写楽

劇場公開日:

解説

寛政6年から7年にかけて浮世絵界に突如として現れ、およそ140種の役者絵と相撲絵を残して消えた謎の浮世絵師・写楽の、霧に包まれた正体に迫る歴史ドラマ。監督は「少年時代」の篠田正浩。撮影を鈴木達夫、音楽を96年に急逝した武満徹が担当。また、“写楽研究家”としても知られている俳優・フランキー堺が、企画総指揮に当たっている。松竹創業100年記念協賛作品。95年度キネマ旬報ベストテン第5位。

1995年製作/138分/日本
配給:松竹=松竹富士
劇場公開日:1995年2月4日

あらすじ

寛政3年、人口100万を越えた江戸は、最も華やかな時代を迎えようとしていた。市川團十郎の舞台を見物していた大道芸人のおかんは、團十郎の上る梯子を支える稲荷町役者・十郎兵衛がその梯子に足を潰されて血を流しているのを発見。その後、役者として使いものにならなくなってしまった彼を、大道芸の道に引き込んだ。大道芸人となった十郎兵衛は、とんぼと呼ばれるようになり、おかんたちと一緒に吉原界隈などに現れてはケチな商売をして金を稼ぎながら、歌舞伎小屋に出入りして書割りを描く手伝いをするようになっていた。一方その頃、京伝や歌麿といった人気浮世絵師を抱える版元“蔦屋”の主人・十三郎は、京伝の描いた洒落本がお上のご禁令に触れ、手鎖50日の刑に服していた。このことに不安を感じた歌麿は、蔦屋を見限って他の版元へ鞍替えする。いっぺんに二人の売れっ子を失ってしまった蔦屋は、起死回生を図ろうと幾五郎や鉄蔵などを使って役者絵に挑戦するが、なかなか思うようにことは運ばない。そんなある日、鉄蔵が一人の名もない男が描いたという絵を蔦屋に届けに来た。決して上手いとは言えない絵ではあったが、溢れかえるような毒気に魅力を感じた蔦屋は、早速その絵の描き主・十郎兵衛を探し出し、役者絵を描くように説得を試みるのだった。かくして東洲齊冩樂が誕生し、その絵は世間や役者たちに反感を買いながらも、一世を風靡するほどの話題を江戸に撒き散らすことになる。しかし、この恐るべき才能に最も敏感に反応したのが歌麿だった。彼は自分の地位を危ぶみ、必死になって冩樂なる謎の人物を探し、ついにそれが十郎兵衛であることを突き止める。十郎兵衛を前にした歌麿は、それが度々吉原に姿を現していた大道芸人であったことを想い出し、しかも彼が自分の贔屓の花魁・花里と目を交わす仲であったことから嫉妬の炎を燃やして、二人を江戸から追放させようとした。逃げる十郎兵衛と花里はすぐに追っ手に捕らえられ、十郎兵衛は拷問を受け、花里は薄汚い女郎屋に売られてしまう。寛政9年、蔦屋の葬儀の日、立派な葬式行列や見物人の中には、歌麿や幾五郎(十遍冩一九)、鉄蔵(葛飾北齊)、そして再び大道芸人に戻った十郎兵衛の姿があった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第19回 日本アカデミー賞(1996年)

受賞

音楽賞 武満徹

ノミネート

作品賞  
監督賞 篠田正浩
脚本賞 皆川博子 堺正俊 片倉美登
助演男優賞 フランキー堺

第48回 カンヌ国際映画祭(1995年)

出品

コンペティション部門
出品作品 篠田正浩
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映画レビュー

3.5大河の蔦屋重三郎はイケメンすぎるよ

2025年3月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

1995年公開作品
久々の鑑賞
U-NEXTで鑑賞

監督と脚色は『乾いた花』『心中天網島』『沈黙(1971)』『卑弥呼』『はなれ瞽女おりん』の篠田正浩
脚本は原作者の皆川博子
脚色は他に堺正俊(フランキー堺の本名)と片倉美登

フランキー堺が生前の川島雄三監督との約束を守り制作された作品

当時の江戸の雰囲気を少しでも味わうことができればこれ幸い
そういう感じ

松竹創立100年記念
そのためか歌舞伎を全面に押し出している
タイトルは『写楽』だが写楽の人物像を掘り下げた作品ではない
写楽より蔦屋の方が出番が多い
そのせいか映画制作にはTSUTAYAも関わっている
映画の内容はざっくりいえば当時の江戸文化を象徴する人々の群像劇
写楽の作品は有名だが写楽そのものの資料は少なく謎の人物だから多少しょうがない
作品は作品が全てあり作者の人物像なんて知るべきでない
作者がろくでなしだと知ると作品そのものも過小評価する輩がいるが我慢できない

そういえばこの作品での共演がきっかけで真田広之と葉月里緒菜の不倫騒動が起きている
そのためか真田は後に妻で俳優の手塚理美と離婚している
真田はいまやハリウッドスター
葉月といえば魔性の女
魔性ってなんだ?
既婚者と交際すれば「魔性」?
なにそれ
手を出す男は悪くないわけ
被害者?
パワーバランスでいえば真田の方が断然上
悪しき男性社会に甘んじる人たち
馬鹿みたい

当時混浴が当たり前だった銭湯を禁じて取り締まるシーンがある
数人の全裸の女性が登場するがあのシーンはいらない気がする
サービス精神旺盛だが男の自分でも余計に感じた

配役
怪我で役者を辞め浮世絵師に転向した十郎兵衛→とんぼ(東洲斎写楽)に真田広之
江戸日本橋の版元の蔦屋重三郎にフランキー堺
大道芸人たちの親玉のおかんに岩下志麻
花魁の花里に葉月里緒菜
『ポッピンを吹く女』で有名な浮世絵師の喜多川歌麿に佐野史郎
『東海道中膝栗毛』で有名な戯作者の幾五郎(十返舎一九)に片岡鶴太郎
『富嶽三十六景』で有名な鉄蔵(葛飾北斎)に永澤俊矢
八代将軍吉宗の孫で寛政の改革を行った老中の松平定信に坂東八十助
歌舞伎俳優の市川團十郎に中村富十郎
歌舞伎俳優の岩井半四郎に中村芝雀
歌舞伎俳優の市川男女蔵に市川團蔵
狂歌師で御家人の大田南畝に竹中直人
浮世絵師で副業として喫煙用の小物販売店を営んでいた山東京伝に河原崎長一郎
大番頭の与兵衛に津村鷹志
桜主のおふじに加藤治子
遣手のおさとに新橋耐子
遊女の玉衣に宮崎ますみ
『東海道四谷怪談』で有名な戯作家の俵蔵(鶴屋南北)に六平直政
歌舞伎俳優の瀬川富三郎に篠井英介
地本問屋の鶴屋喜右衛門に有川博
年増女郎に土屋久美子
番頭の新造に富沢亜古
『八犬伝』で有名な戯作家の倉蔵(瀧澤馬琴)に高場隆義
月見客に浜村純
とんぼの母親に余貴美子
写楽絵の摺師に小倉一郎
能役者の斉藤十郎兵衛に日比野克彦
歌舞伎俳優の中村勘三郎に岩田直二
大道芸人の左吉に大川浩樹
大道芸人の権助に千葉哲也
歌麿の弟子に信太昌之
寛政三美人に大竹一重
寛政三美人に大家由加里
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