黒い十人の女

ALLTIME BEST

劇場公開日:1961年5月3日

解説・あらすじ

名匠・市川崑が和田夏十のオリジナル脚本をもとにメガホンをとり、創世記のテレビ業界を舞台に、ひとりの男に思いを寄せる10人の女たちが彼に殺意を抱いたことから巻き起こる騒動を、ブラックユーモアを散りばめながら描いたミステリー映画。テレビプロデューサーの風松吉にはなぜか近づく女が絶えず、妻の双葉は寂しい毎日をレストラン経営で紛らわせていた。どの相手も風にとっては遊びの関係に過ぎなかったが、女たちは妙に彼のことが忘れられない。風のことが気になって仕方ない彼女たちは、いっそのこと彼が死んでしまえば良いと考えるように。すっかり気心の知れた仲である1人目の愛人・市子と妻・双葉は、冗談半分に風を殺害する計画まで話し合う。そんな噂を耳にした風は、女たちが共謀して自分を殺そうとしていると思い込んで双葉に相談するが……。

1961年製作/102分/日本
配給:大映
劇場公開日:1961年5月3日

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映画レビュー

3.5 トマトはないわ

2025年8月10日
iPhoneアプリから投稿

男の形をした影なき人を演じた船越英二の軽さが際立つ。見境なく手を出しまくるが悪びれた様子がない。家に閉じ込められて新聞を切り抜く姿が愛らしくもある。女が求める男像とは何か。狩猟をするでもなく、戦ってくれるわけでもない。カンパニーマンの増大と共に、女が直接的に享受できなくなった男による守護の喪失と共に、自身の行き場のなくなった母性を持て余す現代女性の在り方をシュールに描き出している。向こう側では事故車両で炎上する。リスクはあるがハンドルは自分が握る。
幽霊として最後まで笑いを誘う宮城まり子の表情が楽しい。引退が早くてよく知らなかったが、手のひらを太陽にを歌った人のよう。作詞はやなせたかしと偶然に今年の朝ドラに繋がる。

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Kj

3.0 当時としては斬新かつスタイリッシュな映画だったのだと思う

2024年10月20日
PCから投稿

リアル感なき表層的シニカルなブラックコメディという括りになるのだろうか。
当時の浅薄で先進的な人間には大いにアピールする映像・演出スタイルだったのだろう。

個人的には脚本的にも演出的にも面白さを見出すことはできなかったが、トップ女優陣の「華と魅力」の幾何かを堪能させてもらえたことに感謝したい。

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resuwisshu311

3.5 結構 終盤 近くまで面白かった

2023年11月8日
PCから投稿

不条理な感じが 巧みな 音楽 カメラワーク 演技などとも相まって さすがにすごいなと思いながら見た。 ただ物語の性質的に まとめるのは難しかったかな。

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KIDOLOHKEN

3.5 誰にも優しいてことは、誰にも優しくないってことよ。

2023年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

船越英二と関係をもつ、妻を含む10人の女たち。全部が山本富士子や岸恵子だったら、船越英二はいけ好かないキザな奴にも見えたのだろうけど、正直、この女に?っていうのも出てくる。そこに、誰にでも優しいって軽さが見える。妻山本富士子も女優山本富士子も、コイツと一緒なの?と同列にされることを不快に思っただろう。じゃあ、自分に対する愛情は本物じゃないんだろうとも思っただろう。だけど、憎めない。そのキャラを演じる船越英二の絶妙さ。育ちの良い金持ちのボンボンにたまにいる、嫌みのなさ。(それは女にだけでなく上司やクライアントの男たちにも。)だから、女たちは忘れられない。他の女にもフラフラする船越英二にジリジリする。自分だけ出し抜くこともできずに共闘を組む。復讐のために?いや、他の女へのけん制のために。もう、船越英二が欲しいというより、こいつらに勝てないまでも遅れをとるまいという意地の張り合い。その丁々発止の探り合いが刺激的だった。
この映画、1961年とあった。もう60年も前か。このテーマをドロドロさせず、とてもスタイリッシュだ。黒というシックなビジュアルがコメディ要素を引き締めてくるし、一人の自殺者がいることでナーバスな一面を見せて不倫を茶化さない。昭和のTV界の空気感、当時最前線を走っていた俳優たちの雰囲気、古くてもとても新鮮だった。

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栗太郎