劇場公開日 1953年11月3日

東京物語のレビュー・感想・評価

全59件中、21~40件目を表示

5.0歴史的名作であり歴史的偉業なのだと思います。

2021年9月30日
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鑑賞方法:DVD/BD

これまでちゃんと見たことがなかったのですが、初めて通しで鑑賞。
どうしても、世界的名作という評価と、どこかで読んだり聞いたりした著名人の推しコメントがこびりついているので、何らかのバイアスゼロというわけにはいきません。

今見て面白いか?

と問われたら正直、うーむ、と唸るしかありません。

でも凄さは十分に伝わってきます。

この映画で描かれているテーマはすべて、今作られているたくさんの映画たちも、色々と設定や形を変えて懸命に描こうとしている普遍的なものです。

太平洋戦争で日本が降伏したのが1945年8月。
この映画が作られたのが1953年。

戦後復興と生きることに必死になっている時代にですよ、日常生活の中にふと訪れる虚無感とか焦燥感とかを、実に鋭く切り取って、映像に落としているのです。

登場人物の中で一番成熟した大人のように感じる紀子ですら(というより紀子だからかもしれません)、日常が日常として何事もなく過ぎていくことに、時として耐え切れずに泣いてしまうわけです。
『私、歳を取らないことに決めたのです』なんてセリフから窺える〝無理してる感〟が終盤になって明らかになってくる展開はサスペンスと言っても過言ではないほどです。

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グレシャムの法則

4.0戦後の変わっていく家族関係

2021年9月4日
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鑑賞方法:映画館

笑える

萌える

1953年頃、尾道で暮らす周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)の老夫婦は、東京で暮らす子どもたちを訪ねるため上京した。しかし医者の長男・幸一(山村聰)と美容院を営む長女・志げ(杉村春子)は自分の生活が忙しく、両親の相手が出来なかった。戦死した次男の妻・紀子(原節子)だけが優しい心遣いを見せ東京の観光案内までしてくれた。そして、東京から帰る途中とみの具合が悪くなり大阪の三男・敬三の所に寄ってから尾道に帰ったが、帰宅後に体調が急変した。危篤の電報を受け帰省した息子と娘も、とみが亡くなり、葬儀が終わるとさっさと東京や大阪に帰ってしまい、次女京子(香川京子)と暮らす父のもとに残ったのは我が子ではない紀子だけだった。そんな親、実子、嫁といった家族関係を描いた話。

戦後の日本の家族関係が戦前とは変わっていった様子を描きたかったんだろうと思った。それまでは「家長が」とか、「長男が」とかだったのが、戦後は平等というある意味無責任な親子関係になっていったのだろうと思った。
原節子を初めてスクリーンで観たが、鼻は大きいし、美人というほどじゃないと思った。香川京子や三宅邦子の方が綺麗かも。
戦後たったの8年後に撮影された東京の復興がすごくて驚いた。尾道は現在ともあまり変わらない感じだった。
なんとも言えずほのぼのとした良い作品だった。

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りあの

4.0時代や国が違っても同じ思いを馳せる

2021年9月1日
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鑑賞方法:VOD

個人評価:4.2
親と子の関係や距離、いつの時代も変わらないと感じる。親子だから冷たくドライにできる。他人だから相手を気遣い優しくできる。身につまされるこの感覚がなんとも切なくなり、実家にたまには帰ろうかと我が身を振り返る。
時代が変わっても普遍的なテーマであり、また国が違っても同じ思いを馳せると感じる。

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カメ

5.0戦死した次男の嫁(原節子)が聖女のようでいて人間くさくもあり素敵だ...

2021年5月17日
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戦死した次男の嫁(原節子)が聖女のようでいて人間くさくもあり素敵だった。人物描写が細かくて時の流れが凄い伝わる。

尾道から東京に出てきた老夫婦、息子たち側で何かしてやらねば、なんだけれどそれぞれ家庭の事情がある。三男は大阪。
「誰だってみんな自分の生活が一番になってゆくのよ」っていう台詞があって大きな流れはそんな感じ。
「いいえ、私は一人で生きていくんですの」っていう原節子。
「一人になっちゃったなぁ」の笠智衆。
どこにでもあるようなこの話に、二人が深みを与えている。名作です。

