金色のクジラ
劇場公開日:1996年10月12日
解説
白血病の幼い少年の生命を救うため家族が力を合わせて努力する姿を描く、実話をもとにした人間ドラマ。子役はすべてオーディションで選ばれた静岡県下の子供たちで、三浦浩一と永島暎子が主人公の兄弟の両親を演じ、ケーナ奏者としても知られる田中健が、移植医役として出演するほかに映画音楽も演奏している。
1996年製作/105分/日本
配給:ナス・プロモーション
劇場公開日:1996年10月12日
ストーリー
3月、小学校への入学を心待ちにしていた6歳の裕一が、突然痛みを訴えて倒れた。母・早苗に告げられた病名は“急性リンパ性白血病”。裕一は入院し、治療を受けることになった。父の正樹は多忙で看病には行けず、早苗は仕事と家事、病院通いの日々に追われていた。祐一の兄・努は弟の病気の重さを理解し、隣に住む凧作り職人の林夫妻に支えられながら、ひとり放っておかれる寂しさにじっと耐えていた。祐一は担当の森谷医師や看護婦の由美に励まされながら、一度は退院の日を迎えたが、周囲の喜びもつかの間、病気はすぐに再発した。早苗は同じ白血病の子供・さおりをもつ邦江に励まされ、骨髄バンク運動に情熱を傾ける彼女の姿を見て、いのちの大切さ、家族の絆を考えさせられるのだった。裕一を救うため、家族は最後の手段として骨髄移植の道を選ぶ。自分の型だけが適合することを知った努は骨髄を提供することを決意し、手術が行われた。手術室で努は、金色のクジラが元気になった裕一を背にのせて泳いでくる夢を見る。金色のクジラは、裕一が最初に倒れた日にスケッチブックに描いていたものだった。祐一の手術と同じ日、さおりは「ありがとう」の言葉を残して14年間の生涯を閉じた。裕一は無事に退院し、5月5日の“浜松まつり”の会場には、努と裕一、早苗と正樹、担任の先生にクラスメート、林をはじめとする町の人たちの大勢の笑顔がそろっていた。大空には勢いよく潮を吹きあげる金色のクジラが舞い上がっている。それは裕一のために林が作ってくれた大きな大きな凧だった。