劇場公開日 2005年6月18日

「映画音楽」砂の器 のりたまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画音楽

2019年5月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

日本映画において、ここまで映画音楽を効果的に使った演出は見たことがない。
過去回想シーンで流れるあの宿命。ただのメロディでもない、音楽の中で大きい波がゆっくりと、しかし激しく動く。彼の過去や感情と完全にリンクした宿命は、セリフが全くないシーンでも役者の代わりに語るようだ。
その演出は観客の心を動かし、どんどん映画の中へ引き込んでいく。演奏シーン、回想シーン、捜査シーンをうまくカットバックで演出している。
また映画そのものについて考えるとすれば、ハンセン病という難しいテーマと真っ向から向き合う映画でもある。
ただの犯人探し映画ではないのだ。
戦後の日本の問題が映画のそこら中に散りばめてあり、現代の映画には見ることができない映画である。
見終わったあと観客に問いかけるような演出も良かった。
日本映画最高峰の映画と言えるだろう。

のりたま