「どちらが勝つか?世紀の大決斗!」キングコング対ゴジラ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
どちらが勝つか?世紀の大決斗!
ゴジラシリーズ第3作。
東宝創立30周年記念作品。
「ゴジラ・フェス2017連動企画 アニゴジ公開記念!イッキミオールナイト上映」で完全版(4Kデジタルリマスター)を鑑賞。
小学3年生の時、サンテレビ「アフタヌーンシアター」で初鑑賞(「東宝チャンピオンまつり」上映バージョンだったことを知るのはまだまだ先の話(笑))。その後それを録画したビデオを観倒し、後々DVDを購入してまたまた観倒しました。
そして今回鑑賞したバージョン―。DVDとは比べ物にならないクッキリした映像でした。メイクの加減で有島一郎の顔の色と首の色が違うことに気づきました(笑) 他にも、キングコング東京進行やクライマックスの激闘など、暗かったりぼやけていた部分がはっきりしていて感無量でした。
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ドラマ部分は、東宝サラリーマン物のようなコメディータッチ。めちゃくちゃ笑かしてくれました。視聴率争いに明け暮れるテレビ業界への風刺が籠められていました。やがてテレビに娯楽の王座を奪われることになりますが、それはまだもう少しだけ先のお話です…。
コミカルな多胡宣伝部長(有島一郎)は何回観てもツボ(笑) 宣伝のためだけにキングコングを生け捕りにして連れて来ようと云うのですから、生半可なパワーじゃない(笑) まさにモーレツ社員、と云ったところでしょうか?(笑)
自社提供番組の視聴率戦争が引き金となった二大怪獣の対決ですが、大人になってから観返すと新たな視点が生まれました。キングコングとゴジラの戦いで出た損害は、パシフィック製薬が全額支払わないといけないのでしょうか? それともTTV? あるは両社の折半かしら?(笑)
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本作からゴジラはそのカラーをガラッと変えました。実際、総天然色になったことも一因かもしれません…(笑) これまで以上に娯楽に徹し、ヒーローとしてのゴジラが形づくられていきました。原水爆の恐怖の象徴としてのスタンスはすっかり影を潜めてしまいました…。キングコングとの戦いでは、当時の人気プロレスラーの真似でコキコキと肩を鳴らしてみたり…。以降の作品で顕著になっていく擬人化が、片鱗を見せ始めた作品でございました。
富士の裾野から熱海城に掛けての決戦は迫力と痛快の極み! 両者が独自のファイティングスタイルで戦いました。片や獣のような獰猛さで、片や類人猿のアクロバティックさで…。異種格闘技戦のような大バトルに興奮しました。
結局勝敗は決しませんでしたが、2020年に公開予定のハリウッド版「Godzilla vs. Kong(原題)」では決着がつくそうなので、今からめちゃくちゃ楽しみです! いったいどちらが勝つのか? 個人的にはゴジラであって欲しいですが…。
※追記(2018/09/02)
海外版について―。
日本語字幕が入っていないので何を話しているのかは分かりませんでしたが、どうも報道番組の体裁のようで、日本で発生したゴジラ事件を科学者を呼んで解説したり、勝敗予想を立てたりしているみたいでした。アメリカで新規撮影されたシーンが挿入されていている代わりに、オリジナル版のコメディーシーンは殆どカット。新撮シーンが物語の軽快なテンポをぶっ壊してしまっているように感じました。
※追記(2020/10/17)
Blu-rayの画質について。東宝チャンピオンまつり版作成時にカットされていたシーンとの画質の差が激し過ぎ(笑) カットシーンになるとぼやぁ〜っとした画質になって、もっと真剣にリマスターしなさいよ、と思いました。
※追記(2021/05/11)
待ちわびていた4K Ultra HD Blu-ray!
画質最強でした!
もう普通のBlu-rayでは観れないよ!
※追記(2021/07/10)
旧版Blu-rayと"4Kリマスターブルーレイ"(以下、新版)を連続視聴して画質を確かめてみましたが、両者の違いは一目瞭然でした。旧版Blu-rayでは、東宝チャンピオンまつり版作成時にカットされたシーンを復元した個所との画質の差異が顕著でしたが、新版は滑らかに接続されストレスがありませんでした。全体的にぼやぁっとしていた色味もくっきりはっきりしており、新版の方がめちゃくちゃ観易いなと改めて思いました。だからこそ、4K Ultra HD Blu-rayがハイダイナミックレンジじゃないのが悔やまれますねぇ…。
※鑑賞記録
2018/09/02:輸入盤Blu-ray(海外版)
2019/01/20:DVD
2020/08/07:Amazonプライム・ビデオ
2020/10/17:Blu-ray
2021/05/11:4K Ultra HD Blu-ray
2021/05/17:4K Ultra HD Blu-ray
2021/07/08:Blu-ray
2021/07/10:4Kリマスターブルーレイ
全てが鮮やかでくっきりはっきり!
もし4K環境があるなら是非!
観た過ぎて観た過ぎて…😭
Twitterなどで海外からのネタバレを喰らわないようにするのに必死です(笑)
肩に力入る映画を連続鑑賞&肩に力入れないと出来ない仕事が終り…本作を観て、入浴後の様に肩の力が抜け、救われました🙏
東宝の社長モノ駅前モノと特撮モノのミクスチャーは、何回観ても無心で楽しめます。本作の2年後、オリンピックですが、今年はオリンピックより「ゴジラVSコング」の方が楽しみです…あのドクロ島コングは、歴代コングの中で私的にBest1です。
本作のコングがあのコングだったら…なんて妄想もしながら観てました。
オブライエン氏の叶わなかった企画や数々のボツ企画は、チープでも全然構わないので、河崎監督に撮ってもらいたいです🙇
観賞菩薩さんへ。
いつもお世話になっております。
上記エピソードですが、ウィリス・オブライエンが気の毒だなと改めて思いました。自分の企画を散々こねくり回されて、バラバラにされ改変され…そのおかげで「キンゴジ」、「フラバラ」という名作が誕生したのは紛れも無い事実ですが、オブライエン自身はすごく失望していたという話をどこかで読みました…。
↓「怪獣王ゴジラ」にコメントした『幻想館』からの引用です。御存知かもですが、製作の経緯が余りにも面白いので抜粋します。
『怪獣映画の元祖とも言うべき「キングコング」を作ったウィリス・オブライエンは、晩年「キングコング対フランケンシュタイン」という企画を考え、何とかアメリカの映画会社に売り込もうとしていたが果たせず、そのアイデアを仲介したプロデューサーの手によって、その企画は日本の東宝に持ち込まれる。この企画が「キングコング対ゴジラ」になるのである。「キングコング対フランケンシュタイン」のアイデアは、東宝にもう一つの企画を生み出させる。「フランケンシュタイン対ゴジラ」のアイデアである。まずは、アメリカ側から「フランケンシュタイン対ガス人間」のアイデアが提示されるが、これは、等身大のフランケンシュタインが登場する「ガス人間第一号」の続編であり、アメリカ側の意向に添わなかったので一旦棚上げになる。その後、今度は、ベネディクト・プロ社と言うアメリカの会社から東宝へ「フランケンシュタイン対デビルフィッシュ(大蛸)」の企画が持ち込まれる。これを日本で具体化したのが前述の「フランケンシュタイン対ゴジラ」の検討用台本だったのだが、これ又、ベネディクト・プロ社の意に添わず、ゴジラに変わる新怪獣と戦わせて欲しいと云う要望に応え完成したのが「フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン」…』という話でした。