キングコング対ゴジラのレビュー・感想・評価
全35件中、21~35件目を表示
昭和日米怪獣タイトルマッチ
今にして思えば、権利関係をよくクリアできたと思える珍品的作品でした。それなのに、60年前の作品であることを差っ引いても、全編に漂うチープ感はいかんともしがたく、コングのデザインもなんかブサイクでした。高島忠夫や有島一郎のコメディリリーフは面白いんだけど、怪獣ものにしては結構尺を取っていてアンバランスな感じでした。
実質的にゴジラシリーズの最初のリブート
1962年のお盆映画
ゴジラ映画はゴジラの逆襲以来7年ぶり、第三作になる
ゴジラは1954年の第一作が革新的過ぎて、続編を営業上求められてもそれを超えるものは撮れる訳がない
それを第二作では、その無理を押した結果あのような無様な結果となった
それが製作陣も良く分かっているから7年も期間が空いたのだ
その間、別の怪獣をラドンやモスラというように模索したり、地球防衛軍とか宇宙大戦争とか妖星ゴラスとかのSF映画を模索して来た
しかし、やはりゴジラという看板は魅力的でなんとか復活させたかったはずだ
だから今でいうところのリブート企画が必要だったのだ
モスラは実際のところ1937年の元祖キングコングの翻案であったから、そのライセンスを契約する必要があったから本作が生まれたのだと思う
キングコングの巨額のライセンス料を償却するためには何が何でも当たる企画が必要だったのだ
ならばキングコングそのものを撮ってしまえ
なんならゴジラも出せ
それなら絶対当たるだろう!
そのような乗りでできた企画だったのではないだろうか
元祖キングコングのオマージュを丁寧に散りばめて、基本元祖キングコングのリメイクとなっている
ゴジラは突き詰めるとゲスト怪獣に過ぎない
しかしゴジラ映画として観るとリブートなのだ
戦争とか原水爆反対とかのメッセージ性は完全に削ぎ落とされて、キングコングと同レベルの単なる巨大モンスターとして登場させている
だから、これからはいつでも大した理由が無くても登場可能になったのだ
お話も意識的に女性や子供向けに寄せて来ている
モスラでの女性と子供向けの怪獣映画の路線の上に作られているのだ
しかも戦うシーンは、当時大人気だったプロレスを思わせるようなシーンまで入れてある
だから男性も喜ぶ内容になっている
果たして本作は空前の大ヒットとなり、キングコングの契約権料は回収もでき、それ以上の成功となった
単に興業収入だけでなく、今後ゴジラ映画をどんどん撮れるようになったのが最大の成功だろう
次のゴジラ映画早く撮りたいな!
次の対戦相手は?
モスラで行くか!
こうして東宝特撮はこんなイケイケムードになっていくわけだ
酔っ払ってしまったといっても良い
大成功は凋落の芽を人知れず生み出すもの
それが明らかになるのは数年後のことになる
その原点は本作にある
少年の心で観よう
生まれる前の映画。ゴジラはともかく、キングコングの毛並み具合と着ぐるみ感がなんともチープ。登場する人間の滑稽な会話や行動様式、両雄が戦う場面はとても面白かった。でもね、最後はマジ、これ?結局、なんなん?プツッと無理に切ったみたいな。
生まれる前、戦争が終わってまだどこかにその名残があった頃でしょう。でも、ユーモアたっぷり、大らかで心にゆとりのある良い時代だったんだろうね。今と全然違う。結構、羨ましい。
パシフィック製薬のパシン錠。ライバル会社はセントラル製薬だ。
この映画の前半はかなりコメディ仕立てになっています。高島忠夫と藤木悠のコンビが最高。大タコが現われても「宣伝部長の多胡さんだろ」ですもん。そんなコミカルな中であってもゴジラの北極海から登場シーンは素晴らしいものだ。それなのにパシフィック製薬としては魔神を宣伝材料にしたいためゴジラが上陸してもらっては困るの一点張り。ファロ島ではコングがオオダコをやっつけて、まんまと酒を飲んで捕獲。原住民の中では根岸朋美が色っぽくて綺麗だ。コングを見世物にするために日本に連れ帰るというのはコング一連の映画の定番。多胡さんはそれをゴジラと対決させるという発想まで社員に伝えるのだ。
