江戸へ百七十里

劇場公開日:

解説

週刊読売連載山手樹一郎原作を「香港の星」の笠原良三が脚色、「新・悪名」の森一生が監督した明朗時代劇。撮影もコンビの今井ひろし。

1962年製作/92分/日本
配給:大映
劇場公開日:1962年7月29日

ストーリー

ある日、津山十万石の国許家老、中橋茂右衛門を訪れた一人の若者があった。男は、藩主小森佐渡守高久の落胤、長谷部平馬と名のった。茂右衛門は周章狼狽した。何故なら、小森家は、正嫡亀之助を推す茂右衛門一派と、妾腹の千代五郎を後嗣にという次席家老手塚勘解由支持の一派とがお家騒動を起していたからだ。小森家との絶縁条件として大金を懐にした平馬は旅に出た。途中、ヒョンなことから松平福姫と知り合い忽ち意気投合。姫の口から明日半強制的に亀之助とお見合させられると聞いて軽い義憤を覚える。その夜、平馬は茂右衛門の枠、中橋茂太郎の訪問を受け、瓜二つの亀之助の替え玉として明日のお見合をしてくれと懇願された。当日、最低のゴキゲンで見合の席に臨んだ福姫は、相手が過日の浪人風の武士と分ると、用人の塚越助左衛門や腰元たちの訝かし気な表情を尻目に大はしゃぎ。その様子を見た茂右衛門は早速江戸へと旅立たせた。亀之助、福姫が江戸へ発ったと聞いて不審を抱いた手嫁勘解由は、直ちに武芸指南役関屋十三郎らに追わせた。美しい松並木を背景に平馬の剣は冴える--。亀之助(実は平馬)、福姫の失踪に狼狽した助左衛門らは二人の行方を探索する一方、空駕籠の行列を仕立てる。それを追う元腰元で亀之助と恋仲にあった桔梗は、関屋にダマされ嫉妬心から福姫を関屋一味に手渡してしまった。しかし平馬は亀之助ではなかった。驚いた桔梗は、慌てて平馬と一緒に福姫の許へ駈けつける。激闘数合--。平馬は宍戸丈之助の救けを借り一味を薙ぎ倒す。最後に二人は静かに向かい合う。一声高く咆吼して折り込む丈之助。が、平馬の刃が僅かに早かった--。ところが、平馬は亀之助の名を騙り福姫かどわかしの罪で捕えられるが、土井信濃守によって釈放される。数日後、亀之助の行列の通りすぎる脇を、面を伏せて見送る平馬と福姫。福姫の顔は不行跡のため松平家を除籍、謹慎を命ぜられたにしては、晴れ晴れと明かるかった。

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