ダイナマイトどんどん

劇場公開日:1978年10月7日

解説

昭和二十五年、北九州一円でエスカレートしたヤクザの抗争を民主的に解決しようと開かれたヤクザ組織の野球大会を描く。脚本は「アラスカ物語」の井手雅人と古田求の共同執筆、監督は「姿三四郎(1977)」の岡本喜八、撮影は「青春の門 自立篇(1977)」の村井博がそれぞれ担当。

1978年製作/142分/日本
配給:東映
劇場公開日:1978年10月7日

あらすじ

昭和二十五年、北九州一円ではヤクザ組織の抗争がエスカレートして、まさに一触即発の状態であった。特に小倉では昔かたぎの岡源組と新興ヤクザの橋伝組がしのぎを削っていた。この事態に小倉警察署長は、ヤクザ抗争を民主的に解決するために野球大会を提案した。岡源組、斬り込み隊長の加助は“タマ遊び”でカタをつけることにのれず、割烹「川太郎」で飲んだくれていた。加助は店のおかみ、お仙にゾッコンまいっていた。岡源組のシマを狙う橋伝組は、一気に決着をつけようと、札束にものをいわせ、全国から野球上手な渡世人を集めた。一方、岡源組はドシロウトばかり、わずかに戦争で片足を失った五味を監督に迎えただけだった。ジョーカーズとの一回戦、あわや敗退かという時、途中から出場した加助の劇的な長打で逆転した。勝利に酔う岡源組の前に、岩国の貸元から送られてきた、助っ人、銀次が現われた。銀次の投げる魔球で二回戦は楽勝だった。しかし加助は銀次がお仙の惚れている男とわかって身を引く。橋伝組は、岩国に手を延ばして銀次を寝返えらせてしまった。このことが加助の怒りを一層あおり、岡源組は一人一殺の殺人野球に活路を求めスパイクを尖らせ、バットに鉛を埋めた。双方の応援団も盛り上がり、岡源組には小倉の芸者衆が、赤いけだしをまくってカンカン踊り、橋伝組には地元のストリッパーのラインダンスとボルテージは最高頂に達した。サイレンの音とともに試合は始まった。次々と負傷する両軍選手、審判も例外ではない。二転、三転する血みどろの試合展開。六対三で迎えた九回裏、岡源組の攻撃、二死満塁で加助がバッターボックスに入った、そして加助の打った打球は……。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第2回 日本アカデミー賞(1979年)

ノミネート

脚本賞 井手雅人
助演男優賞 嵐寛寿郎
助演男優賞 田中邦衛
助演女優賞 宮下順子
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映画レビュー

4.0 仁義なき草野球

2025年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

岡本喜八監督の『ダイナマイトどんどん』(1978年)は、質の高いコメディ映画だと思います。表向きは野球映画ですが、実際には「仁義なき戦い」をはじめとする東映実録ヤクザ路線のパロディに近く、菅原文太、北大路欣也、田中邦衛、金子信雄らおなじみの顔ぶれが揃うことで「東映映画」の匂いが濃厚に漂っています。

ただし、時代はすでに1978年。ヤクザ映画のブームは下火となり、観客の関心も角川映画など新しい潮流に移っていました。そのため、興行的には大きな成功には至らなかったようです。しかし映画そのものの出来はとても良く、岡本喜八らしいテンポ感や編集のセンスで、ただの二番煎じに終わらない娯楽性を持っています。シリアスな場面とコミカルな場面の落差が鮮やかで、ショット一つ一つもきちんと決まっており、軽妙ながらも職人技が光っています。

また、本作を語るうえでフランキー堺の存在は大きいと感じました。彼が登場することで作品に落ち着きや余裕が生まれ、東映的な荒々しさ一辺倒ではない、もう一段引き締まった空気が漂います。喜劇性とシリアスさを自在に行き来できる彼の演技が、この映画に奥行きを与えていました。

総じて、本作は「仁義なき戦いの残像をコメディに仕立て直した」ような一本で、同時代の雰囲気をよく伝えてくれる作品だと思いました。パロディとしての完成度は高く、興行的評価とは別に、今見返すと当時の空気を体感できる良質な娯楽映画として楽しめると思います。

鑑賞方法: U-NEXT

評価: 80点

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neonrg

3.5 70年代アンニュイをぶっ壊す1本

2025年9月20日
Androidアプリから投稿

笑える

「現代(1978年)の匂いが無い」という当時の映画評は言い換えれば、いつの時代でもブレずに観られるということだ。

子どもの頃に観た印象では、菅原文太の熱量と北大路欣也の顔が怖い事、何より田中邦衛が面白かった。大人になって観ても笑える。投げ方もマンガっぽいが、ベロンベロンになっていくさまはリアルさも交えて腹を抱える。

スポーツもののフィクションを実写で映像化すると、やたら不自然な加工をして興ざめしてしまうのが昭和時代の常だが、本作は野球も任侠も大作映画自体もパロディに捉えているため、稀有な等価感覚に満ちている。それが、どの観客層をも満足させられない要因だとしても、誰もやらないもの面白いものをつくろうという気が伝わってくる。

映画に必要なのは予定調和な作り込みより、最後まで引っ張っていく〈熱気〉じゃないかと思う。

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K・M

3.5 ヤクザ映画のパロディです 腹抱えて笑えます 仁義なき戦いシリーズの箸休めに好適かと思います

2025年6月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ダイナマイトどんどん
1978年公開、大映

東映じゃありません大映です
いや、マジで初めは東映でと言う話が、岡田社長にあがる前に流れてしまったとか
色々あって、大映がやりたいとなって菅原文太は当時東映の専属でもあり、大映から東映に仁義をきったということのようです

ヤクザ映画のパロディです
腹抱えて笑えます
時は1950年昭和25年、場所は北九州小倉
老舗ヤクザの岡源組と新興ヤクザの橋伝組の抗争が激化
治安維持に不安を覚えた警察署長の肝いりで、北九州のヤクザ12組参加で、野球大会を催して、民主的に平和的に抗争を解決させようと目論むのですが、やはりヤクザ同士、血の雨が降る展開に・・・というお話
そこに宮下順子の演じる小料理屋の色ぽい女将を巡る菅原文太と北大路欣也の三角関係が絡みついて という展開
タイトルの意味は岡源ダイナマイツという野球チームの応援コールです
別にダイナマイトを投げ合うなんて映画ではありません
ヤクザの組対抗野球大会がもしあったら、という発想でありそうな事がてんこ盛りです
野球賭博、ノミ行為、勝敗に縄張りをかけてとかとか
投手の指が欠けていて
凄い魔球を投げてくるとか
真面目に観ないで、まあ、仁義なき戦いのパロディだと思ってご覧になられると楽しめます
野球だけでなく、中盤には普通のヤクザ映画のような殴り込みシーンもあります
決勝戦はヒートアップした両チームが球場全体を巻き込んで大乱闘に、
ついに呆れ顔の占領軍司令官も怒り心頭に達して・・というオチで終わります
菅原文太が弾けています
仁義なき戦いシリーズの箸休めに好適かと思います

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あき240

3.0 ダイナマイトだよ〜

2025年4月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

岡本喜八監督の1978年公開の大映映画。
宮下順子が出てるけど日活ではない。
ダイナマイトだけど小林旭ではない。
今じゃ、フランキーといえばリリーだが、なんといってもフランキー堺。
宮下順子をめぐり、菅原文太と北大路欣也がバトルを繰り広げる。
たのしい。

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カールⅢ世