モーリー・イェストンの日本文化愛あふれる新作ミュージカル「ISSA in Paris」で、海宝直人が痛感した日本語の力とは? 【若林ゆり 舞台.com】
2026年1月17日 08:00

日本が誇る俳句の代名詞とも言うべき小林一茶には、若き日に空白の10年間がある。「NINE」や「ファントム」などの作曲で知られるモーリー・イェストンが、一茶の俳句に感銘を受けたことからこの10年間に思いを馳せ、生み出されたのがミュージカル「ISSA in Paris」だ。「恋におちたシェイクスピア」や「真珠の首飾りの少女」などと同じように「作品誕生の裏側にはこんな出来事があったかも」と想像の翼を広げて作られた本作は、ダイナミックで繊細な異色作。江戸時代の江戸から長崎、フランス革命へと飛び込んでいく若き一茶に、現代日本に生きるミュージシャンの人生が交錯する。そのミュージシャン、海人役を演じる海宝直人に話を聞いた。

まずは現代日本での幕開け、ISSAというアーティスト名で活動する海人のナンバー「TALK TALK TOKYO」では、一茶の俳句が英訳され、ポップなメロディに乗って歌われる。イェストン作曲の従来のイメージとはかけ離れた、それでいて「外国人の日本趣味」的でもない趣向に驚く。
撮影:若林ゆり作品の背景が、時代も場所も大きく変わっていくので、それに合わせた楽曲は幅広く、多彩だという。
撮影:若林ゆり海宝演じる海人は、一茶の研究家だった母親との間に葛藤を抱えており、亡くなった母が書いた“パリでの一茶”像を通して変わっていく。
撮影:若林ゆり物語は時空を超え、海人は一茶に影響されていくが、タイムスリップとも違う。その部分の表現も、稽古を重ねながら試行錯誤を繰り返して作っている。
撮影:若林ゆり海宝自身もこの作品を通して俳句という芸術表現に向き合い、日本語について新たな発見を重ねている最中だ。
撮影:若林ゆりそれはたとえば、今回の脚本・訳詞を手がけている高橋知伽江が、ディズニーアニメーション映画「ノートルダムの鐘」のミュージカル版(劇団四季での日本初演時、海宝は外部からオーディションに参加し主役のカジモドに抜擢された)で訳詞をしたときのエピソードを最近聞いて、痛感した部分だという。
撮影:若林ゆり「イリュージョニスト」「この世界の片隅に」などなど、日本初演や日本オリジナルのミュージカルに数多く挑んできた海宝。初めての作品では正解を自分たち自身で探し、決めなければならず「生みの苦しみ」がつきものだ。だが、その過程を経たからこその充実感や達成感もひとしおだろう。今作中で海人が作る歌に「一つの言葉や歌が、 世界だって変えられる」というフレーズがある。そこは、このスタッフやキャストが抱いている思いともリンクする。
撮影:若林ゆり
撮影:若林ゆり2025年は海宝にとって、ミュージカル「美女と野獣」のチップ役でデビューを飾ってから30周年という年だった。それを記念して行われたコンサート「ever」、そして海宝直人×オーケストラ「more」では、構成・演出にも挑戦。
撮影:若林ゆりまた、海宝にとっては映画「ウィキッド ふたりの魔女」と「ウィキッド 永遠の約束」でフィエロ役の日本語吹き替えを担当したことも、大きな経験だった。
撮影:若林ゆりさらに2026年には、ヒッチコック監督で映画化もされた原作のミュージカル版、「レベッカ」のマキシム役を山口祐一郎から引き継ぐことも発表された。
ミュージカル「ISSA in Paris」は2026年30日まで東京・日生劇場で、2月7日〜15日に大阪・梅田芸術劇場メインホールで、2月21日〜25日に名古屋・御園座で上演される。詳しい情報は公式サイト(https://www.umegei.com/issa2026/)で確認できる。

執筆者紹介
若林ゆり (わかばやし・ゆり)
映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。
Twitter:@qtyuriwaka
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