朝やけ血戦場
劇場公開日:1956年1月15日
解説
村上元三の原作を新人関喜誉仁と内田一作が共同脚色し「人生とんぼ返り(1955)」のマキノ雅弘が監督、姫田真佐久が撮影を担当した。主なる出演者は「続・警察日記」の大坂志郎、「自分の穴の中で」の北原三枝、「人生とんぼ返り(1955)」の河津清三郎、「母なき子」の澤村國太郎、「未成年」の長谷部健など。
1956年製作/76分/日本
原題または英題:The Aizu Battle
配給:日活
劇場公開日:1956年1月15日
ストーリー
慶応四年六月、越後長岡藩は官軍に包囲された。長岡藩士の魚住孫次郎は身重の妻お次をつれて藩を逃げ出した。避難民に交って逃げて行くうちに長岡城は陥落した。二人は避難民達の嘲笑に耐えかね問道伝いに会津に向った。途中苦しむ妻を休ませるために一軒の百姓家に入った。そこは三雲内蔵之介を隊長とする官軍偵察隊の秘密の隠れ家であった。孫次郎は捕えられて首を斬られようとしたが、お次が臨月なのを知って三雲は子供が産れる迄孫次郎の生命を助けておくことにした。隊士の一人疋田はかつて最愛の妻にそむかれた経験を持っていた。孫次郎とお次の夫婦愛を見ることは彼には堪えられない程の苦痛であった。同僚に当り散らした彼は家の外に出た。そこを敵軍の会津騎兵隊に発見された。たちまち百姓家は包囲され激しい銃撃戦が展開された。その最中にお次は産気づいた。孫次郎は水を汲みに出て腕を射たれ、隊士の吉岡が産湯を湧かした。会津兵は月のかくれるのを待って斬り込むことにし、一時鉄砲の音が止んだ。その静けさの中でお次は男の子を産んだ。疋田は泣く子を見て嗚咽に胸をつまらせた。やがて会津兵の攻撃が始まった。残り少い弾丸を見た三雲は疋田を含む三名の隊士を本隊への連絡に出した。やがて一同は敵の機先を制して斬って出ることにした。孫次郎もそれに加わろうとしたが三雲はそれ止めて、子供のために生き残れといった。やがて双方の間に激しい肉弾戦が起った。孫次郎も槍をとって闘った。次第に敗色の濃くなった官軍側にやっと援軍が到着した。疋田は役目を果したが、重傷を負って隊に戻り息絶えた。彼の胸から出たのは新しい産衣であった。