五番町夕霧楼(1980)のレビュー・感想・評価
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全体としてはテレビ特番を観たという印象
正直、残念な気分です
同じ金閣寺放火事件を題材した、市川崑監督の炎上と比較するのは酷というものですが、比べたくない出来と言わざるを得ません
松坂慶子は美しい
娼婦にも見える
しかし、その向こうにある丹後の寒村の極貧の中で不幸を背負って育ってきた子娘の姿形が透けて見えて来ないのだ
華やかな都会で苦労せず育って来たようにしか見えない
演技力の問題ではなくて配役の間違いに責任があると言うべきで、彼女は断るべきだった
単に愛の水中花の大ヒットでキャスティングされたにすぎないと思える
ただ本作の後、彼女は立て続けにヒロイン役を得るようになったのだから出演の意味はあったのは確かなのだが
奥田瑛二の櫟田も炎上での市川雷蔵のひどい劣化コピーでしかなかった
三島由紀夫と水上勉の原作に於ける放火動機の違いに由来するものだが、なんとも薄っぺらい
不愉快ですらあった
その他の俳優達も大して見るべきものもなく、大味な演技しかなく興醒めする瞬間が幾つもある
脚本もくどくぎごちない
演出もきつい言い方になるが臭い
肝心の金閣寺の炎上シーンもクライマックスとしての映像の美しさ、特にカラーを活かしての映像美を期待したのに拍子抜けのするようなものでしか無かった
全体としてはテレビ特番を観たという印象だ
炎上の足元にも及ばないし、比較すらして欲しくない
「処女やなかった」とか文句を言ったがたいそう喜んでいた。西陣問屋...
「処女やなかった」とか文句を言ったがたいそう喜んでいた。西陣問屋の竹末(長門裕之)によって水揚げも終り、いきなり一見客を取る夕子。そして、予定通り正順がなけなしの金で逢いにくる。水揚げ代が2万円で、一見客として300円(鳳閣寺の修行僧の月の小遣いが100円と言ってた)。そこで幼馴染として思い出話に花が咲く。正順は幼き頃、夕子が木から落とした蛇によって吃音が始まったとか・・・そして、「汚い!」と夕子を蔑んで、抱かずに帰った正順であった。
なぜか鳳閣寺。映像は金閣寺で、最後の放火、炎上するシーンは模型を燃やしている。ヌードは終盤、金閣寺の本堂で抱き合う松坂と奥田のシーンのみ。乳は見えないが、下半身には修正が施されている。回想シーンの幼き2人にも修正が・・・
権力によって作られた金閣寺と、純粋に禅の教えを学びたかった正順にとっては住職にも幻滅し始めていて、放火へと繋がる。夕子とは純愛を貫き、郭の中では関係を持たなかった。
純愛と宗教、相容れない要素が放火につながると考えれば、ちょっと許せない。たとえそれが権力の象徴だとしても、文化遺産の価値は大きいものだ。カタルシスなんて要らない・・・
美しくも儚い悲恋物語
家族を養う為に遊廓に身を売った少女と幼なじみの青年僧の悲恋。
水上勉の小説の1963年に続く2度目の映画化。1980年の作品。
薄幸のヒロイン・夕子に扮するのは、若き日の松坂慶子。そのハッとするほどの美しく可憐な姿に見惚れる。
幼なじみの青年僧・正順に奥田瑛二。吃音演技を熱演。
先輩遊女の風吹ジュンも若い〜。
遊女になっても正順を愛し続ける夕子と、そんな彼女をなかなか受け入れられない正順。
それでも二人の想いは燃え上がり、密会を続ける。
しかし、遊女と僧。密会がばれ、周囲はそれを許さず、酷な運命が二人を引き離す。
やがて、正順はある事件を起こす。(市川崑監督の「炎上」でも描かれた実際の事件を元にしており、ピンとくる方もいるハズ)
そして夕子は結核を患い…。
悲恋が前面に押し出されている為、五社英雄監督の一連の作品と比べるとインパクト不足。濃厚な濡れ場も無い。
女同士のドロドロ愛憎劇を期待すると少々肩透かしを食らうが、思いの外見易く、美しくも儚い物語に酔いしれる。
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