劇場公開日 1961年5月3日

黒い十人の女のレビュー・感想・評価

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3.5結構 終盤 近くまで面白かった

2023年11月8日
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不条理な感じが 巧みな 音楽 カメラワーク 演技などとも相まって さすがにすごいなと思いながら見た。 ただ物語の性質的に まとめるのは難しかったかな。

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タンバラライ

3.5誰にも優しいてことは、誰にも優しくないってことよ。

2023年10月3日
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鑑賞方法:映画館

船越英二と関係をもつ、妻を含む10人の女たち。全部が山本富士子や岸恵子だったら、船越英二はいけ好かないキザな奴にも見えたのだろうけど、正直、この女に?っていうのも出てくる。そこに、誰にでも優しいって軽さが見える。妻山本富士子も女優山本富士子も、コイツと一緒なの?と同列にされることを不快に思っただろう。じゃあ、自分に対する愛情は本物じゃないんだろうとも思っただろう。だけど、憎めない。そのキャラを演じる船越英二の絶妙さ。育ちの良い金持ちのボンボンにたまにいる、嫌みのなさ。(それは女にだけでなく上司やクライアントの男たちにも。)だから、女たちは忘れられない。他の女にもフラフラする船越英二にジリジリする。自分だけ出し抜くこともできずに共闘を組む。復讐のために?いや、他の女へのけん制のために。もう、船越英二が欲しいというより、こいつらに勝てないまでも遅れをとるまいという意地の張り合い。その丁々発止の探り合いが刺激的だった。
この映画、1961年とあった。もう60年も前か。このテーマをドロドロさせず、とてもスタイリッシュだ。黒というシックなビジュアルがコメディ要素を引き締めてくるし、一人の自殺者がいることでナーバスな一面を見せて不倫を茶化さない。昭和のTV界の空気感、当時最前線を走っていた俳優たちの雰囲気、古くてもとても新鮮だった。

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栗太郎

3.5タイトルなし

2023年9月12日
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主体性のない空っぽの男に女たちが取り憑かれるのは、そこに他の女の影(他人の欲望)を認めるからである。宮城まり子だけが幽霊になり、寄る辺をなくした空っぽの男と女の実体だけが同じ空間に同居するというオチは秀逸だった。

カットや演出が斬新で画も良かった 。船越英二が良かった。でも、映画として面白かったかと問われると、制作現場の描写を除けば、微妙だった。

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抹茶

3.5センス抜群!

2021年11月15日
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鑑賞方法:映画館

こんなハイセンスな映画があるなんて知らなかった。
洒落ていて、粋である。いま観ても全然古さを感じさせない(題名も秀逸です)。

まず物語の着想がユニークだ。そのストーリーをユーモアが包み込んで、観客を魅了していく。

そして、ワンカット、ワンカットがカッコいい。
モノクロームの、大胆に余白をとった画面構成。素敵です、キマってます、シビレます。

豪華な女優陣の競演は、さながら「妖怪大戦争」のようにも感じられますが(失礼!)、見どころたっぷり。
それぞれの名女優の演技を存分に堪能することができました。

僕が生まれる前の映画なので、皆さん、僕の知ってる顔とは、かなり違っていて、「中村玉緒、こんなにふっくらして可愛かったんや」とか「岸田今日子、めっちゃカッコええやん」とか、そんなことも愉しめた。
それから、クレージーキャッツの出演もあり、サービス満点。

市川崑監督の映画づくりのセンスの良さを再認識させてくれた、そして、和田夏十の脚本づくりの巧みさに感心させられた、貴重な上映でした。

小西康陽さんが推すのも納得です(小西さん、ありがとう!)。

追記
上映が終わった瞬間、場内の何人かの人が拍手をしたので、僕もつられて手を叩きました。
映画館で拍手を聞いたのはほんとうに久しぶりでしたが、監督と作品へのリスペクトが感じられ、こころ温まる思いがしました。

やっぱり、映画は映画館で観たいですね。

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peke

5.0お見事でした💐 でもまだ続く

2021年8月28日
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鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

知的

ザ・女優の二人、岸惠子と山本富士子の火花散るセリフのやりとりと表情の応酬に痺れました。何度も見たい聞きたい場面がてんこ盛りの映画です。

和田夏十の脚本がまず最高に素晴らしい。そして市川崑監督のオープニング・クレジットと演出とカメラワークに心掴まれました。時間構成もカット割もかっこいー、面白い!山本富士子にあんな恰好やあんな表情させてあんなセリフを言わせるなんてすごい。それに応えてこなす山本富士子も凄い。どんな役者もイメージとかふさわしい役柄というのはあるだろうが、主役級の役者がこれだけ幅広い演技ができてそういう役を与えられる・受けるという昔の映画の世界ってすごいなあと思った。岸惠子は女優の役。まさに適役ですっごくかっこよかった!岸惠子が「悪魔の手毬唄」に出演したように、市川崑監督の横溝作品に出る山本富士子を見てみたかった。

1961年の映画なのにあまりにアクチュアルで予言的なことに感動しつつ総毛立った。女はみんな仕事をして経済的にも人間としても自立して好きな男でも本性が透けて見えることは織り込み済み、「ふたり並んで乞食しましょう」と肝が据わっている。男は「仕事」や「会社」がないと居場所を失い言い逃れや言い訳もできなくなる。振り返る必要も時間もなく場当たり的にやり過ごしてゆくことに慣れてるテレビ局の仕事。そして今、職種に限らず空間も時間も「仕事」に奪われ(或いは自ら捧げ)監視されることにも慣れてしまった世界に私たちは生きている。

最後の持って行き方、ゾクゾクした。ラストの予言、その予言は更なる予言を生み出すような。

おまけ
クレジットで「一三」?と思ったが、本人見て伊丹十三さん!とすぐわかった。若い時から素敵。手が痒いのはアトピーだろうか?そんなところにもこの映画の予言性を感じた。あとクレイジーキャッツの演奏とコントがすごく嬉しかった。みんなわっかーい!

