居酒屋ゆうれい
劇場公開日:1994年10月29日
解説
街のはずれにある小さな居酒屋を舞台に、主人と新妻、ユーレイとなった前の妻が繰り広げる恋を描くコメディ。山本昌代の同名小説(河出書房新社・刊)をもとに、「エンジェル 僕の歌は君の歌」の渡邊孝好が監督。脚本は「夏の庭 The Friends」の田中陽三、撮影は藤沢順一が担当。94年度キネマ旬報日本映画ベストテン第3位、同読者選出日本映画ベストテン第3位。
1994年製作/110分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1994年10月29日
ストーリー
居酒屋「かづさ屋」の主人・壮太郎は妻・しず子が息を引き取る前に、決して再婚はしないと約束したのに、それを破ってしまった。兄の豊造夫婦の強引な勧めで見合いをした相手の里子にクラッときて、一緒になったのだ。ところが、しず子はそれを恨んでこの世に戻って来た。あなた、やっぱり嘘をついたのね、と壮太郎を問い詰める幽霊・しず子。オレはおまえも確かに愛していたけど、里子も愛しているんだ、という壮太郎の胸のつぶやきも、しず子には通じない。彼をめぐって、この世の女とあの世の女が壮絶な戦いを繰り広げることとなり、「かづさ屋」は壊滅状態に。とはいっても、他人の眼にはしず子は見えず、「かづさ屋」は若い美人のおかみさん目当ての客が増えて毎晩大にぎわいとなる。幼ななじみのバクチ打ちの辰夫、三河屋酒店の幸一、魚春のオヤジ、家族を捨て蒸発した佐久間、父を探し歩く娘…そんな人間たちが束の間の寂しさを忘れるために集まる、溜まり場となっていった。一方、ユーレイ騒動に疲れた壮太郎と里子は、寺へ相談に行く。和尚は幽霊画の掛け軸を2人に渡しながら、あの世とこの世との出入り口になっている掛け軸の絵の中に幽霊を入れてしまえばもう悩まされることはないと言うのだが、計画は失敗し、壮太郎は掛け軸をうっかり電車の中で盗まれてしまう。しず子の復讐が始まった。彼女は里子の体に乗り移り、壮太郎を誘惑する。ところが、さらに事態は急転し、辰夫が別れた妻子とヨリを戻す心機一転のためと、借金をして野球のナイター戦の賭けをしてしまう。また里子は昔の恋人でヤクザの杉本から呼び出しを受け、行方をくらましてしまった。壮太郎は辰夫のために、しず子に懇願してナイター戦の結果を前もって教えてもらう。それを教えることはしず子にとってはこの世にいられなくなることだったが、彼女は壮太郎にナイター結果を教え、また里子を杉本の手から救う。どこかでしず子が見守る中、壮太郎のもとに里子も帰って来た。