濡れた荒野を走れ

劇場公開日:

解説

表向きは警察だが裏では強盗団という秘密組織を描き、権力の二面性を鋭く抉った問題作。脚本は長谷川和彦、監督は「反逆の報酬」の沢田幸弘、撮影は「雨の夜の情事」の山崎善弘がそれぞれ担当。

1973年製作/73分/日本
配給:日活
劇場公開日:1973年6月23日

ストーリー

ある地方都市。ベトナム救済募金が数人の覆面グループに強奪された。グループは犯行が終るや、何くわぬ顔で警察官に早変り、事件現場に急行、証拠隠滅を計った。数百万円の募金をものにした主犯の原田、加藤は、署長から、精神病院に入院していた中村が、脱走したことを知らされた。中村は、記憶喪失におち入り、変態行為をする、原田の元上役の警官である。だが、原田らは、中村の病気は彼が組織から逃げ出すための芝居だと睨んでいた。ただちに付近一帯に非常線が張られたが、駅の公衆便所に女の絞殺死体が発見された。原田と加藤が駆けつけた時、丁度中村の乗った列車が発車したところだった。すぐ車に飛び乗った原田と加藤は猛スピードで列車を追跡した。彼らはいつしか、県境を越えていた。一方、車内で、中村は坐り合せた女学生の清水まり子の若々しい肉体に惹かれてゆき、ついに抱きしめた。その時二人をからかった男がいた。中村は、カッとなりその男を絞め殺した。追いつめられた中村は、まり子を人質に、拳銃をふりかざして、列車が駅に着くやいなや逃走した。翌日、署長から原田と加藤に命令が下った。「管轄外だから、中村が記憶喪失なら帰って来い、もし正気ならば正当防衛で殺せ」と。中村とまり子は盗んだライトバンで逃亡、海岸に辿りついた。二人の間にはいつしか奇妙な連帯感が芽生え、まり子は中村を優しく抱きしめた。やがて、まり子は、従兄弟のいるドサ廻り劇団“白日夢”の現在の居所を、ラジオのディスクジョキーで聞き、中村を連れ、仲間に入れてもらった。一方、そのラジオを、原田も聞いていた、原田は、加藤に中村の妻恭子を連れて来させ、旅行者と偽って劇団に入り込んだ。しかし、中村は三人に何の反応も示さなかった。夜、突然、覆面のオートバイ集団が、一座に殴り込んで来た。高鳴るエンジンの音と絶叫によって、中村のデモ隊鎮圧の時の阿鼻叫喚が意識の中で甦って来た。錯乱の極限の中で中村は、妻が覆面姿の加藤に犯されているのを見た。中村は全身を震わせて加藤に飛びかかった。そして拳銃を奪い、乱射した。弾丸は恭子の胸を撃ち抜いた。中村の弾丸が切れた時、原田が中村の眉間を撃ち抜いた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0悪徳警官

2019年1月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

萌える

複雑にも単純にも取れるような物語をクセのある構成で書き起こす長谷川和彦の脚本は逸品。

悪の組織に塗れた警察を暴くのではなく罪から逃れる為に奔走する悪は悪のままで。

勝手に電話を取ってしまう相棒にツッコミを入れる地井武男の振る舞いに笑けてしまう。

斬新にも思える演出の数々に70年代の日本映画も捨て難い面白さ。

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万年 東一

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