板谷良一が脚色し、市川崑がメガホンをとる。カメラは「影を慕いて」の横山実、太泉の利根はる恵の主演で、藤田進、堀雄二が付き合う。

1950年製作/101分/日本
劇場公開日:1950年5月1日

ストーリー

百万円強盗犯人の栗田は港の酒場女カツミを十五万円で契約して北海道行の船に乗り込んでいた。カツミは金に縛られて栗田と一緒に船上の人とはなったものの、野蛮極まる彼に総てを許しているわけではなかった。暗い影を背負い込んだ栗田は毎日いらいらと酒浸りであった。彼は北海道の山中に逃げ込んで百万円の金でカツミと楽しく暮らす積もりだった。ところがここに妙な人物が現れた。元医者をやっていたと称する千葉という男。彼は栗田の犯罪を薄々かぎつけているらしかった。親切ごかしに何かとカツミに近付く。カツミは船のボーイ御小柴とフトした事から知り合い、何か忘れられない存在となった。船はやがて北海道に着く。栗田は嫌がるカツミを引きずって山の中に入り込んだ。千葉も図々しくついてきた。栗田は山小屋を改造して酒場を拵え、砂金掘りの山男相手に小銭を絞り取る事を考えた。喧嘩沙汰は毎日の事であった。栗田は少し離れた大木の根元に百万円を隠していた。千葉は毎日シャベルを持ってその金を探し廻っていた。カツミは何とかして栗田から逃れようと機会を狙っているがナカナカ栗田の監視が厳しくてダメであった。栗田と千葉の対立は日毎先鋭化していった。金に憑かれた二人は獣の様に争った。ある日栗田は山男の一人鉄砲松に千葉を殺す様に命じた。やがて銃撃一発。栗田はニヤリと笑った。ところがのっそり帰って来た男は千葉であった。千葉の眼は突き刺すように鋭く光った。千葉は遂に百万円の隠し場所を発見した。しかしそこに栗田が現れた。すさまじい格闘。栗田は力尽きて倒れた。千葉は煮えたぎる溶岩の中に落ち込んだ。カツミは逃げ出した。命を限り走った。金も何もいらない。その彼女の眼の前に突然現れたのは何と彼女が夢にも忘れなかった御小柴だったのである。

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