御用牙

劇場公開日:

解説

“かみそり半蔵”と異名を取る北町奉行所同心・板見半蔵の、悪には悪をと、体制側にありながら権力に対して牙をむくそのラジカルな行動を描く。週刊“ヤング・コミック”連載の小池一雄・原作、神田たけ志・画の同名劇画の映画化。脚本は原作と同じく「子連れ狼 死に風に向う乳母車」の小池一雄、監督は同作の三隅研次、撮影も同作の牧浦地志がそれぞれ担当。

1972年製作/108分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1972年12月30日

ストーリー

板見半蔵。江戸北町奉行所同心。その頭の切れ味と、鋭い性格から人呼んで“カミソリ半蔵”と呼ばれている。ある日、島破りがあり、無宿人狩りが行われた。半蔵はその時捕えた三次から意外なことを聞き出した。去年捕えられ、島送りにされた重罪人の人斬り屋・三途の竿兵衛が江戸にいるというのである。半蔵の捜査が始まった。やがて、部下の鬼火とまむしの調べで、竿兵衛の情婦お美乃と半蔵の上役大西孫兵衛の妾が同一人物であると判明した。北町奉行所の筆頭与力が流刑人の女を妾にしている。その裏に何かあるとにらんだ半蔵は、お美乃を罠にかけ捕える。そして、快楽も度を越せば苦痛にという半蔵特意の、彼の男自身を駆使した“座禅ころがし”でお美乃を責めたて全てを白状させた。お美乃を大西に渡し、引き換えに竿兵衛を助けるというのである。さらにその取り引きの背後には大奥医師の稲村玄伯が居り、例え、この一件が露見しても、大奥にまでは探索の手が届かないことを、あらかじめ承知のことらしい。半蔵は敢然と大西と大奥に対しての挑戦を開始。まず、お美乃を救出に来た竿兵衛を斬り、大西の秘密を握るお美乃を保護することにより、大西の権力を押さえることに成功。そして大奥。治外法権の大奥にも、大奥医師の娘、おゆらを自分の情婦に仕立て、出入り自由の特権を得て行く。やがて、同心でも手のつけられない悪制度の治外法権を次々と自分の猟場にしていくのだった。

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映画レビュー

3.0このイチモツが目に入らぬか!

2022年11月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

単純

座頭市シリーズ、悪名シリーズ、兵隊やくざシリーズ…。
勝新太郎の数ある人気シリーズの中でもたった3本の非常に短命。
しかし、色んな意味でのサービス精神や強烈インパクトは負けちゃいねぇ。
同名時代劇漫画を基にした1972年のシリーズ第1作。

板見半蔵。
北町奉行所の隠密廻りで同心。
有無をも言わせぬ正義感の持ち主。
悪は許さぬ。悪を懲らしめる為なら暴力も厭わぬ。
腕力もあり、メリケン嵌めたパンチは石や人の鼻や顔も潰す。
上役が悪行や不正に関与していても見逃さない。啖呵を切って抗う。
保身や弱者を守らぬ奉行所の宣誓書への血判も拒む。
黒幕がどんな上役であってもその弱味を握り、徹底的に脅してまで追及。
クリーンな正義のヒーローには非ず。
悪や不正にはそれ相応の手段を。ダークヒーローと言った方がいい。
あだ名はその鋭いキレ味から“かみそり半蔵”。
腕力や頭や執拗さもさることながら、その名の所以は“あっちの方”の意味もある。
半蔵の最大の武器。それは、自慢の男根。
これを使い、ターゲットの情婦など女たちを責め上げ、秘密や情報を聞き出す。
“正義”ならぬ“性技”。
この拷問シーンは団鬼六のSM世界。
ポルノ映画のような直接的な絡み描写は無いにせよ、淫靡な雰囲気はしっかり。
風呂上がり、その男根を鍛え上げる珍場面。
よく一般公開出来たもんだ。
暴力捜査に女を虐げる。(でも女たちは最後には半蔵の精力にぞっこん)
今ならコンプライアンス的に完全アウト。

そんな時代の風潮も楽しむべき逸品。
話はありきたり。危険な人斬り(THEヒールな田村高廣)と関わる上役(THE狡猾な西村晃)の悪行、さらには立ち入る事の出来ない大奥にまで立ち向かう破天荒ヒーローの活躍。
エロスとバイオレンス。
突っ込まずにいられない笑いと紙一重の真面目さとのギリギリライン。
悪行や不正、権力にも屈しない痛快さ。
大衆が求める娯楽がたっぷり。三隅研次監督の職人手腕。
朝丘雪路、渥美マリの艶技。
豪快なキャラが勝新にぴたりとハマった。

勝新娯楽作の中でも、異色の面白さは際立つ。
この世に悪が蔓延る限り、俺のイチモツが黙っちゃいねぇ!

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近大
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