濡れた唇(1972)
劇場公開日:1972年1月29日
解説
愛欲の果て殺人を犯し逃避行に堕ちる男女の姿を描いた成人映画。監督は神代辰巳。
1972年製作/75分/日本
配給:日活
劇場公開日:1972年1月29日
ストーリー
材木屋の主人の娘幸子とそこの住込み店員金男の二人は恋人同志だったが、金男はなぜか幸子に充たされないものを感じていた。デイトの夜、幸子と別れた金男は、公園で夢中になっているアベックにいたずらしようとするがそれも気が進まず、コールガールとの交渉で気を静めようとした。スナックでマネージャーと共に現われた洋子を見て金男は一目で好きになってしまった。それからというもの金男は、洋子に邪険にされながらも彼女に魅かれていった。金男は何も知らない幸子をだまし「君との結婚を田舎に知らせてくる」といって彼女の家から逃げだした。洋子のアパートで二人の時間を楽しんでいた時、スナックのボーイ勇がやってきた。実は彼は洋子のヒモだったのだ。勇は洋子から手を引くから十万円だせと金男にもちかけたが、洋子が仲に割って入ってもめているうちに、コーラのビンで頭をなぐられた勇は死んでしまった。それから二人の逃亡の旅が始まった。冷たいバンガローで、夜汽車の中で、恐怖から逃れるため、そして愛を確めるため二人は交りをくり返した。広々と田園が続く洋子の田舎に着いた二人は、彼女の幼なじみの清から、すでに洋子の家に刑事がはり込んでいることを知らされた。清はいやがる恋人久子を連れ、洋子たちの逃亡に一役買ってでるのだった。しかし、四人での旅はすぐに資金が底をついてしまった。そこで清はタバコ屋から金を盗むことに成功したが、それも束の間に消えてしまった。そして二組のカップルにも変化が始まり、いつの間にか、洋子と清、金男と久子に変った。しかし四人一組であることには誰も異議はなかった。逃亡生活にいや気がさして来た金男は、四人の共同体を作るため、まじめに働くことを提案し、職さがしに出かけるが、またしてもタバコ屋を襲った清が犯行を目撃され、一緒にいた洋子は警察に捕まってしまった。警察での追求は厳しかった。しかし、たとえ自白を強要されても洋子は金男の姓や住所など知らなかったのだ。洋子は、彼の愛だけが必要だったことを改めて痛感した。一方、金男は約束の場所に現われぬ三人に、なぜか自分の今までの行動の空しさを知り、逃げ出したはずの幸子のもとに帰る決心をするのだった。