悪名縄張り荒らし
劇場公開日:1974年4月24日
解説
かって大映で映画化された「悪名」シリーズの再映画化。河内生まれの暴れん坊朝吉が、腕と度胸で男を売り出していく姿を猫く。脚本は依田義賢、監督は「御用牙 かみそり半蔵地獄責め」の増村保造、撮影も同作の宮川一夫が担当。
1974年製作/104分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1974年4月24日
ストーリー
昭和十二年。河内に百姓が嫌いで両親から勘当されたが、奉納相撲大会で優勝した賞金二十円を持って、仲間を引き連れ、大阪松島遊廓に繰り出した男がいた。朝吉である。そこで、朝吉は九州から売られて来たと言う、琴糸と意気投合した。ところが一同がドンチャン騒ぎをしているところへ、吉岡組の一の子分・モートルの貞が乗り込み険悪な空気。翌朝、貞は子分を引き連れて朝吉たちを待ち伏せしたが、逆にのされてしまう。そんな朝吉の腕を見込んだ親分の吉岡は、客分として招いた。ところが、朝吉が吉岡の賭場で大儲けしたために、また喧嘩となった。朝吉は、その金で琴糸を身請けしようとするが額が少なすぎたために、琴糸を足抜けさせた。ところが丁度その時、吉岡組が喧嘩のために全員出動となり、朝吉はやむなく琴糸を吉岡に預けた。その吉岡が、遊藤の長五郎親分にたれこんだのを見た貞は、遂に頭に来て、受けた盃を返上し、隣家のお絹とお照を連れ出した。そして朝吉と貞は兄弟固めの盃を交わした。その頃、落ち目の吉岡組に長五郎一家が乗り込んだ。そこに朝吉と貞が戻って来て、二人がかりで長五郎を痛めつけ琴糸の居所を聞き出した。瀬戸内海の島に売られていた琴糸を助け出した朝吉だが、長五郎の差し金で、この島のボス、シルクハットの親分に掴まった。この場は、海の女王こと麻生イト親分に助けられた。数日後、長政の元締から、朝吉、貞に呼び出しがかかった。今は重病人の長五郎に替って、松島一帯を縄張りとして預ってくれ、というのだ。早速、二人は長五郎の子分を引き連れて、密淫売の源八の所に乗り込んだ。実は、長政の元締は密かに、カポネの親分に朝吉一家をやっつけるように頼んでいたのだった。元締の思惑にもかかわらず、朝吉、貞は源八を半殺しにしてしまった。そこに、朝吉の両親から電報が来た。召集令状が来たので、立派に勤めを果たし、凱旋したら勘当を許す、というのである。朝吉は、貞に足を洗って正業につけ、と言い残して出征して行った。列車に乗車した朝吉を見送っていた貞が、カポネの刺客に刺された。「兄貴が見えなくなるまで」と貞は笑いながら手を振った。やがて、列車がトンネルに消えた時、貞は鮮血に染まって横たわった。それは「兄貴!」と呼んだようでもあった……。