なお、防衛庁ならびに各省庁はキングコングの日本への持ち込みを禁止。そんな折、ゴジラは松島湾沖から東北に向かって本土上陸を果たすのだった。日本では100万ボルト作戦、落とし穴作戦のため、那須での建設が急ピッチで始まる。さらにコングも嵐のおかげで日本へ上陸を果たし、ゴジラのいる方向へと向かっていた。しかし、ゴジラは高圧電線で食い止められたらが、コングは止められなかった。そして運悪く、桜井の妹ふみ子(浜美枝)がコングの手の中に・・・。
麻酔弾によってコングを眠らせ、富士山にいるゴジラと直接対決させる防衛庁の方針。岩の投げ合いによる小競り合いと直接組んでの戦い。一進一退を繰り返し、二人の決戦は伊豆半島へ。ついに熱海城が破壊される。
笑えるシーンといえば、キングコングだってそうだ。高圧電線の電気を食べたり、国会議事堂によじ登ったりと笑ってしまう部分もある。勢いあまって岩に頭をぶつけるとか。
ゴジラの生死は不明だったが、コングは故郷の南海方面へ泳いで帰っていった・・・
なんか楽しい
これまでの路線から大きくコメディに振ってきたゴジラ第三作目。キングコングとの決闘って当時の人はまさか!って感じでワクワクしながら観に行ってたのではないでしょうか?
時代が時代なんでツッコミ所が数限りなく観てて楽しかったです。しかし、南の島の原住民が全部日本人って!全員でダンスするシーンが微妙に揃ってないのが微笑ましい。おおらかな時代だなぁ。
ゴジラ対ゴングは本作の見せ場なはずなんですが、第一回戦はゴジラの熱線にゴングあっさり諦めてて笑えました。何しに行った?その分、第二回戦はガッツリやってくれましたね。富士山登山を楽しんでたゴジラに風船でゴング運んでぶつける発想かスゴい。戦ってる最中に富士山から熱海まで移動してしまうのもスケールの大きな話です。けっこう離れてますよね、富士山と熱海。
そういえば、ガソリンを川に流してゴジラを食い止めるという発想もスゴい!どんだけ自然破壊!今だったらゴジラからだけでなく各方面から怒られそうです。
何はともあれコンセプトからして異種格闘技戦みたいでな感じですし、どっちかを勝たせる訳にもいかなかったのでしょうが、当時の人達はあの決着で納得が行ったのでしょうか?もしその時代にネットがあったら、あの結末に荒れてたかもっと思ってしまいました。
再鑑賞履歴
2021/5/15
「ホントだったら今週「ゴジラvsコング」公開だったのになぁ」記念。
どちらが勝つか?世紀の大決斗!
ゴジラ・シリーズ第3作。
"イッキミオールナイト上映" で久しぶりの鑑賞(4Kデジタルリマスター)。
小学3年生の時、サンテレビ「アフタヌーンシアター」で初鑑賞(「東宝チャンピオンまつり」上映バージョンだったことを知るのはまだまだ先の話)。その後それを録画したビデオを観倒し、後々DVDを購入してまたまた観倒しました。
今回鑑賞したバージョンは、DVDとは比べ物にならないクッキリした映像でした。メイクの加減で有島一郎の顔の色と首の色が違うことに気づけたし、これまでは暗かったりぼやけたりしていた部分がはっきりしており、感無量でした。
ドラマ部分は、東宝のサラリーマン物のようなコメディー・タッチ。めちゃくちゃ笑いました。視聴率争いに明け暮れるテレビ業界への風刺が籠められていました。
コミカルな多胡宣伝部長(有島一郎)は何回観てもツボ。宣伝のためだけにキングコングを生け捕りにして連れて来ようと云うのですから、生半可なパワーじゃありません。まさにモーレツ社員、と云ったところでしょうか?
