江戸っ子奉行 天下を斬る男
劇場公開日:1961年3月12日
解説
鈴木尚也・平田肇の脚本を「若さま侍捕物帳(1960)」の佐々木康が監督した錦之助の時代劇。「家光と彦左と一心太助」の坪井誠が撮影した。
1961年製作/88分/日本
配給:東映
劇場公開日:1961年3月12日
ストーリー
南町奉行筆頭与力大岡忠真の子忠相は、武家生活を嫌って家をとび出し、貧乏長屋の住人となった。やがて忠さんと呼ばれて長屋の人々に愛されるようになった。となりには三下やくざの宇之吉と妹お栄が住んでいた。忠相は次第にお栄に惹かれていった。土地のボス竜神の虎五郎は、宇之吉に貸した十両の金をたてに、お栄に毒手をのばした。父の忠真は忠相の身を案ずるあまり病の床につき、この世を去った。一度だけ無実の罪の者を死罪にしたことがある、父の職を継いでこの汚名をそそいでくれという遺言状。忠相は再び武士の生活に戻ることにした。お栄は悲しかった。それからひと月、豪商海老屋次右衛門が芝居見物の最中殺された。自首した下手人は意外にもお栄だった。忠相は南町奉行丹羽遠江守に競い出て、管轄外ながら事件の真相究明にのりだした。ある日、忠相は竜神一家に襲われ、重傷を負った宇之吉を助けた。「海老屋を殺したのは俺だ。それを命じたのは竜神の虎五郎、お栄は俺の身代りになって……」といって死んだ。忠相はまたやくざ者の忠さんとなって竜神一家にもぐりこんだ。虎五郎は海老屋の番頭喜兵衛の暗殺を依頼する一方、忠相も殺すよう子分に命じた。忠相は家来の又平に喜兵衛を救出させ、自分は虎五郎の跡を尾行して、時の権勢者宗悦の屋敷に潜入した。奥座敷の海老屋の屋号入りの袋に麻薬が入っているのに気づいた。戻った忠相は、喜兵衛から海老屋殺しの真相を聞き出した。死んだ海老屋は宗悦の命を受けて麻薬の密輸を行って利益をあげたが、やがて独立しようとし、それに気づいた宗悦が虎五郎に海老屋を殺させたのだという。忠相が喜兵衛と奉行所に行こうとした時、高窓から小柄が投げられ、喜兵衛は死んだ。いよいよお栄処刑の日。意を決した忠相は、宗悦の屋敷にのりこんだ。それを迎える竜神一家。その後に北町奉行松前伊豆守。宗悦は北町奉行も一味にだきこんでいたのだ。窮地におちた忠相だったが、南町奉行所の面々が駈けつけて彼らを倒すことができた。罪のはれたお栄は遠江守の養女としてひきとられることになった。忠相の妻になる日も近いことだろう。