御用金

劇場公開日:

解説

「喜劇 爬虫類」の田坂啓とテレビ出身の五社英雄が脚本を共同執筆し、五社がメガホンをとった時代劇。「お熱い休暇」の岡崎宏三が撮影を担当した。わが国はじめてのパナビジョン。1969年5月17日より全国公開。(70ミリ)

1969年製作/123分/日本
原題または英題:Goyokin
配給:東宝
劇場公開日:1969年5月1日

ストーリー

天保二年の冬、越前鯖江藩領内で奇怪な事件が起った。黒崎村の漁民が一人残らず姿を消してしまったのだ。領民たちは、この事件を“神隠し”と呼んで怖れた。三年後の江戸。浪人脇坂孫兵衛が、鯖江藩士の流一学らに急襲された。孫兵衛は、彼らが、次席家老六郷帯刀によって差向けられたことを知り愕然とした。その頃鯖江藩は、公儀より一万石を削減され、さらに享保以来の不況で、極度に疲弊していた。帯刀は、佐渡から産出した御用金を積んだ船が黒崎村沖で遭難した時、漁民たちが拾いあげた金を藩財政建てなおしのために横領し、その秘密を知る漁民をみな殺しにしていたのだった。帯刀の妹しのの夫である孫兵街が、妻と藩を捨てて出奔したのは、それから間もなくのことだった。帯刀は、その時竹馬の友孫兵衛に二度と“神隠し”を行なわぬと約束させられた。だが、藩政改革に自分の政治的生命を賭ける帯刀は、再度の計画を練っていた。孫兵衛は、帯刀への怒りをこめて鯖江に向ったが、その途中女賭博師おりはと知合った。おりはも“神隠し”の犠牲者だった。年季奉行が明けて村へ帰った時、許婚者も父親もなく、身を落した女だった。旅を続ける孫兵衛は、やがて、浪人藤巻左門と会った。その時、左門は孫兵衛につかず離れずの旅をしていた。一方、藩では、孫兵衛の行動を察知し、剣の木峠で彼を急襲させた。そして、死闘で傷ついた孫兵衛を救ったのは左門だった。やがて、帯刀に、金を積んだ御用船が佐渡を出帆したという報告が入った。そして、鮫ヶ淵村が“神隠し”の舞台に選ばれた。帯刀の片腕九内らに狩り出された鮫ヶ淵村の漁民たちは、御用船を湾の暗礁地帯に誘導すべく、偽りの篝り火台を新設していた。帯刀の野望と領民の悲劇を阻止するために孫兵衛が立ちあがり御用船難波の真相究明に幕府が送った公儀隠密の左門もまた孫兵衛とともに鯖江藩の剣客と対峙した。雪をついて二人の剣が次々と相手を倒し、やがて帯刀を倒し、“神隠し”の悲劇を未然に防いだ。

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フジテレビ・東京映画作品

映画レビュー

3.5罪と弔いの神隠し

2023年5月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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近大

2.5北前船

2022年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

越前の小藩が財政立て直しのため、佐渡から御用金を運ぶ船を沈没させ、積荷を奪う。
秘密を守るため、関係した漁民たちは皆殺しにされていた。
主人公(仲代達矢)はこれを知り、脱藩していたが、友人だった家老(丹波哲郎)が、またやると聞いて戻ってくる。
ロケが美しい。

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いやよセブン

2.0五社英雄らしくない

2022年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この作品は、公開当時に鑑賞しましたが途中で眠くなったほどでほとんど印象に残っていませんでした。ところが、他の方々のレビューが高評価なので。今回、50年ぶりに再見しましたが、冗長さ、テンポの悪さ、無駄なカット、仲代達矢は何がしたいのかさっぱりわからないし、丹波哲郎の非情さの不徹底ぶり等々、本当にイライラさせられる作品でした。夏八木勲も仲代達矢を殺したいのであれば弓でも鉄砲でも使って殺せば済むものを、なぜ殺し屋を差し向けるのかさっぱりわかりません。そのくせ、手が悴んで刀が握れない、決闘の最中に手を息で温めるなどリアルに描いている、かと思えば、そんなに寒い中を軽装のまま去っていく仲代達也など、脚本家が馬鹿だからばかばかしくて話が盛り上がらないのです。30分カットして再編集すればもっとテンポのある作品になったでしょうに残念です。また、殺陣も期待したほどではなく、次に作った「人斬り」に比べると五社英雄らしさは全く見られません。それでも、これが外国には受けたようでリメイクまでされているのですがリメイク作品も五社英雄演出を忠実にコビーしておりばかばかしくて途中で見るのをやめてしまいました。Panavision本邦初使用とのことですが、カメラはストーリーテリングの道具であって、カメラに合わせた演出をするのは本末転倒でしょう。五社英雄はセルジオ・コルブッチのファンだったようで、ぬかるみの道は「続・荒野の用心棒」、雪景色は「殺しが静かにやってくる」の影響というよりはパクリであることは明らかです。だからこそ、外国受けしたのでしょう。もし、セルジオ・レオーネの影響を受けていれば、もっと違った演出となり、もっと面白い作品になったと思います。最後の、仲代達矢と丹波哲郎の戦いは、「切腹」の両人の斬りあいと比べたらそれこそ月とスッポンの差があります。佐藤勝の音楽がいいと思ったら、これもまた「殺しが静かにやってくる」のエンニオ・モリコーネに似ておりなんともはや・・・。五社英雄らしくないこのような駄作を作った当時の五社英雄の精神状態は、おそらく、想像ですが、尋常ではなかったのではないでしょうか。

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