吸血蛾
劇場公開日:1956年4月11日
解説
“講談倶楽部”に連載された横溝正史の同名の怪奇推理小説の映画化。「銭形平次捕物控 死美人風呂」の小国英雄が「おえんさん」の西島大と共同脚色し、「青カ島の子供たち 女教師の記録」の中川信夫が監督した。撮影は「オテナの塔 後篇」の安本淳。主な出演者は「早春」の池部良、「チャッカリ夫人とウッカリ夫人 (夫婦御円満の巻)」の久慈あさみ、「イカサマ紳士録」の塩沢登代路、東宝初出演の安西郷子(「隠密七生記(1956)」)、「見事な娘」の斎藤達雄、「黒帯三国志」の小堀明男、「白扇 みだれ黒髪」の東野英治郎など。伊東絹子をはじめファッション・モデル・グループ(F・M・G)が特別出演する。
1956年製作/89分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年4月11日
ストーリー
浅茅会を組織するデザイナー浅茅文代は在仏中、天才的デザイン画家伊吹と同棲したことがあったが狼つきという奇病のため時々狼のような形相で暴れる伊吹を恐れ、デザインを盗むと彼を捨てて帰国した。そのデザインで彼女は一流デザイナーの名声を得ることが出来た。伊吹は文代を追って日本に来ると、文代のパトロン長岡に会い秘密を明かした。長岡は伊吹から残りのデザインを買うと、時折怪人に化けては文代を呼び出し、大金でそれを売りつけた。長岡はこの方法で文代の目をさまさせ偽りのデザイナー生活を止めさせようと思っていたのである。伊吹は、双生児の兄で昆虫学者の江藤の昆虫館に文代を呼び寄せ、暴力で復縁を迫ったが、かえって文代に殺された。浅茅会のマネージャーで殺人淫楽症の村越徹は文代の殺人を知ると本性を現わし、彼女を脅迫して自分の女にした。ついで伊吹の死を誰も知らないのを幸として、狼男伊吹に化けた徹は、残虐な犯行を重ねて行った。こうして、浅茅会専属の七人のモデルのうち三人が殺され、遂には長岡も殺された。文代も、また徹にそそのかされ、競争相手のデザイナー日下田鶴子を殺した。一方、伊吹の死を知らない江藤は、次々に起る犯行を弟伊吹の仕業だと思い、次の犠牲者に目されていたモデル達三人をかくまったが、そこにも狼男に化けた徹が現われ、江藤は殺された。徹は文代に命じて七人目のモデル杉野弓子を連れて来させると、四人のモデルを一緒に殺そうとした。危機一髪、殺人鬼を追っていた名探偵金田一耕助が現われ、四人は救われた。文代は徹の拳銃に倒れ、等々力刑事が警官の一隊と現われる頃、建築中のビルの鉄骨上に逃げ登った徹は墜落して死んだ。弓子は恋人の新聞記者川瀬の腕にいだかれた。