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talisman

5.021世紀の現代人は、心と心を触れあわせることの出来ない生き物になってしまっていないでしょうか?

2020年1月31日
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鑑賞方法:DVD/BD

テレビ局が舞台です
昔も今も24時間切れ目もなく稼働し続けている仕事場であることを本作は丁寧に紹介します

岸恵子が演じる市子は、テレビ局プロデューサーでプレイボーイの風にこういいます

あなたは(ピーターパンのように)影の無い人だって誰かにいったことがあるけど、現代の社会機構の中に巻き込まれると誰でもそうなるのよ
忙しく飛び歩いて事務的な事の処理は大変上手くなるけど、心と心を触れあわせることの出来ない生き物になってしまうのよ
女が男に求めることはもう無いのよ、あなたの中には

この台詞こそが本作のテーマだと思います

21世紀の現代においては、ネットによって24時間オンラインで繋がって、男も女もいつオンだかオフだかよくわからない状態に置かれているのです
本作のテレビ局員のような忙しさはいまや普通の人々までそのような生活を送っているのです
新幹線や飛行機で飛び回ってもいます
ハッと気がつけばCAでもないのに1週間毎日飛行機に乗っていた、どうりで疲れる筈だとか
しかも、それでいてPCやスマホで仕事を進行させながらです

こんな生活をを続けていると、ナチュラルハイになります
高ぶった精神を鎮める場を求めて、疲れているのに深夜にバーに繰り出して強い酒を煽ったりするようになるのです
人によっては本作の風プロデューサーのように女性に向かうようにもなります
風の行動は非常識なものですが、とても納得できるありそうな行動だと、自分には経験からそう思います

そうです
心と心を触れあわせることの出来ない生き物になってしまっているのです

これが昨今の結婚しない男女が増えている本当の原因のように思えてなりません

本作は21世紀の現代の社会機構の問題を60年も前に正確に予見していたのだと思います

スタイリッシュなフランス映画を思わせる映像と音楽は他の日本映画にはみられない素晴らしいものです
モンキーパンチの初代ルパン三世をどことなく思わせる程です

ラストシーンの夜の国道
道端で横転して炎上する事故車はこれから起こることを暗示した不安の余韻を残す見事な終わり方でした

日本映画オールタイムベストにリストアップされて当然の傑作です

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あき240

3.5ラストのシークエンスには痺れた

2019年12月10日
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鑑賞方法:VOD

市川崑監督作ってことで鑑賞。噂には聞いていたが見逃していたタイトル。

「誰にでも優しいってことは、誰にも優しくないってことよ」と言われてしまう男・船越英二をめぐる十人の女の話。なんとも奇妙な味わいの映画。どこに進むかわからない会話と物語。最後の台詞の応酬は禅問答のよう。ブラックコメディというよりももっと別の何か、という感じがした。

女優はやはり山本富士子と岸恵子の存在感が群を抜いてた。あと岸田今日子と中村玉緒が特殊な輝きを放っておりましたな。
だがこの映画で一番すごいのは船越英二ではないだろうか。手当たり次第に女を口説き詰め寄られても意に介さないスタイル。のらりくらり。実際に居そうな雰囲気が見事。

監督の公私共にパートナーである奥様の和田夏十の脚本ということで、この映画の半分以上の功績は和田夏十さんにあるように思いました。

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散歩男

3.5男女関係を描いたサスペンス風ドラマかと思っていたら全く違った。当時...

2019年1月6日
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鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル

男女関係を描いたサスペンス風ドラマかと思っていたら全く違った。当時の社会性がよくわかると共に人生の意義についても考えさせられた。このタイプの優男には船越英二がまさにはまり役。

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tsumumiki

4.5やっぱりいい。

2016年10月14日
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鑑賞方法:DVD/BD

撮り方が何ともいい。市川崑。ちゃんと他の作品も見たい。
男ってほんとバカだ、こういう奴いるよな、と思いながら見ていたが、後々女が男をダメにするのだと思った。さげまん。女は怖い。集まって男の悪口を言うところなんか、凄まじい。中村玉緒のカスみたいな男なのよ、には思わず声を出して笑ってしまった。喧嘩のシーンも最高。

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いつこ

4.0とにかく画が綺麗 陰影が濃く 被写体の画角内への収め方が素晴らしい...

2016年8月5日
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とにかく画が綺麗

陰影が濃く
被写体の画角内への収め方が素晴らしい

ほとんど被写体を真ん中に置かない
右端、左端に置く

市川崑はアニメーションからこの世界に入っただけあって、美しい画がまるで写真の様だ

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saikimujin