キッドナップ・ブルース

劇場公開日:

解説

中年男と少女の奇妙な旅を描く。映画に初めて挑戦するカメラマンの浅井慎平が脚本、監督、撮影の全てを担当している。主演はタモリ。淀川長治はじめ多彩な人物がゲスト出演している。

1982年製作/94分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1982年10月9日

ストーリー

遥かに東京の灯りが点滅するのが見えるT川堤。ハンティングキャップをかぶった男Rが自転車に乗っている。陽気な客で賑わう酒場で、一人、酒を飲むR。林檎を買うR。自転車の篭には林檎とレゲエのリズムを流すトランジスタラジオがある。ゴリラのぬいぐるみを持った少女Yがいる。RはYが「海を見たい」と言うので、自転車で出発した。少女は家に電話をするが、誰もでない。焚火の傍でギターを弾く男がいた。RとYは近づいていった。パチンコの景品を金に換えるR。Yのママはホステスで家にいないときが多い。Yが家に電話すると、ママがでた。Yは「おじちゃんと一緒にいる」と言うと電話を切った。風呂に入っているRとY。カメラを買うR。雪道を歩いてくる刑事。鉄格子の閉る音。鉄格子の向うにうずくまるR。カメラが引かれると、鉄格子だけが雪原に立っている。Rの後に黒い森がある。果てしないすみ色の雪原と遥かな山々。Rは立ち上り、トランペットを吹きはじめる。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0タモリ一派

2019年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 少女を乗せ自転車をこぎ続ける森田。旅の途中、様々な人と触れ合うが、2人を完全な親子にしか見てない世間。どこがロケ地なのかさっぱりわからなかったが、猪苗代湖が出てきたので福島だとわかった。

 ゲスト陣は豪華。最初は山下洋輔のピアノ演奏で驚かされるし、タモリのトランペットも聴くことができる。さらに、サングラスのイメージだけだったタモリの素顔さえ露呈している。写真家の浅井慎平の作風さえ知らなかったので、これが全てではないだろうけど、華々しさは全くなく、庶民的な映像だと言ってもいいのかもしれない。ストーリーはちゃんとした脚本がどこまであるのかわからないほどドキュメンタリータッチ。しかし、心象風景はあまり伝わってこない。

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kossy

3.0分かる人には分かる迷作!

2014年4月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

作品のあらすじだけ読むと、ペーパームーンのようなロードムービーかと思ったんですが、違いました。
物語が淡々と進んでいくのです。
森田と舞ちゃんが旅をしていくのですが、その道中で突然出てきては、唐突に語り出す俳優さん。(いや、怪優さん?)その台詞は演技ではなく、アドリブじゃないかなと思うくらい自然体で、ストーリーとは無縁の会話なんです。小難しい話を淡々と語り合うタモリさんと俳優さんたち。まるでトーク番組のようにも見えるんだけど、それもまた違う。わけの分からない内容なんだけど、つまんないわけじゃないし、飽きたりもしない。
ただ、この人たちの会話には誰しもが幼少期に聞いたであろう『大人たちの会話』を連想させる。「正月に来てたおじさん、あんなこと言ってたな〜」と、ふと思い出す感覚だ。
これがこの映画の狙いなのかもしれない。

個性的な演技もそうだが、カット割も独特である。調べると、監督の浅井慎平はカメラマンだったらしい。そのせいか、断片的に情緒ある景色が映し出される。その感じがNHKの一日の放送終了後に流れる映像を彷彿とさせる。

なんというか、『小学生の頃、夏休みに真夜中まで起きてたら、たまたまテレビで見た映画』と説明したら、しっくりくるかな、と。

全編を通していえることは、タモリさんありきの映画だ。タモリさんにしか出せない雰囲気が映画全編から漂っている。また劇中で宴会場でタモリさんが歌うシーンがあるのだが、そのシーンには思わず感嘆した。

ラストシーンが凄かった。「は?ああ」って(笑)タモリさんっぽいな〜。でもわざわざDVDを入手してみるほどでもない。

人生で一度は見て損はない映画。見なくても損はない。面白くないけど、つまらなくもない。でも、いい意味で呼吸するように観れました。
多分、この手の映画は現在の映画会社が製作はしないだろう。
心地よい迷作映画でした。

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