劇場公開日 1955年1月15日

浮雲のレビュー・感想・評価

全38件中、21~38件目を表示

5.0とても面白かった

2023年4月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭の引き揚げシーンからラストまで、どのくらいの年月を描いた話なのか、思い返しても判然としない。とにかく最初から最後まで、ひと組の男女がひたすらお互いを行ったり来たりする様子だけ。他には劇中一切、全く何も描かれない。
1955年に公開された映画なので当然ながら、人間の等身大をはるかに超えたバカでかいスクリーンで見られることしか想定されていない。そういう風に設計された映像を現代でも映画館で見られる贅沢。
富岡の、女に対してのみ威力が発揮される超絶クズ仕草。ゆき子(雪子?由希子?)はわかっていながらそれでも食らいついていく。その気持ちの強さを表現する高峰秀子の表情と言葉と佇まいに、見ているこちらの心が全部持っていかれる。

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どんぐり

3.5日本映画オールタイムベスト第3位。

2022年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

成瀬巳喜男監督の戦後の日本映画を代表する作品。
林芙美子の原作。
大変な波瀾万丈の恋愛映画である。
仏領インドシナ(現在のベトナム)に始まり、東京、
そして日本の南の果ての屋久島へと転々と舞台が
移る。
戦後最大の流行作家・林芙美子のストーリーテリングは、
悲劇を喜劇のようにアップダウンさせて、
人間の好奇心を痛く刺激する。

これでもか、これでもか、女を不幸のドン底に突き落とす。

《ストーリー》
戦時中の1943年、農林省のタイピストとしてインドシナに
渡ったゆき子(高峰秀子)は、農林省の技師・富岡(森雅之)と出会う。
冨岡は妻帯者と知りながらも2人は恋仲になる。
冨岡は妻と離婚すると約束するが、戦後東京に戻ったゆき子が、
冨岡宅を訪ねると、妻が応対。
妻とは別れていないと分かる。
失意のゆき子は米兵の情婦になる。
しかし冨岡と再会したゆき子は、またも簡単によりを戻す。
妊娠したゆき子はかつて貞操を奪われた義兄(伊藤雄之助)から、
金を借りて中絶をする。
冨岡とゆき子の腐れ縁。
側から見ると、賢い上に生活力もあるゆき子が、
女にダラシない富岡に
何故惹かれるのか?とても不思議に思う。
観客は馬鹿なゆき子に、ヤキモキして、
同情したり怒ったり忙しい。
これが流行作家と映画監督の手練手管か。

大体に冨岡は妻の葬式代を愛人に借りるような男。
ちょっと子綺麗な女(岡田茉莉子)を見ると、眼が爛々と輝く。
そんな身持ちの悪い男(森)を忘れられない女・ゆき子。

この「浮雲」は日本映画を代表する映画だという。
(日本映画のベストテンの上位に必ず入っている)

高峰秀子さんは、週刊朝日に連載していた「わたしの渡世日記」を読んでいたのと、
2010年没ですので、それなりに知っています。
(本当に賢い信念の人という印象)
成瀬巳喜男監督は殆ど知らず、この映画で作品を初めて観ました。
森雅之も生存中は殆ど知らず、最近観た「羅生門」の武家、「白痴」の主役。
今作と幅広い役を演じる演技派ですね。

戦前戦後の世相も珍しい。
ゆき子の元軍人の義兄は「踊る宗教」を主宰してボロ儲けをしている。
(踊る宗教?って何?
………………これ、本当にあったらしい)
森雅之はゲスな上に、付き合う女が3人とも不幸になる・・・
という凶運の持ち主。
なんと夫(金子信雄)を捨てて森を追って上京した岡田茉莉子は
金子信雄に嫉妬から刺殺されてしまう。
森雅之の妻は病死する。
ゆき子(高嶺)も、また・・・。
…………肺結核に罹患します…………
そして屋久島ではもう起き上がることも出来ず、
病いに臥せってしまう。

