江戸っ子肌

劇場公開日:

解説

邦枝完二の原作を、「花かご道中」の結束信二が脚色し、「若き日の次郎長 東海の顔役」のマキノ雅弘が監督した橋蔵の娯楽時代劇。撮影は「花かご道中」の吉田貞次。

1961年製作/86分/日本
配給:東映
劇場公開日:1961年2月7日

ストーリー

加賀鳶の小頭吉五郎は度胸と美貌で華やかに売り出していた。喧嘩もめ事仲裁で呑み代を稼ぐ貧乏御家人中原扇十郎の妹・芸者小いなは吉五郎に惚れていた。吉五郎はある夜、権力を笠にきる旗本向井佐太夫にさらわれた娘を助けたものの、は組の纏持ち次郎吉の嫁おもんと知って困惑した。加賀鳶とは組は互いに火消しでありながら犬猿の間柄であった。おもんを伴い菓子折り下げて現われた次郎吉と、素直に受取る吉五郎の胸と胸には、いつか温いものが通っていたようだ。おもんもまた組の意識を越えた吉五郎のさっぱりした態度にひかれていた。向井は旗本組の面目を保とうと吉五郎に呼び出しをかけてきた。単身向井の屋敷に出かけた吉五郎は、加賀百万石のお抱え火消しのため、斬られこそはしなかったが、体中に鞭の傷跡を残して帰って来た。涙ながらに介抱するおもん。時に聞える半鐘の音、吉五郎はは組のおもんの切火を受けて飛び出した。火事現場での一番纏はは組の次郎吉が振りかざした。その足許にまき起る火焔を消そうと竜吐水の筒先を握るのが加賀鳶の吉五郎だった。次郎吉にしてみればよその竜吐水のお蔭を蒙ったことはは組の恥、吉五郎に切火を打っては組の魂にケチをつけた妹おもんを義絶した。家を飛びだしたおもんは、向井の仲間にさらわれようとして扇十郎に救われた。おもんはこの時小いなを知った。加賀とは組の対立は、市村座の初日に爆発した。事の成り行きで吉五郎と次郎吉も殺気をはらんで対立したが、顔役の勘五郎の仲裁でおさまった。その手打ち式の席上で、おもんに気のあるは組の金太にからまれて座を飛び出した吉五郎を残った席で次郎吉はかばって立った。一方、向井は仲間の旗本と料亭に上がり、小いなにおもんの連れ出しを頼むが、その理不尽を強く諭されて逆上、小いなに一刀を浴びせかけた。それを知った吉五郎であったが、折からの半鐘の音に火事場に飛んだ。各組ひしめく現場は大混乱、物凄い火勢に後退する火消し達の中から加賀の纏を持って吉五郎が飛び込んだ。「火消し仁義を知っている者ア、町も屋敷もねえはずだ。吉五郎を殺すな」は組の次郎吉の一声では組の鳶がどっと続いた。「姐さん、ほら吉五郎さんが纏を振ってる。見えるかい……」遠く料亭の二階屋敷から、おもんは小いなを抱いて叫びつづけた。

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