アンラッキー・モンキー

劇場公開日:

解説

図らずも強盗犯・殺人犯になってしまったアンラッキーな男たちの姿を描くブラック・コメディー。脚本・監督は「ポストマン・ブルース」のサブ。撮影は「野獣の肖像」の栗山修司が担当している。主演もやはり「ポストマン・ブルース」の堤真一。ヒロインに「OL忠臣蔵」の吉野公佳。第48回ベルリン国際映画祭招待作品。

1998年製作/106分/日本
配給:松竹富士
劇場公開日:1998年7月18日

ストーリー

自称詐欺師の山崎(堤真一)は仲間と銀行強盗を企てるが、目の前の銀行から同じ格好をした別の強盗が出てきた。不覚にも犯人は車にはねられ、現金入りのカバンが宙を舞い、山崎の腕の中に。裏道に逃げ込んだ山崎は、偶然にも手にしていた包丁で通りすがりの美容師・美紀(吉野公佳)を刺し殺してしまう。一方、組長が不在となった弱小やくざ村田組の三人は殺す気もない敵対する誠竜会若頭・立花(大杉漣)を殺してしまい、死体を埋め立て地に埋める。それより少し前、山崎はカバンを埋め立て地に埋め、あるラーメン屋に入った。そこに後から、あの三人が入ってきた。テレビから銀行強盗と殺人事件のニュースが流れる。「あの女が死んだ!」。警官から逃れるために、町の自治会館に入った山崎は、環境汚染反対運動に参加する羽目になってしまう。打ち上げの席で、死んだ女の写真が載った新聞を見た山崎を、女の妄想が襲う。一方、あの三人が事務所に戻ると、誠竜会が立花を探しに来ていた。しらを切ろうとしたが余計な一言で全てがばれてしまい、見張りの誠竜会組員を殺して、バーへ逃げ込む三人。そこを殺し屋・西田(田口トモロヲ)が襲うが、あやまって転倒し、自分を撃ってしまう。一方、朦朧とする山崎を、女の遺骨を運んでいた車が拾ってくれるが、それに気づいた山崎は怯えて対抗車線に飛び出てしまう。偶然、そこに三人が通りがかる。三人は、ラーメン屋で出会った山崎を誠竜会の者と勘ちがいして脅迫すると、ふところから札束が落ちる。再び埋立地へ向かう山崎と三人。そこに誠竜会が待ち構えていたが、地中から突然蘇った立花が、あたり一面を血の海にして去ってゆく。そして、ひとり生き残った山崎は、街へと消えてゆく。

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映画レビュー

3.0ブラック

2018年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 警官の目を恐れた山崎はついつい人ごみに紛れて過ごそうとしたが、たどり着いたのはある町内の化学工場の公害に対する抗議集会に参加してしまった。そこでの発言は面白いし、企業側の平泉成も面白い。結局は企業と住民が和解(?)となって懇親パーティが開かれるのだが、そこで見た新聞には刺された美容師・吉田(吉野公佳)が死んだと報道されていた。動転してしまった山崎。良心の呵責によって精神異常をきたし、町を放浪する。彼女の亡霊を見るようにもなるが、公園で出会った殺し屋・宮田(田口トモロヲ)のおかげで死にたいと思うようになる。

 ここでの田口トモロヲが最高!「あんた人殺し?」が口癖で、通行人に片っ端から声をかける。ドジな殺し屋なのだが、哲学の素養もあり、「人を殺した人間は見える世界が違う」などと言ってのけるのも印象的。その彼に追いかけられていた村田組の面々を殺すよう指令が下り、拳銃をズボンの前に隠す。『8 Mile』でも似たようなシーンがあったが、この映画では宮田が転んで男の急所を撃ってしまう・・・痛いどころじゃない。死にかけてるのにありったけの弾を撃つのだ。

 雨の中を放浪する山崎は親切な車に拾われるが、それが葬式帰りなのか、吉田の遺族が乗った車だった。逃げるように降りた山崎のおかげでスピードを出していた別の車が電柱に激突などして、とにかく貧乏神ぶりを発揮する男なのだ。そして、逃げてきたヤクザ3人組と出会い、「金をやるから殺してくれ」と懇願。そして埋めた場所へと案内するのだが、そこは3人組が立花を埋めた場所と同じ。追っ手である誠竜会のヤクザもやってくるが、金を掘り出したつもりが、ゾンビになった立花が起き上がり、見境なく発砲する・・・とうとうゾンビを出しやがったかーー!(笑)  後半はとにかく死ねない山崎。最後には自首しようとするも、そこには逮捕された立花の姿。

 『弾丸ランナー』や『ドライブ』にも通ずる映画だが、なんだかやりきれないブラックコメディだ。

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kossy

4.0良い事も悪い事も誰も上手くいかない。 どんどん不幸になっていく堤。...

2018年1月9日
iPhoneアプリから投稿

良い事も悪い事も誰も上手くいかない。
どんどん不幸になっていく堤。
最後の最後に思い通りになった。
でもそれは堤にとっても本当の最後で。
決して望んだわけじゃないけどそうするしかなくなった結果。
全ての原因はよからぬ事を企んだ自分達。
因果応報というか。
強盗も本当はやりたくなかったのならカッコつけず素直にやめたいと言いやめればこうなっていなかった。
強がったり意地はったりカッコつけたりそういう事は結局よからぬ結果を生むことになる。

ポストマンも良かったしこれもかなり良かった。
弾丸も観たけどサブの作品は良い映画ばかり。
また堤と一緒に映画を作ってほしい。
サブの映画が堤の出世作といってもいいと思う。

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かぼはる
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