屋久島は雨の多い事では有数の土地。
寝床の外はウンザリする程の、雨また雨。

原作者の林芙美子について触れます。
芙美子は行動力のある女性で、戦時中にはボルネオや中国へ慰問に行くやら、
パリ留学するやら、ロンドン滞在歴もあるのです。

男と女の腐れ縁をただただ追っている本作品。
なぜか微妙に面白いのです。
演歌の世界の暗い情念・・・と同じに惹かれるのでしょうか。
日本人の私小説のルーツでしょうか。

《花の命は短くて苦しきことのみ多かりき》
林芙美子が好んだこの言葉。
映画のラストに大きく書かれて、終わります。
自分を「花」に喩える度胸。
大した女性です。

ゆき子も林芙美子も、花の命は短かったです。

林芙美子のこの原作。
芸術性もヘッタクレもあったもんじゃないです。

林芙美子は大変な流行作家で仕事を抱え込みすぎて、
働き過ぎ・・・過労で亡くなったようなものです。

ウィキペディアを読むと実生活の森雅之も
大変な女たらし・・だったらしい。

当時の庶民の楽しみが林芙美子のリアルな小説。

翻って考えても、なぜこの映画が凄い名作なのだろうか!?

ゆき子の男運の悪さ、
こんな男を愛さなければ・・・
理性で解決出来ない男女の仲。
確かに面白いけれど、
日本映画を代表する一本・・・
そう言われるとちょっと首を傾げてしまいますね。

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琥珀糖

3.0花の命は短くて

2022年3月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

ストーリー:なぜかモテモテの官吏は、日本に帰ってからも行く先々で美女を我が物にし、幸福を吸吸い尽くす。

犠牲になっていく女性たちが本当にかわいそう。
女優の演技力と美しさを堪能。

今週の気付いた事:クリネックスティシューの段ボール箱

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ほとはら

4.0南国で出会い、雨降る島で永久の別れ

2022年1月27日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

高峰秀子と脚本の力がとにかく素晴らしかった。ゆき子=高峰秀子のセリフの一つ一つが最初から最後までリアルでシャープで男全般に対する皮肉と本心、普遍的。一方の富岡もゆき子に嫌みばかり言うクズ男だがどこまでも優しい。第一印象だって悪かったのに二人は出会ってしまった。子鹿のバンビのようにかわいらしいゆき子。一人で生きていける強さを持っているのにゆき子はひたすら富岡を追う。富岡もむげにしない。ゆき子がどんな男とつきあおうとどんな暮らしをしていても、ゆき子を拒むことは一切ない。優しさと腐れ縁の連続。二人は離れない。

高峰秀子、本当に凄い。娘時代の彼女はおんなじような役(親思いの健気な娘)ばっかりやらされていて本当に気の毒で可哀想だと思った。だからこのような作品にオファーされ堂々と演技するチャンスを与えられたのは女優として最高の幸せで彼女も肝が据わっていたんだと思う。この役をできる女優は今の日本にはいないでしょう。

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talisman

3.0むしろ憎しみ合っているかの男女。

2021年2月1日
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近頃の恋愛映画もどきに幻滅して30年振りの再見。
愛し合うどころか憎しみあっているかの男女。
しかし離れはせず、世間との断絶を選び、もがく程に泥沼に堕ちる男女。
恋愛は悲劇だとする切実。
今の時代も実際そうなのではないのか。
ほっこりしてイイね、な恋愛映画なんて。

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きねまっきい

2.5BGMが全然だめ

2020年7月6日
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過去名作と言われた映画も時代と共に古びれない映画と古く感じる映画があるとしたら後者。