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collectible

4.5いつ観ても傑作

2021年5月5日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

楽しい

大人になると「家族」の形が知らぬ間に変化する、今回はなんだか身に染みて悲しくなりました。血が繋がっていない方ができることや言えることがあるなんて、素敵だけど悲しい。「ありがとお」「もう、やんなっちゃうな~」など東京物語ごっこが我が家で流行りました。

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みな

4.0今にも十分通じるストーリー

2021年4月6日
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一言「地味だけど、最後心に沁みる」。

小津安二郎監督作品、初めてです。
デジタルリマスタリング版を見たので、画像も綺麗で新鮮でした。

正直シンプルな内容で、人によっては「単調でつまらん」かもしれません。
これは私のように地方在住、東京へ行くなんて一大事!。
な方には、時代は違えども両輪の気持ちがわかるかと。

東京に住む子供たちのところへ行ったけれど。
子供たちもすでに親になっていて、家庭がある。
そういつまでも相手はしていられない。

両親の会話の奥には「もう子供たちは、大きくなった。それでいい」。
2人のおっとりとした会話の中に、そういう意味合いもあったのかな。

最後に笠智衆さん演じる父親の言葉が、良かったなあ。
それまでは「そうじゃのお〜」なんて、のんびり口調だったのに。
原節子さん演じる義娘にかけた言葉に、ジーンとホロリ。
ちゃんと義両親は、未亡人になった義娘のことをしっかり見てたんだなあって。

東京から尾道へ帰る「鉄道乗り場」のようなシーンなど、時代を感じさせる箇所が。
どこか懐かしい描写でした。

⭐️今日のマーカーワード⭐️
「そうか、もうみんな帰るかい」

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ゆき@おうちの中の人

5.0見るごとに映像が綺麗に

2021年2月18日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

尾道で末娘(香川京子)と暮らす老夫婦(笠智衆、東山千栄子)が、東京に住む息子や娘を訪ねる。
長男夫婦(山村聰、三宅邦子)は開業医をしており、家が狭いので子供部屋を取り上げる。
長女(杉村春子)は美容院をやっている。
次男は戦争で亡くなり、未亡人(原節子)は今も一人で暮らしている。
三男(大坂志郎)は途中、大阪で会ってきた。
みんなそれぞれの生活を守るために一生懸命だが、両親には出来るだけの事はしたいと思っている。
今も同じで、日本の家族が抱えている実態をソフトに突きつけてくる。

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いやよセブン

5.0素晴らしい

2020年12月11日
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ホント素晴らしい☆彡

セリフ一つ一つ丁寧にココロに響く

白黒なんだけどあざやかに色合いが浮かぶ

やはり、笠さんと原さんの2人の掛け合い

が好き☆彡

思わず、原節子という写真集and小津安二郎の

本を映画館にて購入。

映画館で見るのが一番好き👀(^_−)−☆

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花丸

5.0人類を説明している映画

2020年7月11日
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個人的な認識ですが、小津映画といえば、役者がカメラをまっすぐ見据えて、ほとんど表情を変えず、まるで抑揚のないセリフ回しをする映画群のことです。ほとんど状況描写のない、世界中どこを探してもない、妙な映画たちです。
個人的にいちばん好きなのは戦前の「淑女何を忘れたか」だと思います。むろんソースがなくて未だ見ていない映画もありますが、腰位置のスタイルが完成する以前の映画のほうが好きかもしれません。ただ東京物語は別格です。

紀子(原節子)のセリフ「誰だってみんな自分の生活がいちばん大事になってくるのよ」が東京物語の白眉です。この言葉に集約された物語だと思います。

母の葬儀が終わると、実子らはとっとと東京へ戻ってしまいます。義子である紀子が残って、周吉(笠智衆)を甲斐甲斐しく世話します。
それを悪びれた次女(香川京子)が「ずいぶん勝手よ、言いたいことだけ言ってさっさと帰ってしまうんですもの」──「お母さんが亡くなるとすぐお形見ほしいなんて、あたしお母さんの気持ち考えたら、とても悲しうなったわ、他人どうしでももっと温かいわ、親子ってそんなもんじゃないと思う」と愚痴ります。
それを受けての紀子のセリフでした。「でも子供って大きくなるとだんだん親から離れていくものじゃないかしら……誰だってみんな自分の生活が~」
二人の会話は「いやねえ世の中って」「そう、いやなことばっかり」ということに帰結します。

