秦・始皇帝

劇場公開日:

解説

「釈迦」についで70ミリ映画の第二作。「青葉城の鬼」の八尋不二のオリジナル・シナリオを、「熱砂の月」の田中重雄が監督した史実もの。撮影もコンビの高橋通夫。

1962年製作/199分/日本
原題または英題:The Great Wall
配給:大映
劇場公開日:1962年11月1日

あらすじ

周朝衰えて群雄割拠する戦国時代、戦禍は果てしなく続いていた。この時若き秦王政は救民救国の理想に燃えて西陬より立ち上った。紀元前二二一年、秦の中国統一は成り世界最初にして最大の帝国が誕生した。秦王は自らを始皇帝と名乗り、新たに咸陽を国都と定め、中央集権制度を確立した。全土に平和がもたらされ始皇帝の偉業は着々と進められていったが、中でも豪華を極めた阿呆宮は国民の目をみはらせた。美姫三千を越えるといわれるその中で、とりわけ朱貴児という美しい女を皇帝は愛した。燕の国の太子丹はひそかに秦への反抗の機会を狙っていたが、策をめぐらして刺客荊軻を咸陽に送りこんだ。皇帝に拝謁した荊軻は隙をうかがいかくし持った短剣を彼の胸につきつけた。しかし武人の情から、王者に相応しい最後をという所望を聞入れたために荊軻は皇帝をとり逃した。そしてたちまち武官に囲まれた荊軻は自らの胸を開き近侍の剣を受けた。計の破れた事を知った太子丹は旧王たちの軍隊を集結させて総攻撃をかけた。幾度か両軍の激突がくりかえされて連合軍は遂に壊滅、太子丹も皇帝の戦車の下敷きとなった。だが、この留守に咸陽は北域の蛮族に襲われ、阿呆宮にあった朱貴妃も敵の矢に倒れた。始皇帝の世紀の大事業、秦の国を悠久の平安におくために北方の侵入を防ぐ長城の建設はこの時から始ったのである。山も川も野もすべての上を城壁で連らねる万里の長城の建設はまさしく難工事であった。幾千、幾万もの人が狩り出され七年目を迎えてもなお完成し得なかった。この頃から国民の間に皇帝の暴政に対する不満の声がふつふつとして湧いてきた。儒学者于越は、若い儒生万喜良たちを集めて激しく政治の腐敗を説いた。丞相李斯は法令を出して一切の書物を焼き払い、儒学者を捕えて生き埋めにしてしまった。李斯はまた、捗どらない長城工事に人柱を立てることを進言し妻の孟姜女との新婚の夜に捕えられ今は工事の使役にかり出されている万喜良が引き出された。夫が長城に埋められていることを覚った姜女は長城への長旅に出発した。難渋を重ねて彼女はとうとう長城に到達したが、そこに待っていたのは盗賊たちの群だった。あわや暴行されようとした時、屈強の若者が飛出して危急を救ってくれたが、彼こそかつて皇帝が政王であった頃の少年旗手李黒の成長した姿であった。幼な心に残る皇帝の姿がまことか、人民の怨嗟の的の皇帝が真実か、この目で確かめようと李黒ははるばる訪ねてきたのだった。万喜屍之処と刻まれた六角堂に姜女は頬ずりするように崩れた。姜女が城壁におのれの額も砕けよとばかり打ちつけると、突如大音響と共に大地震が起り城壁はどうとばかり崩れ落ちた。姜女処刑の場に現れた皇帝は、そこにかつての李黒少年を見出して万感胸迫る思いであった。李黒は民の声を聞いてほしいと訴え、姜女の助命を乞うた。李黒の身に代えてもという激しい嘆願に皇帝は遂に女を許した。爆発する大群衆の歓呼の中に、姜女は我と我が胸を貫いていた。この時、反乱軍の襲撃が告げられた。平和は破れ再び戦いが始まったのだ。十数年の夢をかけて完成した世界最大の長城にひとり立つ孤独の始皇帝。立ちつくすその胸に、再びあの偉大な夢が沸々と湧き起ってくるのだった。(大映七〇ミリ)

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映画レビュー

3.0中国統一が早すぎ!『キングダム』はまだだというのに・・・

2025年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 開始14分、あっという間に中国統一。オリジナルの200分バージョンではなく160分のものだからだろうか。やはり統一後が大切なのだな。謁見の間(?)での最初の確執が、幼き頃に政と同じく人質となっていた燕の太子丹(宇津井健)だ。そして父と一族の仇として朱貴児(山本富士子)が馬上から政を殺そうとするのだが、最初に安房宮に入る女となる。自分の出生の秘密、秦の先王の子ではなく呂不韋の子であると聞かされ、戸惑う政。中盤からは丹の命を受けた荊軻(市川)の始皇帝暗殺未遂が起こる(史実では始皇帝即位以前のことらしい)。

 始皇帝が戦いに赴いて留守のあいだに、蛮族である匈奴に襲われ、朱貴児も死んでしまうのだ。これが万里の長城建設のきっかけだった。長城建設には多くの人民が犠牲となり、民衆の不満は爆発寸前。そこへ儒学者の辻説法が流行し、多くの儒学者は穴埋めにされ、焚書坑儒が行われたのだ。この焚書坑儒。紙の発明はまだまだ先のことなので、書は布か木の板であったことに今までのイメージが覆された。

 孟姜女(若尾文子)と万喜良(川口浩)のエピソード。万喜良は儒学生であるがため国禁となった書を守り続ける若者だったが、たまたま孟姜女の肌を見たことから結婚することになるが、たちまち長城工事に徴用される。度々の地震のため長城工事が芳しくない場所で万喜良が人柱にされる・・・その光景を夢に見た孟姜女は夫を探す旅に出て、人柱にされた真実を聞かされ泣き崩れると、地震・雷鳴とともに長城の一部が崩れ去ってしまう。

 終盤には不老不死を願って徐福(中村鴈治郎)を頼るが、単に生き延びたいという理由ではなく、自分が民のために為したことが間違ってなかったかどうか確かめたいと言うのだ。“暴君”として批判され続け、かつての仲間からも「何を考えてるのかわからない」と批判される。そして死んだと思っていた太子丹に刺されるが、太子丹は死ぬ。始皇帝もその傷がもとで間もなく絶命(だと思う)。

 ちょっとした歴史お勉強には役立つ内容だが、暴君と言われるのを拒み続けたところが悪あがきとしか思えない描き方。「民の幸せのためにやっているのだ」という言葉、今の世でも為政者の吐く言葉だからな。政治家なんてそんなもんだということを言いたいのか・・・わからん。

【2011年ケーブルテレビにて】

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kossy