憲兵と幽霊
劇場公開日:1958年8月10日
解説
戦争中内地と大陸にまたがって憲兵隊内で行われたスパイと謀殺事件をテーマとした物語。石川義寛の脚本を、「亡霊怪猫屋敷」のコンビ中川信夫が監督、西本正が撮影した。「絶海の裸女」の中山昭二、久保菜穂子、「人喰海女」の三原葉子、万里昌代、「坊ぼん罷り通る」の天知茂、それに胡美芳が特別出演している。
1958年製作/75分/日本
原題または英題:Ghost in the Regiment
劇場公開日:1958年8月10日
ストーリー
田沢憲兵伍長と明子は、波島憲兵少尉の嫉妬をよそに結婚した。翌年の夏、憲兵隊から機密書類が盗まれた時、波島と腹心の部下高橋軍曹は、罪を田沢にかぶした。明子と母を拷問されて、田沢は偽りの自白を強いられ、銃殺された。射手として兄の銃殺に立会い、自分の無実と呪いの言葉を叫ぶ兄の姿をみた田沢二等兵は、復讐を誓って憲兵を志願した。波島は、国賊とののしられ、生活に苦しむ明子に毒牙をのばし、母を自殺に追いやった末、遂に彼女を征服した。浪島は、大陸における日本軍の配置図を、中国側の張覚仁に手渡すため大陸に渡ったが、途中の船中で、部屋に入ってきた高橋軍曹の顔が、亡き田沢伍長にみえて、これを軍刀で殺してしまう。彼は死体を行李に詰めて海に投じた。大陸について憲兵隊に出頭した波島は、皮肉にも小森中佐に、大物スパイ張覚仁の逮捕を命じられた。部下として同行を言渡されたのは、今は憲兵となった田沢上等兵だった。しかし波島の連絡によって、現場では身代りとして金成日が捕えられたのみだった。金成日は、自分は張覚仁でないことを主張し、証人として知合いの日本人看護婦を呼んだ。それは明子だった。彼女も復讐のために大陸にきていたのだ。取調べ室で対決させられることになった波島は、金成日を殺して張のもとに逃れ、張の情婦で自分と通じている紅蘭と、共謀して張を殺し、逃走した。しかし、憲兵隊の手は彼等を逃さなかった。田沢の母の顔に見えた紅蘭をつき放し、墓地に追いつめられた波島は、その一つ一つが田沢の顔にみえる十字架に行手をはばまれ、逮捕された。軍法会議の重罰が波島を待っていた。今は心晴れて陸軍病院の病室に田沢上等兵を見舞った明子は、戦争が終って、二人とも無事であったらという条件で、田沢上等兵の求婚を承諾した。