丑三つの村

劇場公開日:

解説

村一番の秀才として人人から尊敬されていた青年が結核と診断され、のけ者にされた怒りに無差別殺戮に走るまでを描く。西村望の同名の小説を映画化したもので、脚本は「恥辱の部屋」の西岡琢也、監督は「もっと激しくもっとつよく」の田中登、撮影は「北斎漫画」の丸山恵司がそれぞれ担当。

1983年製作/106分/日本
配給:富士映画

ストーリー

敗戦色の色濃い昭和十三年。中国山地の山並みに囲まれた世帯数二、三十の日暮谷の村で生まれ育った十八歳の犬丸継男は、村一番の秀才として村人の尊敬と期待を集めていたが、自分では、早く戦場に出て国のために戦いたいと願っていた。駐在所まで片道三十分という辺鄙なこの村は、近親婚が多く、ほとんどの者が親類関係にある。継男はたった一人の肉親、祖母のはんをおいて師範学校へ行くことはできず、独学で検定試験を受け、教師になろうと考えていた。十八歳にもなると、継男にも村の人間関係の裏側が分るようになり、ある夜、散歩をしていると、人妻のえり子と村の有力者、赤木勇造が絡み合っているのを目撃する。赤木は夜這いの取り締りを提案した張本人で、彼のことを汚いと思うが、同時に自身の性のうずきも強く感じるのだった。数日後、継男はえり子の所を訪ね、赤木のことを話すと、彼女は簡単に彼に体を開いた。また継男は、はんに金を借りに来るミオコとも関係を持つが、そんな性の世界に溺れず、彼は幼なじみのやすよに思いを寄せていた。そんな継男は兵役検査を受けるが、なんと、結核と診断されてしまう。これまで秀才と継男をもてはやしていた村人もコロッと態度を変え、彼を避けるようになる。そんな中で、和子が親切にしてくれたが、それは継男の結核を知らなかっただけで、病気を知ると、他の村人以上に冷たくなった。そして、心のよりどころだったやすよも嫁に行くことになった。継男は腹いせに和子に夜這いをかけるが、間違えて母の常代の布団に入ってしまい、母娘二人からなじられる。退散する継男は帰路、村の男たちが、他処者の坂本を袋叩きにして殺すのを目撃し、翌日、駐在に報せようとするが、村人の無言の威圧で口に出せない。その頃、やすよが離縁されて家に戻ってきた。継男と付き合っていたのが原因という。二人は風呂場で抱き合った。そして、汚れきった村を戦場にしようと決意する。一度は銃や日本刀を押収された継男だが、大阪に出て再び武器を調達すると、やすよに「村を戦場にします、その日は村に近寄らないで下さい……」と手紙を書いた。その日、村の送電線を切ると、丑三つの刻も近い頃、学生服にゲートルを巻き、武装した継男は、「犬丸継男君、万歳!」と叫ぶと、三十人に及ぶ大量殺戮に出発した。

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スタッフ・キャスト

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オソレゾーン

映画レビュー

4.5リアル【津山30人事件】、恐ろしくて良い。時系列も筑波さんの本そのもの、リアル。八つ墓村は邪道❗️

2023年2月13日
iPhoneアプリから投稿

これ、エロ映画ではないよ。エロは感じない。

田舎の【夜這い】の慣習

古尾谷雅人がその後の運命も含めリアルに魅せる。

リアル、津山事件【ただし当時は別の村】

原因はねぇ
中途半端に保護者のお婆さん👵にお金があって
教育に理解がゼロだったこと。

こういう話で【秀才】というのはたいてい盛っていて
【普通よりは勉強できた】ということだろう。当時の背景でも
本当にトップレベルの秀才であれば
クラス担任が、津山中学、滑り止めに関西「カンゼイ」中学受験
お婆さん説得で陥落してただろう。田中角栄ほど貧乏ではないから

ネットスマホファミコンはおろかテレビ📺📼ビデオ、民放ラジオもない時代
カラフルな雑誌エロ本、マンガ雑誌もない時代

ソリャ、農作業も行わず、屋根裏部屋にこもればろくなこと考えない
兵隊不合格も衝撃だったろうが
元祖引きこもり、学校にも行かず が 重大事件につながったのは必然。

あと、70年くらい遅く生まれていれば、普通の人だったのに
時代を先取りしすぎ

作品は事件そのまんま、だからオドロオドロシクて面白い。

エロは殆ど感じない。というか事件の前にエロなどどうでもよろし

テンポ良し、夜の村を疾走が恐ろしくて、恐ろしくて夢に出そう。

そんな中、睦雄の幼馴染、田中美佐子の若い頃が超可愛ゆくて、掃き溜めに鶴なのだった。
田中美佐子カワユイなあ。

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満塁本塁打

2.0雑で浅い。

2022年9月19日
iPhoneアプリから投稿

昭和、こんな雑で浅かった?
濡れ場と残虐で客寄せの露骨。
つまらん。

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きねまっきい

3.0恐怖の村社会

2021年7月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

僅か75年前の日本の村社会&家父長制が、殺人よりも恐ろしすぎました。当時は個人主義という概念もテクノロジーも発達していないので、個人は村の一部です。戦争に行く事が生きる目的なのも、狂ってます。

仮に継男が現代に生まれていたら、こんなことにはならなかったかもしれません。ただ、現代でもパワハラやモラハラが会社ではまかり通っていますので、何十年経っても変われない国ってことですね。

私からすると、本作が公開された時代の女性の描写もちょっとなあと思いました。まんま、おじさんの趣味というか。今観ると違和感を感じますが、そういう時代だったんですね。

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ミカ

4.0アート系日本映画の傑作

2021年5月9日
スマートフォンから投稿

怖い

興奮

中学生の頃、横溝正史の八つ墓村から津山事件を知ってこの映画に行きついた。自転車でレンタルビデオ屋さんを巡って池袋で見つけ借りてきて見た時の衝撃。以来、日本の自然豊かな美しい田舎の景色を見るたびに、その裏に潜む因習深いエログロ世界があるんだと思うようになった。映像も綺麗だし役者もみんないい。妙な感じのする音楽もツギオがだんだん狂気に駆られていく内面を表すような不気味さでとても良い。「婆やだけ一人にせんからな」と婆やを、いの一番にナタで首を落としてあげる優しいツギオ。池波志乃のデカイ乳輪、狭い村の閉鎖的社会の気持ち悪さ。中学生には全てが衝撃だった。

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ブロディー署長
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