ある探偵の憂鬱
劇場公開日:2000年4月29日
解説
奇妙な依頼を受けた探偵が辿る不思議な体験を描いたミステリー。監督・脚本は、助監督として北野武、長崎俊一、原田眞人監督らの下で経験を積んできた矢城潤一で、本作が初監督作となっている。撮影は新妻宏昭が担当している。主演は、「金融腐蝕列島 [呪縛]」の大城英司と「梟の城」の馬渕晴子。16ミリからのブローアップ。
2000年製作/71分/日本
配給:FILM GECKO
劇場公開日:2000年4月29日
ストーリー
老紳士から、あるマンションの一室を見張って欲しいとの依頼を受けた探偵は、早速向かいのアパートから監視を開始する。目的の部屋には、初老の婦人がひとりで暮らしていた。しかし、一週間経っても一ヶ月が過ぎても何か起こるような気配さえ見えない。そんな時、老婦人の部屋に若い女性が現れた。いつしかその女性に心惹かれる探偵。彼女の姿を追い求め、執拗にカメラで狙うようになった彼は、しかし彼の存在に気づいた老婦人によって部屋のカーテンを閉じられてしまう。そんな彼に依頼主から手紙が届く。そこには、「女を殺してくれ」と綴られていた。依頼通り老婦人のマンションに潜入する探偵だが、彼はそこで若い女性と肌を重ねてしまうのであった。ところが、全ては元舞台女優の老婦人が仕組んだ罠だったのである。声帯の病気で声を失っていた彼女は、死ぬ前にもう一度舞台に立ちたいという思いから、たったひとりの観客である探偵に一芝居打ったのだ。老紳士も、若い女性も全て彼女の変装だった。混乱する探偵は、いつしか老婦人の首に手をかけ彼女を絞め殺してしまう……。数ヶ月後、路地裏に浮浪者のようにボロボロになった探偵の姿があった。彼は、この世に存在する筈のない女の姿を求め、幻想の中を彷徨っていた。