島育ち
劇場公開日:1963年6月13日
解説
ヒットソングの映画化で「雁ちゃんの警察日記」の森田竜男と「危い橋は渡りたい」の監督八木美津雄が共同で脚本を執筆、八木美津雄が監督したメロドラマ。撮影はコンビの平瀬静雄。
1963年製作/90分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1963年6月13日
ストーリー
見渡すかぎり青い海にかこまれた奄美の島々、大島紬の織り子しのぶは島で評判の美しい娘だった。東京から製糖工場の視察にやって来た志村康夫を知り互いに惹かれるのだったが、しのぶには島一番の無法者与那屋秀吾が想いを寄せていた。永く患っていたしのぶの母が突然他界し、ただ一人残された彼女にとっては康夫の優しい慰めこそかけがえのないものと思われ、乱暴な表現しか出来ない秀吾の愛情は迷惑なものだった。康夫が再会を約し離島して数日、しのぶに縁談が持ち上った。子供のない伯父夫婦がしのぶを養女にして紬問屋の息子と結婚させようというのだ。島の名物八月踊の夜、その相手はやって来たがしのぶの姿はなかった。康夫を慕って上京しようと、決心し港への道を急いでいた。あとを追って来た秀吾にしのぶは見逃してくれるよう懇願し、彼女のひたむきな心に打たれた秀吾は、連絡船の船長に本土まで送り届けてくれるよう依頼するのだった。康夫は突然のしのぶの上京を驚きながら、やさしく迎えた。一年が過ぎ、しのぶはBGとなって康夫と結ばれる日を待っていた。その頃、秀吾は好きな酒やバクチをやめ、大事な牛まで売り、しのぶを追って上京する旅費を作るため慣れない手つきで大島紬を織っていた。康夫は会社の重役武藤の信頼を得て、その娘怜子との婚約も今は決っていたが、しのぶはつゆ知らなかった。秀吾が上京して来たが、しのぶの心はやはり康夫を愛していることを悟り、島に帰る決心をするのだった。康夫の課長昇進を祝おうと電話したしのぶは、怜子との婚約を知り愕然とした。傷心の彼女はさまよい歩いた末毒を呑んだが、発見されて命を取止めた。これを知って怒り狂った秀吾は康夫と怜子の婚約披露の席に行き康夫を罵倒し刺してしまった。検事の取り調べを受けている秀吾を、しのぶは、必死になって弁護した。そのお陰で秀吾は殺人未遂罪では起訴されず、傷害罪として一年の刑を言渡された。罪の償いをし晴れて秀吾が島へ帰る日、秀吾の深い愛にすべての迷いをすてたしのぶが彼の帰りを待ちわびていた。