洗礼
劇場公開日:1996年2月24日
解説
異常なまでに自分を溺愛する母親の恐ろしい計画の餌食となってしまった少女の姿を描くスリラー。監督・脚本は「爆! BAKU」の吉原健一で、原作はオカルト漫画などで人気を誇る楳図かずおの同名コミック。主演はこれがデビュー作となった今村理恵。
1996年製作/93分/日本
配給:アルゴ・ピクチャーズ
劇場公開日:1996年2月24日
ストーリー
美貌の女優・若草いずみには顔に醜い痣があるという秘密があった。痣を化粧で隠しきれなくなったいずみは引退を決意し、忽然とその姿を消した。それから10数年後、いずみは主治医・メレディスの用意してくれた洋館で、13歳になる娘・さくらとふたりきりで暮らしていた。いずみのさくらへの愛は異常とも言えるほどで、さくらは次第に恐怖の念を抱くようになった。さくらはある日、美しい顔と体を取り戻して人生をやり直そうと考えたいずみが、さくらの体に自分の脳みそを移植しようとしていることを知る。さくらの抵抗も空しく、メレディスの開発した装置によって移植手術は行われ、さくらの体に入ったいずみは自分の亡骸を隠すと、何食わぬ顔でさくらを装い始めた。しかし、若草家の財産管理をしていた谷川が財産の横領を計画しているのを知ったいずみは、その肉体を駆使して谷川を自分の側に引き入れようとしたが、反対に精神病院へ入れられ財産を奪われる。いずみは病院を抜け出すと、再びその顔に現れ始めた痣の恐怖から逃れるため、谷川の妻へ自分の脳みそを移植しようとした。すんでのところで移植が阻止された瞬間、装置が忽然といずみの前から消えた。全ては異常なまでの美への執着心から、メレディスという男や脳移植装置を頭の中で生み出したいずみの妄想が起こした事件だったのだ。そんな母親を愛したさくらも次第にその妄想に取り込まれていたのである。いずみは病院で正気を取り戻したが、さくらはいつまでもいずみのままだった。谷川は財産横領の罪を償いながら、彼女の正気を取り戻してやることを誓った。