クレープ

劇場公開日:

解説

離婚した妻の元で育った十四歳の娘と久しぶりに会うことになった中年男のとまどいと情愛を描くドラマ。「乳房」とともに、伊集院静の原作二本を二本立てで公開した中篇で、監督・脚本は「病院で死ぬということ」の市川準。撮影は石井浩一が担当。主人公の江津役には、バラエティ番組などで人気の田代まさしが、その娘のみのり役にはオーディションにより堀江奈々が扮し、それぞれ映画初主演となった。

1993年製作/日本
配給:東映
劇場公開日:1993年10月9日

ストーリー

高級ホテルの理髪店に勤める四〇歳の江津佑次は、妻と別れ、若い恋人・可葉子と一緒に暮らしていた。ある日前妻から電話があった。赤ん坊の時から一度も顔を合わせていない娘のみのりが、高校の入学祝いに江津に会いたいという。可葉子は二人の生活に江津の過去が立ち入ってくることに寂しさを感じるが、江津の思いをくみとり反対はしない。江津の方は、ホテルのベルボーイで野球仲間の高沢から最近の女子高生の乱れた生活の話を聞いたりして不安になる一方、休日を利用して、みのりと待ち合わせをするレストランの下見に出かけ、若い娘たちにならってクレープを注文してみる。『ここのクレープはおいしいんだよ』そんな台詞を気恥ずかしいと思いつつ、娘に言ってみたいと思う。そして遂にその日が来た。小雨の降る中、レストランにやって来たみのりを迎える江津。最初はぎこちない再会ながらも、江津が勧めたクレープをみのりがおいしく食べた頃から二人は打ち解け合っていく。だが、みのりの誕生日を江津はもう覚えていないことが分かって絶望的になる。レストランを出て散歩をする二人。河川敷の少年野球を何げなく見ることになった江津は、一方的に負けているチームを懸命に声援し出す。一緒に応援しだすみのり。……一日が終わり、帰りの駅のホームで、江津はみのりに、可葉子からと神社のお守りを渡す。小さく手を振り、ほほえむみのりを見送る江津。夜の街の雑踏の中で、しばらく一人群衆を眺めていた江津は、電話ボックスに入り、可葉子を呼び出すのだった。

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映画レビュー

4.0田代まさし氏は本作が映画初出演、シリアスな演技を披露しておりますが芸達者な方なので俳優としても活躍していたかも知れませんね。

2024年12月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

目黒シネマさんにて今年で11回目になる「~人を観るよろこび 第11回 市川準 監督特集~」開催(2024年11月24日~11月30日)。本日1本目は『クレープ』(1993)を鑑賞。 『クレープ』(1993) 伊集院静同名小説を田代まさし氏主演で映画化した55分の中篇。 同じく伊集院氏原作の根岸吉太郎監督、小林薫氏主演『乳房』と当時同時上映。 両作品ともDVD、未配信の幻の作品で『乳房』は先だって神保町シアターさんの「一度はスクリーンで観ておきたいー忘れられない90年代映画たち」(2024年6月29日~8月2日)で鑑賞済。期せずして両作品が短期間で観られてラッキー。 ストーリーは離婚した妻の元で育った娘と14年ぶりに再会することになった中年男性(演:田代まさし氏)の戸惑いと娘への愛情を描いた作品。娘を喜ばせるためにクレープが美味しい喫茶店の下見をする微笑ましいシーンや、娘との対面での張り詰めた緊張感、映画ならではのたっぷり間をとってお互い言葉を選びながら、たどたどしく空白期間を徐々に埋めていく様が実にリアルで良かったです。 田代まさし氏は本作が映画初出演、シリアスな演技を披露しておりますが芸達者な方なので俳優としても活躍していたかも知れませんね。 田原俊彦氏の夫人向井田彩子氏も出演も貴重でした。

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矢萩久登