雨月物語のレビュー・感想・評価
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人生で大切なものは何かを教えてくれる
物語は「牡丹灯籠」に似ていると思います。 人生にとって何が大切なのかを思い起こさせてくれます。 ただ、この映画で私の一番好きなのは、主人公と京マチ子が出てくる屋敷のシーンです。 この部分だけ録画して何度を繰り返して見ています。 ロウソクの光に映るシーンのライティングがすばらしい。実際には、この映画作成の頃は、 ロウソクの光で映画を撮ることは不可能なのだが、いかにもそれらしく表現されている。 京マチ子の衣装やしぐさ、歌(吹き替えか?)もすばらしい。 これとは正反対の妻の存在(田中絹代)もすばらしい。特に最後のシーンは感動します。
映像のクオリティと物語の面白さに凄み
溝口作品は初見。最初の方の町の賑わいを俯瞰で見事に捉える映像から全ての映像に圧倒されてしまった。京マチ子演ずるもののけの姫さまのエロチックと不気味さが同居する様もお見事。田中絹代の幽霊も健気で可愛いい。
2人の男が望みのものをやっと手に入れたと思ったら大切な妻が・・・というどんでん返しストーリーも実に面白い。一方は金、もう一方は武力を高望みということで、二人は野望を描いて破滅した大日本帝国の姿そのものか。最後せっせと働く二人は良き日本国民の姿?で、そこは少し超優等生的で少しだけマイナスポイント。
全編に渡り本当に魅せられてしまった。70年弱前に、こんなレベルの高い映画が日本で作られていたことに驚きと誇りを感じさせられた。
怪異と人間の儚さ・愚かさ
映画の枠を超えて、日本美術の粋といえます
凄まじい傑作を観て、しばらく呆然としました
総毛立つ思いとはこのことです
怪談、つまり今風に表現すればホラー映画
それではあまりにも安っぽく、この本作を侮辱しているように感じます
単に物語が怖かったからだけで総毛立ったのではありません
美術、衣装、メイク、ヘア、照明、撮影
もちろんのこと出演者の演技、監督の演出
これらのものが渾然一体となって日本の美意識が隅々までフィルムの中に焼き付けられています
これこそ美術品です
映画の枠を超えて、日本美術の粋といえます
京都国立博物館の国宝展で観ることができる最高峰の日本の美術品に比肩するものです
日本の映画芸術の最高の才能と最高の美意識と教養がなし得た偉業です
日本映画の最高到達点のひとつです
夜霧たなびく湖水を渡るシーンの幽玄の光景
朽木屋敷の夕闇の中次々に燭台が灯る美しさ
若狭姫の能面のように整った容貌がいつしか不気味さをたたえる陰影
何もかも鳥肌がたつ程の芸術です
田中絹代の言葉の美しさ
気高く気品のある立ち振舞い、所作
決して美女ではないが最高の理想の女性の姿
そこには微かなエロシズムすらあるのです
驚嘆するばかりです
極めて日本的なドメスティックなようで、実は世界のあらゆる国や民族に普遍性を持つ物語と美意識であり共有できるものなのです
これ程のものは世界でも希有のものです
疑いもなく世界の映画芸術の最高峰の一角を占める作品です
本作のそれらの驚くべき凄さが本作を観て総毛立つ思いにさせたのです
このような超絶的な作品は残念ながら二度と撮ることは叶わないでしょう
人間の愚かしさと戦争の不毛さ
日本の古典で怪異話で有名な雨月物語の中の
代表的な短編をいくつか一つの話にして脚色した物語。
京マチ子映画祭で観て来ました。
京マチ子さんが、時には少女の様に恥じらい
時には般若のように怒りに狂って男を追い詰める。
変幻自在の豹変ぶりに目を奪われます。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
京マチ子さんの演技も見ものでしたが
絡みは一切ないものの、
対照的な名も無い庶民の妻を演じた
田中絹代さんも、
貧しいながらも、本物の幸せを追い求める誠実な役柄で
京マチ子さんの役と遂になる見事な存在感でした。
お話自体は溝口健二監督らしく
人間の愚かしさと戦争の不毛さを描いていますが
それだけでなく、昨年観た「近松物語」と同じ様に
白黒ながらもその陰影の美しさ〜
着物の柄の見事さで身分が伝わるほど違いが判る見事さ〜
@もう一度観るなら?
「こういう映画は映画館で集中して観ないと〜〜」
4kデジタルリマスター版なので、70年以上経った今も音質もクリ...
美しい
欲にまみれても、結局最後はハッピーエンド。
人は改心する。
ということなのでしょう
雨月物語という「素材」を使ってオリジナルの物語を作る監督(脚本)はさすがのひとこと。
女性たちの気持ちを良く表しているということが書かれていたけど、
本当そんな感じ。
繊細で綺麗です。
戦国に生きる庶民の難しさ
総合:80点 ( ストーリー:90点|キャスト:75点|演出:65点|ビジュアル:60点|音楽:65点 )
原作は読んでいないが、よく出来た話だった。戦国の時代に生きた名も無き庶民の悲劇がしんみりと染み入る。
貧しい村に生きるものが、より良い生活を求めてその職人技を生かして商売をして何が悪いのか。現代的視点からするとそうなる。だが戦国時代は商売なんてそう簡単にはいかない命懸けのことなのだという現実を見せ付けられた。また、才能も実力も無いのに武士に憧れる男もいた。
そしてたったそれだけのことでこれだけの悲劇が起き、戦国時代の厳しさと世の無情を見せ付けられた。現代ならば自分の力を試しより良い生活を夢見て失敗しても、これほどのことにはならない。昔の時代の厳しさと、それと比較して現代社会の有難さを痛感した。そのような話の中にとってつけられたような朽木の家の話もあったが、これもまた哀れな話で、姫にも乳母にも男にもそれぞれの立場があり気持ちがわかっていたたまれなかった。
古い作品なので白黒の映像は良くないし、戦いの場面を中心に演出も迫力に欠ける部分がある。それでも面白い作品だった。『山椒大夫』もそうだが、溝口健二監督は世の無情や哀れを描かせたら上手なようだ。
背筋が凍る、、
話に説得力ある人生訓
人間の愚かさと欲望の深さを描いた傑作
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