だからといって、小津監督は家族のつながりなんて無情なもんだと言いたかったのではないはずです。
子が成長し、親元を離れ、生活基盤を据えてしまえば、それぞれの屈託をかかえて、とうぜん親子関係なんて疎遠にならざるをえません。誰だってそうです。そうならざるをえない社会のやるせなさや寂しさを、東京物語は描いているのだと思います。
でなければ、世界中の人々が、東京物語に共感する根拠がありません。ここにはひとつも無情なんて描かれていません。「孝行したい時分に親はなしや」「そうでんなあ、さればとて墓に布団は着せられずや」というセリフ通りの、遍く人間社会のモデルケースの話です。

私たちは、久々に故郷に帰ってきて、思いのほか老いてしまった父母の後ろ姿を見たときのような哀愁を、東京物語に見るのです。ほんのいっときにせよ父母への不孝にさいなまれるのです。その感慨には国籍がありません。だからIMDBが8.2なのです。本質を突いていることを、誰もが認めざるをえないのです。

宇宙探査機には、地球人がどんな生き物なのか、未知なる宇宙人に説明するためのSETI情報が備えられています。
もしその用途に映画を一本選ぶとしたら、私は東京物語だと思います。

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津次郎

4.5いい映画とはこういうものなのか。

2020年2月7日
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鑑賞方法:VOD

約70年前の映画だというのに、ものすごく感じるものがある。田舎の親が東京に訪ねてくるというシチュエーションもすごい。どうしたら思いつくの?出てくる台詞の一つ一つが響く。姉と兄は随分薄情に見えるが、なるほど次男の嫁が言う通り、こういうもんなんだろう。しかしお父さんの立場になってみるととてもとても切ないのだ。いわば他人の次男の嫁が一番よくしてくれるなんて。親は大切にしようと思った。

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いつこ

4.0人間の「生」

2019年12月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

どんなに大切な人であっても、他のすべてより優先してその人との時間を過ごせるわけではない。
物語の中では、薄情だと思われることでも現実に生きているとそんなことは往々にしてある。
綺麗な心のまま大人になりたいという理想を静かに打ち砕くようなこの映画は、なかなか残酷だなと思った。

悪や正義のような対立はある領域においてはあるかもしれないが、「生」においてはヒーローも悪役もいない、ただ人が生きている時間がある。それは、尊いものである。

観る人によって様々な思いを抱く作品である。
観る人の年齢によっても感じ方が大きく違うのだろうなとも思える。
もう少し年をとった時、もう一度観た自分がどのように感じるのか楽しみである。

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ちゅーる

4.0繰り返し

2019年11月15日
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鑑賞方法:VOD

若い時分に見ようとしてタイミングが合わず逃していたタイトル。たぶん見ててもよく理解できなかったであろう。

親が亡くなる年齢になるとよくわかる。シビアで残酷でもある生活というリアルさ。親子関係・自分の世界が一番大事になってくること。

老齢になるとまた違った感情で見ることになるだろう。

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散歩男

4.5嫁入りものの変種?

2019年2月10日
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鑑賞方法:映画館

スクリーンで観なおし。
色々と新たな発見があり、大変面白かったです。

もっとのんびり落ち着いた映画だと思っていたけれど、やりすぎ?ってくらい、セットも演技も凝っていますね。
特に色々なタイミング、人の出入りや影の使い方など、カチカチと決まっていくようでスリリングでした。

それが映画後半になって、間やセリフが緩むとともに、重さが増してきて、とても説得力がありました。

熱海での逆光の堤防シーンはとても美しく、ずっと眺めていたかったです。

今回のいちばんの発見は、原節子の終盤での演技でした。
この映画は家族の話だと思っていたけれど、小津流嫁入り話の変種、バリエーションとみなしたほうが、腑に落ちやすい気がします。
このことについて、もう少し考えてみたいと思いました。

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凪

5.0回数重ねるごとにあがっていくんでしょうね。 素晴らしかった。

2018年9月22日
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回数重ねるごとにあがっていくんでしょうね。
素晴らしかった。

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平一

3.5仕方がないこと

2018年7月7日
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普遍性のあるテーマなのか、先見の明なのか、現代でも幅広く共感されるであろうテーマ。終盤で京子に紀子が皆そうなると諭し、周吉が紀子にそれでよいのだと許しをあたえる。しかし、周吉の孤独は自分で抱えるしかないのではないか。そして、それは彼の子供達の未来の姿にも思える。

