喜劇 あゝ軍歌
劇場公開日:1970年9月15日
解説
軍歌をテーマに世代の断絶感をコメディー・タッチで描く喜劇。脚本は監督の前田陽一と満友敬司、監督は「七つの顔の女」の前田陽一。撮影は「夕陽が呼んだ男」の加藤正幸がそれぞれ担当。
1970年製作/88分/日本
原題または英題:Oh, My Comrade!
配給:松竹
劇場公開日:1970年9月15日
ストーリー
「紅観光」のガイド福田勝造は戦中派のひとりで、いまだ独身。今日も宮崎ハルミと名乗る老婆を御魂神社に案内するが、神社に近づくにしたがって、心はウキウキ。それは巫子の桜子に逢えるからだ。しかし念願の参拝をすませた安心感からか、婆さんが発作を起し、勝造と婆さんの同居生活が始まった。勝造と所長のカトやんとは戦友同士で、気狂いの真似をし、陸軍の野戦病院で終戦を迎えたという経歴の持ち主。ある夜二人は安いバーで祝杯をあげた。そこで、勝造はまた災難を背負いこんだ。亭主と間違えて抱きついてきたツネ子という女を家においてやる破目となったのだ。こうして婆さんとツネ子がきてからというもの勝造は体の休まる暇がなくなった。そして、まもなくせっかく養老院にあずけた姿さんが脱出。婆さんを連れ帰ったゲバゲバスタイルの十七歳もどうやらここが気にいったらしい。そのうえ、以前に勝造とカトやんの計らいで海外に脱出したはずのヒッピー風の若者まで、舞い込んで、勝造の狭い部屋は飽和状態となった。そんなある日のこと、カトやんに紅師団遺族会の理事長から大口の参詣団の案内が持ちこまれた。なにしろ、勝造とカトやん夫婦の三人でやっている中小企業にとっては、このうえない話であった。だが、勝造は理事長に会ったとたん、この話を何故か水に流した。理事長はかつて悪名高き鬼軍医で、彼のために本当に気が狂って死んでいった仲間を勝造は知っていた。結局、勝造の一方的なこの行為は、カトやんとの仲を絶交状態にまで陥らせた。しかし、このことは時間が解決してくれた。戦友同士の絆は強かった。窮地に立った、勝造とカトやんは御魂神社の賽銭泥棒の妙案を勝造の同居人たちにうち明けた。彼らは二つ返事でOKしたが、計画は失敗、主謀者の勝造とカトやんはブタ箱へ。数カ月後、二人の出所を出迎えたのは、あの婆さんと十七歳が産み残していった赤ん坊を抱いたツネ子、それに家出していたカトやんの女房松子だった。ふたたび、彼らの共同生活が開始された。勝造もカトやんも、この共同生活に何か安らぎを感じていた。