自社提供番組の視聴率戦争が引き金となった二大怪獣の対決ですが、大人になって観直すと新たな視点が生まれました。
キングコングとゴジラの戦いで出た損害は、パシフィック製薬が全額支払わないといけないのでしょうか。それともTTVの全額負担か。あるいは両社の折半になるのかしら?
本作からゴジラ・シリーズはカラーをガラッと変えました。実際、総天然色になったことも一因かもしれません。これまで以上に娯楽に徹し、ヒーローとしてのゴジラ像が形づくられていきました。原水爆の恐怖の象徴としてのスタンスはすっかり影を潜めることに。キングコングとの戦いでは当時の人気プロレスラーの真似で肩を鳴らしてみたりなんかして、以降の作品で顕著になっていく擬人化が片鱗を見せ始めました。
富士の裾野から熱海城に掛けての決戦がすこぶる面白い。それぞれが独自のファイティングスタイルで戦いました。片や獣のような獰猛さで、片や類人猿のアクロバティックさで。異種格闘技戦のような大バトルに興奮しました。
結局勝敗は決しませんでしたが、2020年に公開予定のハリウッド版では決着がつくそうなので、今からめちゃくちゃ楽しみです。個人的には、ゴジラが勝って欲しいです。
[追記(2018/09/02)]
海外版を観て。日本語字幕が入っていないので何を話しているのかは分かりませんでしたが、報道番組の体裁のようで、日本で発生したゴジラ事件を科学者を呼んで解説したり、勝敗予想を立てたりしているみたいでした。アメリカで新規撮影されたシーンが挿入されていている代わりに、オリジナル版のコメディー・シーンは殆どカット。新撮シーンが物語の軽快なテンポを壊してしまっていると感じました。
[追記(2020/10/17)]
ブルーレイで観て。東宝チャンピオンまつり版作成時にカットされていたシーンとの画質の差が激し過ぎでした。カットシーンになるとぼやぁっとした画質になっており、もっと真剣にリマスターして欲しいなと思いました。
[追記(2021/05/11)]
発売を待ちわびていたUHDブルーレイを手に入れて早速鑑賞。画質最強でした。普通のブルーレイでは観れません。
[追記(2021/07/10)]
旧版ブルーレイと4Kリマスターブルーレイ(以下、新版)を連続視聴して画質を比べてみましたが、両者の違いは一目瞭然でした。旧版では、東宝チャンピオンまつり版作成時のカット・シーンを復元した個所との画質の差異が顕著でしたが、新版は滑らかに接続されストレスがありませんでした。全体的にぼやぁっとしていた色味もはっきりしており、新版の方がめちゃくちゃ観易いと改めて思いました。だからこそ、UHDブルーレイがハイダイナミックレンジじゃないのが悔やまれます。
[以降の鑑賞記録]
2018/09/02:輸入盤Blu-ray(海外版)
2019/01/20:DVD
2020/08/07:Amazon Prime Video
2020/10/17:Blu-ray
2021/05/11:Ultra HD Blu-ray
2021/05/17:Ultra HD Blu-ray
2021/07/08:Blu-ray
2021/07/10:4KリマスターBlu-ray
※修正(2024/06/09)
シリーズ第3作。 タライ回しにされた企画が何故か東映に回ってきたキ...
シリーズ第3作。
タライ回しにされた企画が何故か東映に回ってきたキングコングVSモノ!
前作から時間が経過していることもあって特撮技術の向上がもろに出ているのが特徴的。
ファロ島部族の魔神さまぁ〜ダンスが音楽も含めてとにかく最高!
着ぐるみなのに感情が伝わる(笑)
キングコングのお猿っぽい顔立ちがゴリラっぽさを無くしてる(笑)
本家の「キングコング」には及ばないが怪獣プロレスするにはこうでなくては(笑)
ラストは今なら当たり前のプロレスらしい決着です。
ゴジラ映画の最高傑作で最高動員ですよ!
評価が低すぎる!大スターのキングコングと戦ってるんですよ!