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komasa

5.0親子ものといったらこれだわ

2018年4月7日
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鑑賞方法:DVD/BD

親子ものといったらこれだわ

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じとしゅん

5.0ドメスティックなようでインタナショナル 洋の東西、国も人種も超えて普遍的なものを表現できている作品です 永遠の名作、世界の映画遺産そのものです

2018年3月10日
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言わずと知れた小津安二郎監督の代表作です
世界的にも評価は高く「映画監督が選ぶ史上最高の映画ベストテン」で1位になったこともあります
というか毎年その上位の常連です
小津安二郎監督自身も世界一の監督に選ばれたりして、近年ますます評価が高くなるばかりです
ファンとしては嬉しいばかりです
つまりドメスティックなようでインタナショナルなのです
洋の東西、国も人種も超えて普遍的なものを表現できている作品なのです

本作は1953年11月3日公開
今年2023年は公開70年の節目の年に当たります

また小津安二郎監督の生年月日は1903年12月12日です
つまり生誕120年目にも当たります

そしてお亡くなりになったのは1963年の誕生日と同じ12月12日
即ち没後60年でもあります

小津安二郎監督が青年期を過ごした松坂市のある三重県など全国各地でいろいろなイベントが開催されているようです
これから本作の公開記念日の11月3日や、誕生日と命日の12月12日に向けて、秋から初冬にはさらに各地で盛り上がりがみられることと思います

自分も今年になって三重県松坂市の「小津安二郎松坂記念館」と、本作のロケ地である広島県尾道市にある「おのみち映画資料館」に観光がてら訪問させていただきました

松坂では小津安二郎監督がどのように人間形成され映画監督を目指すようになったのかの原点を知る旅になりました

また尾道では、本作に登場するさまさなロケ地が公開後70年を経てもなお数多く残されていることをその現場で確かめることができて感激する旅になりました

「おのみち映画資料館」には小津安二郎監督に関する資料も数多くありいくら時間があっても足りないほどでした
「おのみち映画資料館」の建物自体本作の冒頭すぐにちらりと登場する古い倉庫をリノベーションしたものです

本作に登場する尾道の浄土寺や住吉神社の石灯籠は一目でこれだ!とわかります

もう何度目になるのか、また本作を見て感動を新たにしました
永遠の名作、世界の映画遺産そのものです

公開70年、生誕120年、没後60年
この記念すべき年にもう一度本作を鑑賞して、鎌倉だけでなく、松坂や尾道にも足を延ばされ聖地巡礼をされてみては如何でしょうか

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あき240

4.0自分が育てた子供より、いわば他人のあんたの方が。。。

2018年3月6日
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始めは退屈そうだと思いつつ見てたら、なぜか惹きつけられる独特の魅力があった。綺麗事無しに、実際はこの物語のように親を鬱陶しく思う子供たち、親子とはいえ言葉とは別の本心が垣間見えたりする。この映画の解釈は様々なので、色んな映画批評家達の感想なども見てみたいと思えた。

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やっくる

5.0市井の人の中に宿る神性の如きもの

2018年2月2日
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鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波、映画館

泣ける

幸せ

言わずと知れた世界映画史上屈指の傑作である。その所以は、私の記憶が正しければ、本作監督小津安二郎を敬愛して止まないドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースが評した、本作登場人物の何でもない市井の人々が尊く思われてくるという、秀逸な脚本と演出によるものではないかと思われる。監督の小津安二郎は、観客がこの映画を見て、少しでも親孝行をしようと思ってくれたら嬉しいと語ったそうだが、正に主題はそうなのであろう。しかしこの映画の真価は、観客にそういった感情を起こさせる作品構成そのものにあると言って良い。極めて日本的な作風であるが、世界映画ランキングが更新される度に上位を占め続けるということからしても、世界的普遍性も合わせ持っているのであろう。見終わった後に、人間の心の中の神性の如きものに触れた気がする映画である。

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eichan

3.5戦後の悲しさ

2017年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

難しい

第2次大戦後、父権は失われ、個人は自由を享受するが、地方の地縁は崩壊し若者の流出は止まらず過疎化し、核家族化した家庭では多くの子を育てられず、少子高齢化は止められない。個人を単位とする社会は流動的に過ぎ、派生する問題はもはや複雑系に属す。だが、大戦に至り多くの若者を死なせた父権は復権できず、手に負えない社会にも対処するしかない。

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ひろち