河内カルメン

劇場公開日:

解説

今東光の原作を、「四つの恋の物語(1966)」の三木克巳が脚色、「刺青一代」の鈴木清順が監督した風俗もの。撮影は「三匹の野良犬」の峰重義。

1966年製作/89分/日本
配給:日活
劇場公開日:1966年2月5日

ストーリー

河内のドン百姓勇造の娘麗子は、美しく豊かな肉体で村中の男を悩殺していた。中でも刷毛工場の息子で大学生の彰は、露子に夢中であったが、露子もまた彰に強く魅かれていた。が、村祭の夜、悪童らに処女を奪われ、母のきくが悪坊主良巌坊と関係するのを見た露子は、家出同然に大阪にとび出した。さて大阪に出た露子は同級生雪江の世話でバーに勤めた。いやらしい沢山の男の中で、同郷人だという勘造は露子に惣れこみ、露子のアパートに同居した。そのうち露子は鹿島洋子の誘いでフアッションモデルとして生計をたてることになった。鹿島洋子の家に移って、コーチを受ける露子は、洋子のセックスフレンドである経理士誠二から、洋子はすごい同性愛で露子は狙われていると聞かされ驚愕した。そしてある夜寝室を襲われた露子は、とうとう洋子のもとを逃げ出して、誠二の家にころがりこんだ。デパートのマネキンになった露子は、偶然彰にめぐり会い、誠二と別れて彰のアパートに移った。生駒山に温泉を掘ろうと野心を抱く彰のため、露子は誠二の力を借りて金貸斎藤長兵衛のメカケとなった。長兵衛に気に入られた露子を縁に、彰は長兵衛に借金を頼んだが断わられ、あげくに、長兵衛の趣味とするブルーフィルム製作のスターにかり出される始末。露子はそんな彰に半ば呆れ果てるのだった。そして数日後、長兵衛は事故死した。露子はマンションの権利をもらいうけ、一躍金持ちになった。彰が金のことでやくざに殺されたあと、露子は河内に着飾って帰って来た。だが母のきく、妹の仙子が良厳坊と寝る仲なのを知った露子は、良巌坊を滝のうえに、呼び出し、詰問する間、良巌坊は足をすべらして谷底に落ちた。家のゴタゴタを片づけた露子は、再び都へととび出していった。

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映画レビュー

4.5好いた男にゃとことん弱く、ポンと投げ出す玉の肌!

2024年10月13日
iPhoneアプリから投稿

「好いた男にゃとことん弱く、ポンと投げ出す玉の肌!」というAmazonプライムの簡潔明快にして叙述トリック的なリード文が素晴らしい一作。

したたかな田舎娘が淡々と数多の男の間を渡り歩くという初期ゴダールのような映画だった。思えば野川由美子の瞳のデカさはなんとなくアンナ・カリーナに通ずるものがある。

野川由美子演じる美しい村娘露子は別に尻軽というわけではなくむしろ純情ですらあるのだが、彼女の周りで次々と巻き起こる出来事が彼女を常に突き動かし続ける。それを一般的には「非業な運命」とかいうんだろうけど、そんな感じが一切しないのは露子があまりにもあっけらかんとしているからだろう。

男を振っても男に死なれても次の日にはケロッとしている露子。彼女には現在しかない。カットが切り替わるたびに彼女は生まれ変わっている。そういう意味において非常に映画的なヒロインだった。

露子の恬淡さは単に映画的快楽をもたらすだけではない。男に振り回されながらも同じ勢いで男を振り回す豪放磊落とした生き様は、あるいは「私セックスは嫌い」と男に向かって言い放つラディカルさは、まだまだ貞淑さが美徳であった昭和後期の日本映画においては非常に先進的だったといえる。

「何もしなくていいよ」と言われたらマジで何もしない、酔っ払ってグラスを割っても振り返りさえしない、かといってただのお転婆娘とは異なり仁義を通す。幼馴染に小切手を残してツーショットの写真を破り捨てるショットが非常に清々しかった。

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因果

4.0前向きな明るさと生命力に満ちた野川由美子がその美貌を生かして、転身・変身していく様が魅力的

2024年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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Kazu Ann

4.0キャラ設定が良い

2024年5月25日
PCから投稿

こういった 類のストーリーはよく主人公の女をだんだんエロくなってく女として描きがち。色にはまっていくとか・・しかしこの主人公はそうではなかった 。「私 セックスはあまり好きじゃないねん」彼女が 男を渡ってく様がセックス抜きのように語られている。ほとんどセックスを描いてる映画なのであるが、セックス場面をもちいられず、心の絡み合いがメインに語られていくところが この映画の面白さだと思った。 それが短い時間に実に上手に詰め込まれていると思った。主人公は女性でありながら男性たちの群像劇にもなっていて。それでいて主人公が単なる 狂言回しにはなっておらずドラマがしっかり描き切られていた。鈴木清順
のアイデンティティ とも言える舞台のような演出法 もうまく決まっている

映画を見ていてよく思うのだが、映画って 結局 写真だ。 静止画の写真だとせいぜい1分ぐらいしか見ていられない。でも映画になると 90分でも 120分 でもその写ってる 俳優たちの魅力を感じていられる。この映画もまた女優を写した写真として優れていた。さらに私にとって幸運だったのは、この女優を見た記憶がない点だ。 テレビドラマとかほとんど見ないので 。初めて見た この女優にとても大きな 魅力を感じた。

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タンバラライ

3.5勇ましく奔放な女

2021年4月24日
iPhoneアプリから投稿

楽しい

興奮

萌える

河内で襲われて、好きでもないシツコイ男がヒモになり愛着が湧いての別れ際、レズの社長に金持ちオヤジ、初恋相手は自暴自棄な為体、妹にまで手を出すオッサンと嫌な男性像の割に主人公同様に嫌いになれないキャラクター陣、川地民夫のホンワカした天然風味な男は最後まで爽やかに。

本作で描写されない悲惨で酷い目にどれだけあってきたのか、構うことなく己を突き進む逞しい女性像を野川由美子が気の強さとキュートな魅力で演じ切る。

これ東京編としての続編が観たい気分にさせられる、野川由美子の存在感は木村威夫の清順美学すら超えてしまう可愛さに魅了されてしまう。

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万年 東一