チャンピオン祭りでの鑑賞でしたが、公開前からワクワクでした。
初日に梅田東宝で朝から並んで観たのを思い出します。
ガメラ対ジャイガーを蹴ってまで観に行きました。
いやー、面白かった。最高の出来です。
この不当な評価に苛立って、投稿しました。
1970年の鑑賞です。確か春休み。
テレビ番組へのアンチテーゼなのか?
ゴジラシリーズ第3作目。ゴジラ初のカラー映画作品でもある。
テレビ番組「世界脅威シリーズ」のスポンサー元パシフィック製薬は番組視聴率の低さに悩まされていた。
そんな時、キングコングの存在を知る…。
この映画の公開年は1962年。1959年に多くのテレビ局が開局し、家庭にテレビが普及していく。
そんな年にテレビ番組のスポンサー元を主役にした映画を作ったのはテレビに対するアンチ的な要素もあったのかな?
キングコングは人間の手によって無理やり連れてこられ、ゴジラは地球温暖化による気温上昇で氷山が解け復活する。
人間の私利私欲によって意図的に作り出されたこの対決にパシフィック製薬の多胡宣伝部長は大喜びで観戦するが、科学者重沢博士はゴジラたちが可哀想だと悲観する。
一見コメディチックに楽しく作られているが、テレビ番組への視聴率が取れれば何をやっても良いのか。という深いテーマも扱っている。
ちなみに重沢博士は第1作目ゴジラに登場する芹沢博士と同じ平田昭彦が演じており、演技に説得力がある。
部長がよかった
人間ドラマが退屈で眠くなってしかたがなかったのだが、部長が興奮して怒ったりする演技だけが異様に面白かった。あの人の演技をもっと見たかった。
キングコングが途中から電気ゴリラになって、暗黒皇帝みたいな電気技でゴジラを苦しめていたのが面白かった。
娯楽の全てが詰まっている。
野球も音楽も舞踊も探検もマスコミもプロレスも鉄道も。
怪獣はあんまり大事にされてないかもだけど、とにかくどんな世代が見ても何かしらヒットする凄い脚本と演出。
もともと有島一郎さんが好きすぎるが、高島忠夫さんの実力を思い知った。
日本の怪獣王対アメリカの怪獣王…本当に夢があった時代
1955年公開『ゴジラの逆襲』以来、7年振りとなったシリーズ3作目。
本作から“ゴジラシリーズ”が定着した。
前作のラストで氷の中に閉じ込められたゴジラが復活、南の島の王者キングコングと戦う。
公開時は爆発的な大ヒットとなり、シリーズで一番の観客動員数を誇る。
興行収入も、今で言うと軽く100億は超えている。(観客動員数比較では、『踊る2』とほぼ同等)
本作はシリーズの転換期の一つ。作品雰囲気がガラリと変わった。
第一作目は反核の暗く重たい雰囲気、『空の大怪獣ラドン』『地球防衛軍』もシリアスな雰囲気だったのに対し、本作はカラッと明るい娯楽作。というか、完全なコメディ。
ゴジラシリーズが“軽く”なってしまった原因の一つでもあるが、ゴジラが正義のヒーローになってしまう今後を思えばまだまだ。
それを払拭するほどの娯楽性がある。
見てて飽きないし、ゴジラ側のドラマとキングコング側のドラマが交互に進んでいくストーリー展開は、後の怪獣映画の傑作『ガメラ 大怪獣空中決戦』にも影響を与えたほど。
また、キングギドラやメカゴジラやモスラとは違う、がっぷり四つに組んでゴジラと戦う姿はキングコングだけの魅力で、平成VSシリーズで再登場の声も上がったのも頷ける。
日本の怪獣王とアメリカの怪獣王の再戦は、怪獣映画ファンの夢である。
(追記:そして2020年、ハリウッドで『ゴジラvsコング』が!)
そうそう、最後に本作の見所をもう一つ。
有島一郎演じる多湖部長!
この強烈キャラクターは怪獣映画史上随一。
また、シリーズで初めて製作・田中友幸、監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二、脚本・関沢新一、音楽・伊福部昭の“ゴールデン・チーム”が揃った。
この5人のチームは『怪獣大戦争』まで続き、シリーズの黄金期を支えていく事になる。
全35件中、21~35件目を表示