「大人になるってこういうこと」機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
大人になるってこういうこと
2022年12月4日
愛知県豊田市でカーボンニュートラルを
ガンダムで考えるというよくわからない企画で
ガンダム芸人のぬまっちと若井おさむ目当てで
観に行ったのですが
3年前にも神戸の富野由悠季展で
企画上映をスクリーンで観たりちょくちょく
映画館で観た作品なので
せっかくだからなんか書いておこうと
公開時は8歳
ストーリーの骨はわからずνガンダムも
サザビーもかっこいいで終わっていましたが
40過ぎてから観るとまぁ印象が全然違う
これがあるから富野作品は面白いんですけどね
色々嫌われやすいクェスですが
今観るとクェスって親に
純粋な主張をまともに
聞いてもらえず袋小路に陥り
言葉にそそのかされて悪いことに
足を突っ込んで破滅に向かう
子供に映っちゃうんですよね
不思議なんですが
クェスとハサウェイに
同情的になってしまいます
クェス最後は自分にミサイルが
直撃する事をニュータイプ能力で
予見して巻き込まれそうな
ハサウェイを払いのけてる
最後に自分の能力を他人の
ために使ったんですよ
でもその時には遅すぎた
クェスはニュータイプ能力高すぎて
アムロに共感性を抱いていたけど
相手にされず
シャアに父性を求めたけど
自らの野望に利用しようと考え
かつて二人が持っていた力が
大人になったことでなくなってしまって
いる事が今観ると悲しく感じます
主人公とライバルのはずなのに
はっきり衰えを映す作品なんて
ありますでしょうか
アムロはνガンダムにサイコミュを
増幅する受信パックを付け
シャアはファンネル操作の時に
ヘッドセットを付けてます
しれっと二人のニュータイプ能力は
もう衰えていますとう描写が
なされているんですね
途中ロンデニオンコロニーに
居合わせたときに
「私を感じてみろアムロ」
というセリフがありますが
逆に言えばもうわからなくなって
いるんですよね
Zのアッシマー戦の時は
すぐわかったのに
そして結局二人を引き合わせたのは
ララァでした
大人になるってどういうことか
酸いも甘いも知って賢くなること
かもしれませんがそれってつまり
経験からトラウマを背負って
純粋な発想に気がつけなくなること
かつて覚醒するアムロに追い詰められ
苦しんでいたシャアにとっては
ララァとの出会いで自分が持っていた
力を見出されかけたところで
ララァを失いそこにずっと
囚われて生きてきて
今生きて目の前で動いてる
アムロへの憎悪しか残らなく
なってしまった
ガンダムシリーズの立役者の
悲しい背中
そんな風に映ります
ではニュータイプ能力は
あった方がいいのか?と言うと
チェーン・アギも
ロンドベルの技術士官として
責任を果たすために
アムロに献身的に接する姿を
クェスは愛と読み取られてしまう
人間同士の間にある感情を
フィルターなしに読み取れてしまう
のニュータイプなのだとしたら
しんどくて生きていられないと
思います
ガンダム世界で広がった
ニュータイプ論の限界に
富野さんは行き着いて
いたのかと驚くばかりです
この話で終わるはずだった
ガンダムシリーズは結局
35年経って更に広がっていますが
にたどり着く作品はなかなか
無いと思います
でも追いかけなくても新たな
ものを見つければ良いと思います