新妻鏡
劇場公開日:1956年9月26日
解説
薄倖な美女がたどる数奇な運命と、気高く美しい愛情の物語。小島政二郎の同名小説の再映画化。脚色は「君ひとすじに (完結篇)」の村山俊郎と新人平塚広雄、監督は「君ひとすじに (完結篇)」の志村敏夫、撮影担当は同じく山中晋。主な出演は「君ひとすじに (完結篇)」の高島忠夫、「世紀の勝敗」の池内淳子、沼田曜一、「ロマンス娘」の花井蘭子、その他藤村昌子、前田通子など。
1956年製作/89分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1956年9月26日
ストーリー
七里文代は両親を失い、婆やのお多喜と暮していた。秋の温習会で踊った文代の美しさに、金田商事の副社長が目をとめた。その見合いの当日、文代を慕っている隣家の邦夫少年に買ってやった空気銃が、あやまって文代の眼を射ってしまった。その病室に、邦夫を連れて兄の博が詫びに来たがお多喜は冷く追い帰した。博が毎日送って来る花の送り主が金田と信じる文代に、お多喜は、金田が盲を嫁に出来ぬという両親の反対にあって洋行した事を云えなかった。退院した文代の前にあらわれたのが、もと七里家の使用人、大木だった。彼の前歴を知るお多喜は快く思わなかったが、文代はその親切を信じ切って結婚を承諾した。その新婚旅行先で、大木の前に昔の女梅子が現われたが、見えない文代は知るよしもなかった。やがて大木は七里家の財産を使い果し、実印を持ち出して姿を消した。数日後、七里家が売却された事を知って、責任を感じたお多喜はガス自殺を企てたが、駈けつけた博に助けられた。仔細を聞いた博は、文代達を自分の家に引取り、彼は仕事でマニラに発った。大木の子を生んだ文代は生活も苦しくなり、偶々前の踊りの師匠藤丸に逢って、師匠の薦めで寄席で歌う決心をした。席亭の八万大造がその文代に眼をつけたが、レコード会社の牧野と永田に急場を救われた。彼女の歌をきいた二人は文代を説き伏せてレコードに吹込ませた。それが見事にヒットしたのを今は落ちぶれた大木が発見、百万円と引きかえにと、子供を誘拐して行った。取敢えず十万円持って文代は出掛けた。それを受取って立去ろうとした大木は、丁度帰国した博に取押えられた。やがて再手術を受けた文代の眼には、子供の顔、博の顔がはっきりうつっていた。