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KoN

3.5この映画を深く味わうにはおれの人生経験は乏し過ぎた。

2019年11月20日
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鑑賞方法:映画館

この映画を深く味わうにはおれの人生経験は乏し過ぎた。

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Mr. Planty

4.0とにかく高峰秀子と森雅之の演技力は半端ない

2019年8月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

男が女を愛するには責任と義務が生じる
それは頭では分かってる
けれども、成り行きで気がつけば深い仲になってしまっている

女だってこんな男と付き合ってもどうにもならない
それは分かっているのに逃げない
気がつけば追いかけている

浮雲のようにあてどもなく漂い流されていく
千切れて別れてはまたくっついていく
理屈でない、だらしなく生きる楽さが互いに欲しいのだ

いつしかそこに強烈なリアリティーを感じるようになった、自分も大人のはしくれになったということか
幸子が富岡をなじる言葉のひとつひとつにリアルで聞き覚えのある男性も多いはずと思う

とにかく幸子は何度も泣く
しかし富岡は泣くことはない
そんな真面目な男ではない
だがラストシーンで初めて泣くのだ

浮雲は流れ流れて行き着いた最果ての地で山にぶつかり雨となったのだ

とにかく高峰秀子の演技力は半端ない
仏印での清純な女性からやさぐれたパンパンまで見事に演じてみせている
森雅之もまた彼が演じる富岡兼吾という男が漂よわせる空気をこれ以上ないリアリティーで感じさせる名演技だった

監督の演出も的確で過剰ではなく流麗なほどにスムーズに物語が進行する

日本映画の傑作のひとつ

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あき240

3.0恋の道行き

2019年7月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

一組の男女の恋の道行きを画いた作品。男の価値観と女の価値観に温度差があるため、微妙にボタンの掛け違いが起こる、このアンバランスさは傍からみても不細工であるが、でもその不細工さはまさに理屈ではなく感情のおもむくままであり、ある種の羨ましさが残った。

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ちゆう

4.0離れられない男女の成れ果て

2019年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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mitty

3.0戦後の東京の街並み

2019年7月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

眠くなってしまった

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あっちゃんのパパ

4.0騙されても一途に愛を追い求める終戦期の女性の強さと哀しさを感じた。...

2017年3月5日
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鑑賞方法:映画館

騙されても一途に愛を追い求める終戦期の女性の強さと哀しさを感じた。男もしたたかそうでもの哀しい。
全体から戦後の世相もよく判り興味深い。当時は屋久島が最果ての地だった事も今では考えられない。

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tsumumiki

4.0男と女。50年生きてきたからわかる何か

2015年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

高峰秀子って凄いなぁ、あの森光子が「尊敬する女優」の筆頭に挙げるだけの事はあるな、というのが一番の印象。中身は…「THE男と女」。50歳の自分だから彼らの言う事や行動になんの抵抗や疑問もなく頭に入ってきたんだろうなと、これがもう少し若い時に見てたらそうではなかったんだろうなと。ひたすら男のいい加減さや不誠実さや頼りなさがまるでそれが男である証みたいにこの映画で見えたのは、これもまた50年生きて培われたものの見方によるのか。また観たい。観て勉強したい。人という生き物について。

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自由の座

2.0映画の世界に呑まれる

2015年2月16日
PCから投稿

悲しい

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佐分 利信

2.5僕には早かった

2015年2月15日
iPhoneアプリから投稿

成瀬巳喜男は『秋立ちぬ』が本当に好きなので、期待値高めで2本目の本作を観たらこれが全く合わなかったです…。勝手な大人の都合に振り回される子供たちをユーモアを交えて描いた『秋立ちぬ』とは対照的に、今作で描かれるのはタイトルの如くくっついたり千切れたりするけど雲のような大人の男と女。「僕にはまだ早かった+時代の違い」によるところが大きいのかもしれません。全体的にグズグズダラダラしていて、肩入れも感動もできませんでした。うーん、しばらくしたらまた変わるかもしれません。

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えら

5.0林芙美子の小説も良いですが

2014年6月6日
スマートフォンから投稿

悲しい

知的

難しい

やはり本作でしょう

成瀬巳喜男と高峰秀子だと
あと
階段を登る女
ですかね

森雅之と高峰秀子
喪失感と言うか
ジャケット写真見て
名画と分かります

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フィーゴ

5.0宿命なるくされ縁によって繋がれた男女の至高のラブ・ストーリー

2010年8月1日
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Chemy
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