「自衛隊が出過ぎ。な割には活躍しなさ過ぎ。」ガメラ2 レギオン襲来 Nightmare?さんの映画レビュー(感想・評価)
自衛隊が出過ぎ。な割には活躍しなさ過ぎ。
レギオンの生態は、地球生物の小ネタ混ぜ合わせました感がある。混ぜ合わせた結果、登場人物の解説には「ははあ、なるほど」と思うものの、全体的にはよくわかんなくなっている。小型レギオンが電磁波に反応して攻撃するというなら、宇宙空間には地球の大都市よりもっと強烈な電磁波の発生源があると思うのだが。パチンコ屋のネオンがその電磁波に似ているのをわざわざコンピュータ画面で映し出して、失笑。いくらなんでもそれは…。
平成ガメラ2作目は、とにかく自衛隊が登場する。「活躍する」のではなく、登場。話のつなぎに自衛隊みたいな感じで登場するのだが、活躍しているかといえばそうでもなく、ガメラの援護にも躊躇する始末。しかも、自衛隊員がテレビで総理大臣の決定を見て動き出すなんて、あり得ないだろう。それ以前に自衛隊に決定を通知していないわけがない。「映像表現」だとしてもカッコ悪い。せめて、すでに出撃態勢を始めた部隊に総理大臣の発表がかぶるようにしなかったか。街中を戦車が走り回る絵面も、ほどよい具合というものがあるわけで、本作の場合明らかに戦車シーンのインフレが起きていて興醒めする。しかもレギオンの光線により一瞬で消滅。そりゃ「これ以上の犠牲は出せない」って言うよね。
ガメラ関連でいえば、前作でガメラと精神感応及び聖痕で繋がれていた草薙浅黄は今回はうす〜い存在で、オリハルコン製といわれている勾玉が自壊し、精神感応は無し。勾玉が壊れるということはガメラの生命も…などという心配は無用で、その後もちゃんと戦います。じゃあなんで繋がれないのかというと、ガメラが余りにも強烈な攻撃を受けるため、草薙は死んじゃう可能性があるからなのでは。都合がいい。
最大の問題は、ガメラがどのような存在なのかという設定が明らかではない点だ。でかくて強いヤツが現れたら即刻登場するけんかっ早い怪獣というだけでもいいのだ。なぜなら自分が地球で一番強いと思っているから。だが、作品中では生態系がどうの地球の守護神だのと御託を並べるから、リアリティーラインが曖昧になる。最終的には「気」みたいなものがガメラに注入されて(あるいはガメラが凝集して)最終兵器炸裂! あああ、やっちゃた。だからなんで最初からそれをやらないんですか、ってことになる。敵をやっつけて空を飛んで去っていく。お前はウルトラマンか、と。
ガメラ・シリーズはあくまで怪獣対怪獣の戦いなので、人間の介入できる余地が少ない。しかも「現実路線」のため怪獣と人間は意思疎通ができない設定(スピ的な捻れた疎通はできたりするのだが)なので、人間による怪獣退治のひらめきがあっても、ガメラには通じない。そのため、敵の怪獣を倒してもカタルシスが生まれない構造的問題がある。結局何でもアリなんでしょ、となる。現実は厳しい。