「高峰秀子が話す知らない日本語…「きぶっせ」、「足だまり」」浮雲 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
高峰秀子が話す知らない日本語…「きぶっせ」、「足だまり」
1955(昭和30)年公開、東宝。
【監督】:成瀬巳喜男
【脚本】:水木洋子
【原作】:林芙美子
原作は、放浪の作家、と呼ばれ47歳の若さで急逝した林芙美子が亡くなる直前に上梓した。
水木洋子は、今井正監督の『ひめゆりの塔』、
成瀬巳喜男監督の『おかあさん』、『あにいもうと』
などの脚本も手掛け、菊池寛賞の戦後第1回目を受賞。
本作は、菊池寛賞受賞後の作品。
主な配役
【幸田ゆき子】:高峰秀子
【富岡兼吾】:森雅之
【おせい】:岡田茉莉子
【伊庭杉夫】:山形勲
【富岡の妻・邦子】:中北千枝子
【向井清吉】:加東大介
1.ちょっとだけ?共感共鳴しちゃうオトナの恋の話
◆別れたほうが良いのは分かってるのに、別れられない
◆大キライだけど、やっぱり好き
◆ケンカしても、しばらくすると会いたくなる、
富岡(森雅之)にどんなにひどい扱いをされても、
磁石のように吸い寄せられていくゆき子(高峰秀子)。
そんな男女の絶望的な恋愛?物語。
2.高峰秀子はやはりスゴイ女優さんだ!
Wikipediaによると、
松田優作と吉永小百合による再映画化も企画されたが、
吉永小百合が、「大先輩・高峰秀子の代表作を再演なんてできない」と断ったためお蔵入りになったらしい。
撮影時31歳の高峰秀子は、22歳からのゆき子を演じた。
『張込み』は3年後。
30歳前半で、あの陰影と色気を含んだ演技がなぜできるのかわからない。
すごい、としか言えない。
それくらい、作品と登場人物に感情移入してしまう。
高峰秀子は、突き抜けた美形というわけではない。
顔だけで言えば、私は酒井和歌子さんがタイプだ。
だが、その声、スタイル、風情、全体があわさってひとつの芸術作品だ。
3.戦後間もない昭和の空気感
公開が昭和30年だから、戦後10年しかたっていない。
わたしにすら分からない言葉も出てくる。
◆足だまり…足を止める場所、根拠地
◆きぶっせ…気塞い(きぶさい)、気詰まりなようす
◆エーテル…アリストテレスが提唱した、天体を構成する「第五元素」
4.まとめ
脚本・構成の良し悪しを言う気はない。
高峰秀子、イングリッド・バーグマン、
あの時代の、あの女優だけが醸し出す陰影。
退廃美。
☆4.5
すンごいレビューでございます。
私見ですが、高峰秀子さん(あまり存じませんが)と吉永小百合さんを比較してはいけないと思います。
吉永小百合さん作品で良かったのは、『愛と死をみつめて』です。
『キューポラのある町』もいいらしいですが、ちゃんと観ていないので。
お美しいかもしれませんが。
Hanaiさんが書かれているように俳優の美醜だけで作品はきまりません。さゆりストには悪いですが、上手くないです。断られたのは正解。