この愛の物語

劇場公開日:

解説

スタントマンたちの夢と友情、そして不器用な彼らの愛を描く。原作・脚本はつかこうへい、監督は「愛・旅立ち」の舛田利雄、撮影は「キャバレー」の仙元誠三がそれぞれ担当。

1987年製作/117分/日本
配給:松竹富士
劇場公開日:1987年9月12日

ストーリー

10年前。立花スタントマンクラブの社長、立花の妻・小夏は幸江を生むが、病院の窓から身を投げた。幸江の父親は立花ではなく、彼の親友でスタントマンチームを一緒に作った村雨だった。スタントマンの夢を追い続け家庭をかえりみない立花に不満を抱いていた小夏の誤ちの結果だった。小夏の死後、村雨は立花の前から姿を消した。それから10年。立花が男手ひとつで育てた幸江も小学生、難かしい年頃になっていた。小夏の弟で暴走族から拾い上げた大介はスターとして育っていたが、経営はうまくいかず副社長の黒岩は金策に走りまわる毎日だった。そんな頃、アクション映画の巨匠・大道寺監督から日米合作の大アクション映画を大介主演で撮りたいという依頼があった。だが、立花はかつてのパートナーの村雨なしでは不可能と煮えきらない態度。自分の妻を寝取った男だったが、共にスタントの夢を追う親友に対する想いは変わらない。女っ気のない立花のところにお手伝い志願者がやって来た。部厚い眼鏡をかけたダサイ感じの伊豆沼時子である。料理の腕はさっぱりダメだが、バイクや車の修理にはめっほう強い。それも当然、彼女はスタントマンの草分け伊豆沼勇一の娘だったのだ。立花は時子に魅かれていき、そんな彼を見る黒岩は結婚を勧め、時子の知らぬ間に周囲は二人の結婚話を進めていく。そんな頃、10年の歳月を経て村雨が帰ってきた。姉を死に追いやり、恩人の立花を裏切った男として大介は村雨に反発するが、彼のテクニックに打ちのめされる。一方、立花との結婚話が進んでいることを知らない時子は大介を愛し始めていた。その彼女の素質に大道寺監督は注目し、主演女優のスタントに抜擢、さらにその女優を降ろし時子を主演に昇格させてしまった。大スタント・シーンの撮影前夜。時子は大介の部屋を訪ねた、立花を裏切るわけにはいかないと耐える大介だった。ついに撮影の日がやってきた。全国からスタントマンたちが続々と集まってきた。主演の大介と時子が乗る車を、車とバイクに乗った集団が襲撃するシーンである。カメラが廻った。地雷は5秒ごとに爆発するようにセットしてあり、マシンガンには実弾がこめられている。次々とケガ人が続出する中で撮影が進められ、ラスト、二人が乗る車が川の中に突っ込んだ。成功の喜びで抱き合う二人。その姿を見て立花は全てを理解するのだった。

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