劇場公開日 2005年6月18日

「【“難病への偏見と、二つの親子愛が惹き起こしてしまった悲劇。”今作は、昭和の推理小説の傑作を名匠、野村芳太郎が見事に映像化した逸品である。】」砂の器 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【“難病への偏見と、二つの親子愛が惹き起こしてしまった悲劇。”今作は、昭和の推理小説の傑作を名匠、野村芳太郎が見事に映像化した逸品である。】

2025年5月6日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

ー 松本清張氏による原作は、日本の推理、社会派小説の傑作であり、S・S・ヴァンダインのファイロ・ヴァンスシリーズなど、推理小説に嵌っていた〇学生時代に読んだ記憶がある。そして、その重層的な構造、方言分布の解釈、及び社会的メッセージの重さまで盛り込んだ内容に、驚いたものである。ー

◆感想<Caution!やや、内容に触れています。>

・そして、原作を読んで満足していたのだが、最近、昭和の名画をリバイバルした映画が公開された事で、今作を思い出し、観賞した訳である。

■結論から言えば、この作品は傑作小説をほぼ忠実に映像化しつつ、映像化した意義が効果的に観る側に伝わる点が素晴しい。(特に原作を読んでいる者にとっては。)
 日本各地を飛び回り真実に近づいて行く刑事(丹波哲郎)の姿と、難病を持つ両親の子として産まれたために人生をやり直した男(加藤剛)と、男を親身に育てた善良極まりない警官(緒形拳)との関係性が、見事に描き出されている点と、
 著名な音楽家になった男が、満場のコンサート会場で重厚なピアノを弾くシーンと、刑事が多くの捜査関係者を前に事件の真相を述べるシーンと、幼き男と父(加藤嘉)が、村々で差別を受けながら放浪を重ねる二人の過去の哀しすぎるシーンを被らせて描き出した再後半のシーンは、見事である。

<今作は、、昭和の推理小説の傑作を名匠、野村芳太郎が見事に映像化した逸品なのである。
 ラストのテロップで流れる難病に対する偏見を糾弾するかの如き、重いメッセージがこの作品をより社会的に意義あるモノにしているのである。
 昭和の名優が、多数出演している所も、若輩者には嬉しき限りの作品である。>

NOBU
みかずきさんのコメント
2025年5月7日

共感ありがとうございます

本作、マイベスト1作品です。
不朽の名作です。

では、また共感作で

みかずき
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