稲妻(1952)

劇場公開日:

解説

企画は「大学の小天狗」の根岸省三、林芙美子の原作から「めし」「紅扇」の田中澄江が脚色し、「おかあさん」に次いで成瀬巳喜男の監督したもの。撮影は「呼子星」の峰重義が担当している。出演者は、フランスから帰国後「朝の波紋」「東京のえくぼ」と二本撮った高峰秀子、「利根の火祭」の三浦光子、「丹下左膳(1952)」の村田知英子との三姉妹役に、丸山修、浦辺粂子、中北千枝子、小澤榮などである。

1952年製作/87分/日本
原題または英題:The Lightning
配給:大映
劇場公開日:1952年10月9日

ストーリー

清子は観光バスの案内嬢をしているが、次姉の光子も長姉の縫子も結婚している。この三人と兄の嘉助とは、母おせいが腹をいため子であったが、四人とも父がちがっていた。縫子が清子に両国のパン屋の綱吉との縁談を持って来たが、清子には縫子夫婦が、それを種に金儲けのうまい綱吉を利用しようとしている腹が見えていやだった。次姉の夫呂平が急死するが、その後に妾のリツと子供が残されていたことがわかった。光子は泣くに泣けないような気持で、綱吉の新しくはじめた渋谷の温泉旅館へ手伝いに行くが、そこへ縫子は女房気取りでいりびたってしまい、無能な夫の龍三は仕方なくおせいの許へころげ込んで来るのだった。それでも綱吉は図々しく清子を追いかけていたが、彼女がおせいの許を出て、杉山とめの家に下宿して一人の生活をはじめると、自分の望みに見込みのないことを悟り、嘉助の就職の件をご破算にしてしまうような男だった。光子は呂平の保険金がはいると喫茶店をはじめるが、綱吉はその光子の許へも旦那然とはいり込んでしまうのだった。しかし清子はとめの家の隣家国宗周三とその妹のつぼみと知り合いになり、清らかな生活雰囲気にほっとした気持になるのだった。ある日おぬいが清子の下宿へたずねて来た。縫子と綱吉を間にしてもつれた光子が行方不明になったという。清子になぐさめられ、彼女の虎の子の貯金をもらったおぬいは、折からの稲妻に、稲妻のきらいだった光子はきっと帰ってくるよと、家路へ急ぐのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0とても面白かった

2023年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

家族親族間の文句の言い合いがずっと続く感じの、こじんまりとした話ではあるが、俳優のお芝居と当時の東京の風景を見続けて全く飽きることがない面白さ。女に悪辣な小沢栄太郎をはじめ、男連中が皆どうしようもなくて良かった。そして散々色々あってからの浦辺粂子と高峰秀子のクライマックスが、見ているこちらの気持ちをぐっと引き込む演出で凄い。そしてスッと終わるのが素晴らしい。

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どんぐり

4.5特異な家族構成の家庭崩壊劇に観る成瀬巳喜男監督の演出力が絶品

2021年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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共感した! 2件)
Gustav

4.0夏の夕立の稲妻は直ぐに収まるのです

2019年10月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

庶民派の成瀬監督作品らしく、
下町の母と長男と三人姉妹の物語は下世話な世界です
その兄妹は全部父親が違う家庭という具合
高峰秀子は一番下の妹清子を演じます
彼女は家族全員どころか、一家に関わる男も女もみんな駄目駄目な連中だと嫌っています
まだ若い清子はこんな駄目連中と一緒に居たら自分まで駄目になると世田谷に下宿を借りて逃げ出します

とはいえ彼女だってお供えのブドウを行儀悪く食べて食べた皮と種を庭に放り投げるのです
地金はこの母にしてこの娘なのです

世田谷の下宿の大家の未亡人や隣家のピアノを弾く兄妹はまるで小津安二郎作品の登場人物のような衣装と上品な言葉遣いと物腰なのが面白いです
わざとや狙ってやってる風に思えます

稲妻は最後に光ります

なんでみんな駄目な人ばかりなのか
それはお母ちゃんがズルズルベッタリでだらしないから、そうなるのよ!と言い放ちます
私、産まれてこなければ良かった!とまで言います
きつい言葉で言いあって二人は泣きだまします

その時隣の家からピアノの音が流れて来ます
その時自分だってこの言動は隣家の兄妹とは大違いの所詮この母の娘だと気がつくのです

夏の夕立の稲妻です
直ぐに収まります
二人はケロリと泣き止みます

清子は浦辺粂子の演じる母を駅まで送ります
二人は夜道を歩きます
父が母に買って与えたルビーの指輪は本物だったと娘は母にいいます
母はお前のの父親は誠実な男だったと応えます
二人の歩く夜道は未舗装の道ながら、雨降って地固まったようです

下町の一家の家のある商店街はまるで三丁目の夕陽の街角です
参考にしたひとつかも知れません

高峰秀子28歳美しいです
しかし浦辺粂子の凄さがみんな持って行ってます
凄い女優です
この人のポジションは現代は誰が引き継いでいるでしょうか?
樹木希林さんだったかも知れません
しかしその次は?
残念なことに思い当たらないのです

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あき240

3.0女という生きもの

2019年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

萌える

ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 1件)
しゅうへい

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