異人たちとの夏

劇場公開日:

解説

中年のシナリオ・ライターが、幼い頃死んだはずの両親と再会する不思議な体験を描く。山田太一原作の同名小説の映画化で、市川森一が脚色。監督は「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群」の大林宣彦、撮影は「PARIS-DAKAR 15 000 栄光への挑戦」の阪本善尚がそれぞれ担当。

1988年製作/108分/G/日本
原題または英題:The Disincarnates
配給:松竹
劇場公開日:1988年9月15日

あらすじ

原田英雄(風間杜夫)は40歳のシナリオ・ライター。妻子と別れ、今はマンションに一人暮らしをしていた。ある日、原田は幼い頃に住んでいた浅草に出かけ、偶然、死んだはずの両親に会ってしまう。二人は原田が12歳の時に交通事故で死亡したが、なぜかその時の年齢のまま、浅草に住んでいた。原田は懐かしさのあまり、浅草の両親の家へたびたび通うようになる。一方で、原田は同じマンションに住む桂(名取裕子)という女性と、愛し合うようになっていた。彼女は、もう両親には会うなという。異人(幽霊)と近づくと、それだけ自分の体は衰弱し、死に近づくのだ。原田はようやく両親と別れる決心をし、浅草にあるすき焼き屋で親子水いらず別れの宴を開いた。暖かい両親の愛情に接し、原田が涙ながらに別れを告げると、二人の姿は消えていった。しかし、原田の衰弱は止まらない。実は、桂も異人だったのだ。男にふられ原田にもすげなくされた桂は、ずっと以前に自殺していたのだった。愛と憎しみに狂った異人は原田に迫ったが、友人・間宮の機転で原田は助けられた。その後、体調の回復した原田は両親のもとに花と線香を手向け、静かな夏の日の不思議な体験を回想するのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第12回 日本アカデミー賞(1989年)

受賞

脚本賞 市川森一
助演男優賞 片岡鶴太郎

ノミネート

作品賞  
監督賞 大林宣彦
主演男優賞 風間杜夫
助演女優賞 秋吉久美子
助演女優賞 名取裕子
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映画レビュー

3.5予想外によかった

2025年3月15日
iPhoneアプリから投稿
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くまっち

4.0山田太一と大林宣彦の融合

2024年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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怖い

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心の声

4.0充実した親子の時間の優しさに感動!

2024年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アンドリュー・ヘイ監督の『異人たち』を観た後、レビューを書いたところ
複数の方から本作を推薦いただき、鑑賞しました。

風間杜夫演じる主人公英雄と、片岡鶴太郎・秋吉久美子演じる両親との
懐かしく、優しく、あたたかい時間が、12歳でお別れした英雄にとっては
何ものにも代えがたく充実しており、ずっと通うようになってしまい、
英雄本人も気づかないうちに、体調を著しく崩してしまいます。
しかしながら、その濃密な時間を亡き両親と何度も過ごしたいとの英雄の気持ちも
痛いほどよく伝わり、本サイトのレビュワーの皆さんが推奨している理由が
とてもよく理解できました。

この点は、アンドリュー・ヘイ監督の『異人たち』とは大きな差異があると感じます。
『異人たち』は、どちらかというと両親との時間もさることながら
主人公アダム(アンドリュー・スコット)とハリー(ポール・メスカル)の時間が
圧倒的に濃密に描かれていることから、この視点がアンドリュー・ヘイ監督ならでは
の切り口なのであろうと思いました。
本作では、英雄の相手は女性である桂(ケイ:名取裕子)であり、男女関係に発展していく
様が描かれていますが、桂がどうなっているかの描かれ方も含め、これはこれで良かったと感じました。

私も『異人たち』の視点/切り口よりも、大林宣彦監督による本作の方が
胸に突き刺さりました。できれば劇場で観たかったですね。
劇場鑑賞だと感動も桁違いな気がします。

1988年の作品ということで、その時代感はありますが、
物語の本質は色あせず、素晴らしい感動をおぼえました。
俳優陣の演技にも感銘を受けました。
※高橋幸宏さんの出演もうれしかったです

本当に観てよかったです。
推奨いただいた皆様へ感謝申し上げます。

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ひでちゃぴん

4.5ノスタルジーに浸る幸せな時間

2024年4月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

家族との時間が、必ずしも幸せだったとは限らない人もいるだろう。けれど、誰もが、どんなにささやかでも、自分が大切にされた記憶のカケラは持っていると思う。そのノスタルジーを呼び起こし、浸りこむ幸せを思い出させてくれる映画だ。

自分にとって、この映画で一番響いてきたのは、手作りアイスクリームだった。
買ってもらったものではなく、一緒に手作りしたものというのは、記憶の深さが違う。
いつのまにか、映画の中の部屋は、母の実家と重なり、暑かった日差し、緑の匂い、そして井戸水の流れが思い出され、自然と涙がこぼれた。

初めてこの映画を観た20代の頃と違い、自分はもう還暦間近。思いは、鶴太郎や秋吉久美子の方により籠る。
子どもたちはそれぞれ独立し、元気にやっているのだけれど、いつまでたっても、子どもはやっぱり子ども。風間杜夫が、息子たちに重なって見えてしまうのも年をとったせいだろう。

やっぱり自分は大林宣彦の映画が大好きだということを再確認。

明日から公開のリメイク版は、どんな味わいなのか、そちらも楽しみにしたい。

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sow_miya