処女峰
劇場公開日:1950年12月1日
解説
富田常雄の原作を、「赤城から来た男」の新藤兼人が脚色。同じく「赤城から来た男」の木村恵吾が監督する恋愛メロドラマ。撮影は峰重義、製作は土井逸雄の担当。出演者は、「雪夫人絵図(1950)」の上原謙、「東京のヒロイン」の轟夕起子、「黒い花」の若山セツ子、「真珠夫人 前篇」「真珠夫人 後篇」の二本柳寛、「二十歳前後」の根上淳、それに宝塚少女歌劇から大映へ入社した乙羽信子が第一回作品として主演する。
1950年製作/96分/日本
配給:大映
劇場公開日:1950年12月1日
ストーリー
東和電工社長谷口英助には三人の娘があった。長女梢は理知的な行動派、次女葉子は日本的なつつましい娘、三女花世はまだ女学生気質の抜けない、やんちゃ娘。この三人の娘は皆等しく青年社長松崎紀一郎に想いを寄せていた。彼は親同志の取り決めで長女梢の許婚になっていたが、実際愛していたのは葉子であったので、梢との婚約解消を申出た。梢はそのため非常に心の傷手を受け、ついに不良学生佐藤と間違いを犯した。花世は紀一郎に子供扱いされるのを憤慨して幼馴染の学生片岡幸夫と大いに共鳴するが、彼にはおでんやの娘のお京という恋人がいるのだった。葉子は一人胸を痛め、両親の勧めで新聞記者の牧と見合いをするが、意外にも牧は紀一郎の親友で、事情を知っていて二人の恋愛を成就するように勧めた。そして牧は梢を説得するために彼女に会い、二人の間に愛情が生れてきた。梢は牧にすがって新しい人生へスタートしようとするが、その矢先に、佐藤から脅迫された。事情を打ち明けられた葉子は姉を救いたい一心で父の小切手を盗むが、その小切手はおでんやの京子や幸夫の計いで無事に取り戻せた。この事件を知った英助は脳溢血で倒れ、牧は失意の心を抱いて梢の許を去り、梢は行方知れずになってしまった。その上幸夫は佐藤のため傷つけられた。やがて紀一郎の許から自殺を計ろうとした梢の消息がもたらされた。葉子は姉を救うものは、今では牧の愛情しかないことを悟って、牧を伴って病床へ駆けつけた。牧の手をとる梢の幸福そうな姿を見て、初めて葉子は紀一郎の愛情に応えることが出来たのだった。